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KLV大学 マシンビジョンコース

産業用カメラの選び方  (2)必要なFPS

カメラやレンズを選定する際には、画素数、画角(ワーキングディスタンス)、露光時間(FPS)など、さまざまなパラメータを考慮する必要があります。
そして、これらの要素を適切に考慮しないと、期待する性能が得られない、過剰なコストをかけてしまうなど、プロジェクト全体に影響を及ぼす可能性があります。

ケイエルブイ大学 マシンビジョンコースでは、以下の項目に関して、計算ツール、選定方法、計算の方法などを解説します。

  1. 必要な画素数編
  2. 必要なFPS編(本記事)
  3. 必要な画角編

カメラの選定にお困りの際には、ケイエルブイまでお問い合わせください。

【計算ツール】必要なFPS(フレームレート)を自動で計算

”視野幅”、”対象の移動速度”、”対象の必要な撮影枚数”が与えられれば、必要なFPS(フレームレート)を計算することが可能です。

視野幅、対象の移動速度、対象の必要な撮影枚数から必要なFPS(フレームレート)を計算
必要な露光時間とFPSの計算

対象が視野を通過する時間:

FPS:

露光時間:

ここからは、上記の計算で必要なFPSが求めらられる理由を解説します。

【概念】カメラのFPSとは

FPS(フレームレート)は、動画において「1秒間に取得/表示する画像の枚数」を表す値です。
1秒間に表示する枚数が少ないと映像はカクカク動き、1秒間に表示する枚数が多いと映像は滑らかに動きます。

2fps 2pfsフレームレート

10fps

10fpsフレームレート
詳細記事

より詳しいFPSの記事に関しては、以下の記事をご確認ください。

フレームレート(FPS)を変更・確認する方法 (実測方法も)

【選定方法】捉えたいものを見逃さないためのFPSの選び方

FPS(フレームレート)は、対象の撮影回数や画像の精度に関わる重要な仕様です。

高速で動く対象をとらえるには、高いFPSが必要になりますが、高いFPSには、感度の低下、データ量の増加、処理負荷の上昇、コストの増加といったデメリットも存在します。
そのため、使用用途にあった適切なFPSを選択することが重要になります。

例えば、

  • 静止した対象・低速で移動する対象を撮影する場合

    低FPSを選択してデータ量や処理負荷を抑えることを重視する必要がある

  • 高速で移動する対象を正確に捉えたい場合

    高いFPSが不可欠となるため、データ量や処理負荷を考慮して高価なハードウェアを用意する必要がある。

今回は、観測対象や検出対象を正確に捉えるために必要な最低限のFPSの求め方をご紹介します。

①物体が視野を通過する時間の算出

まず、 確実に被写体を捉えるには、物体がカメラの視野を通過する時間 を計算する必要があります。

これは、視野幅と物体の移動速度がわかっていれば、以下の計算式から求めることができます。

物体がカメラの視野を通過する時間 = 視野幅 ÷ 物体の移動速度

例:視野幅 (撮影範囲)が 1000mm 、物体の移動速度”が10000mm/sec の場合には、物体が視野を通過する速度は次のように計算されます。

物体がカメラの視野を通過する時間 = 1000 mm ÷ 10000 mm/sec = 0.1 sec

②1秒あたりの必要撮影枚数の算出

次に、被写体が視野を通過する間に何回撮影すれば十分な情報を得られるか を決めます。
この値を、”対象の必要な撮影枚数”とすると、”必要なFPS”は以下の式で求められます。

1枚あたりの撮影時間 (露光時間) = 物体がカメラの視野を通過する時間 ÷ 対象の必要な撮影枚数
必要なFPS = 1 ÷ 1枚あたりの撮影時間 (露光時間)

例:必要な撮影枚数を 100枚 とすると、必要なFPSは、次のように計算されます。

1枚あたりの撮影時間 (露光時間) = 0.1 sec ÷ 100枚 = 0.001 秒/枚
必要なFPS = 1 / 0.001 秒/枚 = 1000枚/秒

物体が高速で移動する場合の注意点

高速で移動する物体を撮影する際、ブレを防ぐためには、露光時間に注意が必要です。

特に、物体の移動速度が速い場合、露光時間が長すぎると、1フレーム内で物体が移動しすぎてブレが発生します。
ブレを防ぐためには、物体が0.5ピクセル動く時間を露光時間とすることが推奨されます。

