もう色見本に頼らない!革新的な「色測定計」で色の調べ方が変わる
では、簡単にかつ正確に色を測ることができる色測定計Spectro1を紹介しました。この色測定計にどのような機能が実際に備わっているのか興味はありますでしょうか?
今回は色測定計Spectro1を使用して、ペンキの色測定が実際にどのようにできるのか、スマートフォンアプリ「Spectro by Variable App」に含まれるCompare(比較)機能を用いて試してみました。
本記事では、分光測色計のCompare(比較)機能を用いて、2つのペンキの色の違いを定量的に求めていますが、事前に用意した色見本ライブラリと比較することも可能です。
PANTONEや日塗工のライブラリを使用することで、測定したペンキの色見本番号を知ることもできます。
詳しくは、以下の記事をご確認ください。
→PANTONEの色番号が瞬時にわかる
→日塗工の日塗工番号が瞬時にわかる
1.試行環境
(1)色測定計:Spectro1
色測定計Spectro 1は、携帯とBluetoothで接続できる小型分光測色計です。
分光の技術を利用するため、色見本のように人の目に頼らず色を判別することが可能です。

スマートフォン対応型 小型分光測色計 Spectro1TM
Bluetooth対応の色測定計です。
コンパクトでポータブルなデザインの本体と、スマートフォンで動作する専用アプリにより、簡単に色測定、データの保存、共有ができます。
(2) 使用アプリ:Spectro by Variable App
「Spectro by Variable App」はVariable社から提供されている、スマートフォン用のSpectro1操作アプリです。色測定計Spectro1はこのアプリを使って、色の測定、保存、共有(CSVファイルの出力)ができます。また、提携している塗料メーカーの色見本とのカラーマッチング機能やリファレンスと測定結果と比較するCompare機能※1も搭載されています。
「Spectro by Variable App」に搭載されている「Compare(比較)」は、Sample(サンプル色)とStandard(基準色)をそれぞれ測定すると、以下のようにそれぞれの色のLab値や、2つの色のΔE値を算出することができます。
※比較機能の詳細はこちら
サンプルと基準色のLab値 | サンプルと基準色のΔE値 |
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2.試行内容
試行は以下2つの観点で実施しました。
・ 試行① 異なる種類の色を比較・ 試行② 単色の色ムラの測定
それぞれの試行に関して、結果を紹介します。
試行① 異なる種類の色を比較
実際にCompare(比較)機能を使って、異なる色を見分けることができるのか検証しました。
実際に用意したサンプルはこちらです。


プラモデルの塗装で使用される塗料「Mr. Color」の異なる青色を4種類用意し、プラスチックの平板に塗りました。電球色と昼白色の照明下での画像を比較しますと、色の見え方も変わりますので目視で正確に見分けるのは難しいようです。
早速、色測定計Spectro1を用いて、それぞれの色の違いがどのように確認できるかを試行します。今回は、「Mr. Color」の65番インディーブルー(右から二番目)を基準色とし、それぞれの色と比較しました。
(1)基準色の設定


基準色の設定は、「基準色をスキャンする」ボタンを押すだけです。サンプル色を設定していないので、未だ比較結果は表示されていない状態です。
(2)同じ色(65番インディーブルー)の測定

まずは同じ色をサンプル色として比較しました。サンプル色を設定する場合は「サンプルをスキャンする」ボタンを押します。比較の結果、差分ΔEは「0.21」で、「No color difference(色の違いナシ)」と判定されました。枠は緑色で表示されました。
(3)異なる色の測定
80番コバルトブルー (一番右の色)との比較 |
322番のフタロシアニンブルー (右から3番目)との比較 |
328番ブルーFS15050 (一番左)との比較 |
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差分ΔE=「10.03」 「Different colors(違う色)」 |
差分ΔE=「9.51」 「Different colors(違う色)」 |
差分ΔE=「11.63」 「Different colors(違う色)」 |
いずれの異なる色も大きなΔE値が見られ、「Different colors(違う色)」と判定されました。Compare(比較)機能を使うことで、人の目では判別が困難な塗料の色差をこのように定量的に判断することができます。
試行② 単色の色ムラの測定
次に、Compare機能を使用して、同じ塗料の色ムラを見分けることができるのかを検証しました。

画像からは分かりにくいのですが、刷毛を使って塗料を塗りましたので、同じ種類の色でも濃い箇所と薄い箇所の“色ムラ”があります。同種類の塗装の上部、中央部、下部の3カ所をスキャンし、Compare(比較)機能を使うと色ムラはどのように表示されるのか検証しました。検証①で使用した65番のインディーブルーの上部を基準色として使用しました。
(1)同じ個所(上部)の測定


基準色をスキャンした箇所に近い上部をスキャンしたところ、基準色との差分は限りなく小さく、「No color difference(色の違いナシ)」と判定されました。
(2)異なる個所(中部/下部)の測定
中部 | 下部 |
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差分ΔE=「1.61」 「Minimal color difference (わずかな色違い)」 |
差分ΔE=「2.46」 「Perceivable color difference (認知できるレベルの色の違い)」 |
同じ塗料でも塗り方によって多少色が異なれば、それを定量的な違いとして検出できることを確認しました。
3.まとめ
Spectro by Variable AppのCompare(比較)機能を使うことで、目視では判定が難しい色の違いを定量的に見分けることができました。
CIE規格に準拠し色情報を数値化しているので、信頼性の高い色比較が可能です。
また、同種類の色であっても濃淡による微妙な色の差を捉えることができるので色ムラの検出にも利用できることがわかりました。