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産業用カメラは、屋外や工場のラインを含め様々なところで活躍しています。 野外はホコリが舞ったり、雨が降ったりなど、気象条件が様々ですし、工場のラインも水を使用したりする工程があるため、カメラに防水や防塵といった特別な配慮が求められます。
ここでは、防水・防塵性とは何か、防水・防塵規格をどのように確認するか、そしてそれらを踏まえ、産業用の防水・防塵カメラを選ぶ場合のメリットと注意点について解説します。
防水・防塵性とは「カメラの内部に外部からホコリや水分が侵入しないこと」を言います。
防水・防塵がなぜ重要かというと、機器の内部にホコリや水分が侵入すると機器内部の動作に影響を及ぼし、最悪の場合、装置が故障したり、重大な事故につながる場合があるからです。 したがって、理想的な防水・防塵性とは、外部からの侵入をすべて排除し、装置内部の動作環境を一定に保つことです。
一方で、現実的には侵入をすべて排除することは大変難しく、実現させるためのコストを考えると、使用シチュエーションに応じて防水・防塵性のレベルを変えることが、合理的で現実的です。つまり実際の機器では、どの程度まで防水・防塵性を確保するかが重要になります。 そのため、機器の使用目的に応じて防水・防塵性を変えることが一般的に行われており、目安となる規格が制定されています。
実際に野外や水中など防塵防水カメラには「IP」という規格が使用されてます。主に、目にする等級は「IP65」・「IP66」・「IP67」の3種類です。
ここでは、各等級の実際の保護の内容を紹介します。
ここからは、カメラで使用されている防塵防水規格「IP」の内容に関して、その内容を詳しく説明していきます。
代表的な防水・防塵規格である「IP」は、「IEC(国際電気標準会議)」および「日本産業規格JIS C0920」で定められています。
そして、カメラだけではなく、世の中に出回っている電子機器のほとんどが、この「IP」規格に定められている防塵防水テストによって性能が確認されます。「IP」は、世界標準規格ですので、世界中どこの製品でも性能を確認することができます。
「IP」は「Ingress Protection」の略で、日本語では、「侵入保護」です。 ここでの「侵入」は、「塵」と「水」の2つの侵入をさしており、それぞれで規格が分かれています。
規格による性能表示は、「IP」に続く2つの数字で決まります。
例えば等級表示が「IP67]だったとします。 左から数えて、「IP・・」に続く数字の1つ目の「6」は、防塵性能において、「完全な防塵構造」を表し、2つ目の「7」は防水性能において「規程の圧力、時間で水中に沒しても水が浸入しない」を表しています。
防塵性能は、製品外部からの固形物の侵入に対する保護の度合いを示し、全7等級に分かれてます。
そして、それぞれの等級で具体的な対象が想定されています。面白いのは、砂やホコリの侵入だけではなく、手やワイヤー、工具といったものも想定されています。
防水性能は、製品外部からの水の侵入に対する保護の度合いを表しており、全9等級に分かれています。
試験方法や条件が規定され、等級が上がるほど水量や水深(水圧)、水没時間などの条件が厳しくなっていきます。
そして、最高等級は試験方法が定められていません。「2番目に厳しい条件よりも厳しい環境下で試験すること」のみが条件となっているため、メーカーが製品ごとに独自の規定で試験しています。 そのため、ドイツのように国内規格として、さらに厳しい条件での等級が定められている国もあります。
防水・防塵規格のテスト方法について解説します。先に述べたそれぞれの等級に準拠した表示を行う場合には、必ずテストを行い、性能を確認する必要があります。
防塵と防水のテストはそれぞれで実施されます。例えば、「IP67」の場合、以下のように防塵の”6”等級と防水の”7”等級のテストをそれぞれで実施する必要があります。
・防塵性能のテスト 人工的なダミーダストが浮遊している雰囲気中に検査対象物を投入し、その状態を一定の時間継続させ、内部にダストが入っていないことを確認
・防水性能のテスト 検査対象物を深さ15cm〜1mの水中に30分間水没させて、水が機器の内部に侵入していないこと。
各等級のテストの詳細は以下です。
カメラは、内部のセンサー部分に少しでも粉塵が侵入すると使用できなるなるため、防塵性能としては、確実に”6”が求められるということがわかります。
防水規格に関しては、少し水に濡れてもいい程度から水没させての試験まで幅広いテストになっています。
7等級以上のテストはメーカーと使用者間の取り決めにより決定しますが、一般的には水中で且つ水圧をかけてのテストや高温・高圧の水を噴射しての試験などが行われます。
防塵防水カメラは防塵防水対策が採られていないカメラに比べて、ホコリや水、油がカメラ内部に侵入しにくい構造であるということが言えます。
これは、各アプリケーションにおいて様々なメリットがあります。
例えば、機械加工の一種に、金属の塊を円筒状に加工する旋盤加工、金属を任意の形に削り出すフライス加工(エンドミル加工)等があります。これらの切削加工では近年自動化が進んでおり、加工中の監視や加工終了の検出にはカメラが使用されています。 この時、切削加工中の熱の上昇を防ぐために被切削物には、クーラントと呼ばれる冷却液を与える必要があり、このクーラントや削りカスである切粉が監視用のカメラに飛び散ります。
上記は極端な例ですが、工程検査の環境は必ずしも良いとは限りません。よって、カメラの防塵防水構造が十分でない場合、意図しない粉塵や水分がカメラ内部に侵入しカメラの不具合が発生する可能性が高まります。そうすると、故障したカメラの交換の手間や費用が高額になったり、肝心な時に故障してなんのために監視カメラを設置したかが分からないということになりかねません。
生産ラインで使用する監視カメラはできるだけ止まらないこと(信頼性の高さ)が要求されます。発塵があったり液体を使用する工程では防塵防水対応の産業用カメラの方が、安定した動作が保証されます。
最後に産業用防塵・防水カメラを選定する場合の注意点を解説します。
防塵・防水カメラは発塵や液体が飛び散る環境で使用されることが前提です。 よって、これらのホコリや液体がレンズ表面に付着する可能性も大きくなります。このため、レンズの汚れ対策をしっかりおこなうことが大切です。 具体的には、汚れや水滴の付着を抑制するコーティングをレンズに施すこと、水が流れ落ちやすくふき取りやすい形状になっていることなどです。
結露はカメラ内部の空気と外気温の温度差が急激に大きくなった場合やカメラ内の湿度の高い場合に発生しやすくなります。よって、寒暖差が大きく湿度の高い環境では特に注意が必要です。
対応としては、カメラ本体を覆っているハウジングに乾燥剤を入れて、湿度を下げるのが一般的です。乾燥剤の使用は、特に小型のカメラにおいて効果的です。
カメラ本体の防塵防水対策だけで十分なのか、ケーブルや・コネクタ部分を含めて防塵防水対策が必要なのかということを検討しておく必要があります。 ケーブル・コネクタ部分を含めて防塵防水が必要な場合には、コネクタの防塵防水対策がしっかり行われているかを確認してください。
この記事では、産業用の防塵防水カメラについて解説しました。
防塵防水カメラは、野外での使用だけでなく、室内でも発塵や液体が飛び散る環境で大変便利です。近年では小型の防水カメラも登場しており、活用の範囲がさらに広まっています。発塵や液体が少しでも気になる環境でカメラを使用される場合には、防塵防水対応のカメラをご検討ください
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