この条件を実現するためには、"必要な撮影枚数"を”画素数の2倍”に設定して、露光時間を物体が0.5ピクセル動く時間と等しくすることが有効です。

物体が高速で移動する場合のブレ

【確認箇所】カメラの仕様でFPSを確認する際の注意点

カメラを選定する際には、仕様には、フレームレートという項目にで”最大のフレームレート”が記載されます。

フレームレートの表示
フレームレート 1000fps

ただし、フレームレートはさまざまな制約をうける可能性があるため注意が必要です。

以下に、主に注意する仕様のポイントを紹介します。

①解像度毎のFPS(フレームレート)

カメラの解像度(画素数)が増えると、1フレームあたりのデータ量が増加するため、FPSが低下する ことがあります。
そのため、仕様書には解像度ごとのFPS が記載されていることがあります。

「必要な画素数の計算」と合わせて、カメラが仕様を満たせるかを確認する必要があります。

・画素数の表示
解像度および最大フレームレート 2592×1944/10fps
1920×1080/30fps
1280×720/30fps
640×480/30fps

②露光時間による制限

ブレを防止するには高いFPSが必要ですが、高いFPSは、1フレームあたりの露光時間(シャッタースピード)が短くなります。
(FPSの逆数が最大の露光時間です。)
その結果、光量不足によりS/N比が低下し、ノイズが増加しやすくなります。

特に暗所での撮影では、信号強度が低下し、ノイズの影響が顕著になるため注意が必要です。

これらの影響を考慮するためには、以下のようなポイントの確認がおすすめです。

・ゲイン(ISO感度)の表示

高ISOに対応したカメラほど、信号を増幅することが可能であるため、FPSが高くても明い画像を取得することができます。ただし、ノイズも同時に増幅されるため、合わせてS/N比の考慮が重要になります。

ゲイン範囲 0 dB ~ 36 dB
アナログゲイン 1× ~ 8×
デジタルゲイン 1× ~ 16×
・S/N比の表示

S/N比(信号対雑音比)が高いほど、暗所での撮影時にノイズが少なく増幅してもクリアな画像が得られます。
S/Nが低い場合は、FPSを高くした際にノイズが多い画像になってしまう可能性があるため、注意してください。

S/N比 50 dB @ 0 dB Gain
S/N比(最大ゲイン時) 40 dB @ 36 dB Gain
・ダイナミックレンジの表示

ダイナミックレンジが広いほど、暗い部分から明るい部分まで幅広く捉えることができます。
一方で、ダイナミックレンジが低い場合、暗所の描写を優先してゲインを上げると、明るい部分が白飛びするなどの現象が発生することがあります。

ダイナミックレンジ 70 dB
・画素サイズ(ピクセルの大きさ)の表示

画素サイズが大きいセンサーほど、多くの光を取り込めるため、S/Nが向上します。
S/Nが記載されていない場合などに参考になる仕様です。

画素サイズ 3.45 μm × 3.45 μm

これらの値をもとに、必要なFPSで撮影した際に期待するレベルの画像が得られるか判断する必要があります。
ただし、一般的には実際に撮影した画像を確認して評価することが多いのが実情です。

実際の製品ページにどのような記載があるか、ぜひ、以下の産業用カメラの製品ページで確認してみてください。

小型なのに高性能 産業用小型カメラ

Optikronカメラ製品画像

ケイエルブイは、組み込み・開発に最適な高解像度の超小型カメラを取り扱っています。

  • 最小φ1.8mmから選べる豊富なラインナップ
  • フルHD画像の撮影可能
  • 遠く・深くまでピントが合う

など

デモ機のご用意もありますのでお問い合わせください。

超小型カメラシリーズOptikron製品ページ>

また、こちらは特にフレームレートが重要になるハイスピードカメラの製品ページです。
高いFPSが画素数とのトレードオフになっている点にも注目して確認していただければと思います。

GigE対応 産業用ハイスピードカメラ

Optomotive社のハイスピードカメラは、FPGAを搭載しており、物体やピークの検出、データの圧縮がカメラが側で可能です。
また、グローバルシャッター搭載でブレに強く、イーサネットの高速通信にも対応しています。(GigE対応モデルあり)

産業用途のハイスピードカメラとしてご検討ください。

Optomotive製品ページ >

用語集

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