レンズには、8mm、16mmなど焦点距離別にラインナップがあります。
レンズを選ぶ際には、カメラを使用する環境に合わせてこの焦点距離を選択する必要があります。
焦点距離は、以下のような条件から決まります。
- WD(ワーキングディスタンス)と 撮影範囲
- 画角(FOV)
今回は、それぞれから焦点距離を求める方法を解説いたします。
産業用カメラの場合、一般のカメラとは異なる制約条件に適合するレンズ選定が必要になります。
例えば、装置内で固定される場合は、近接状態で焦点が合うレンズでなければぼやけてしまいます。
一般のカメラのように、撮影者が後ろに下がれば良いということにはならないため、ワーキングディスタンスが重要です。
また狭い筐体内で、撮影対象範囲を適切に納めるための画角も考慮する必要があるでしょう。
そこで今回は「カメラのレンズの選定方法」と題して、「画角」や「ワーキングディスタンス」からレンズを選ぶ手順を紹介します。
レンズには、8mm、16mmなど焦点距離別にラインナップがあります。
レンズを選ぶ際には、カメラを使用する環境に合わせてこの焦点距離を選択する必要があります。
焦点距離は、以下のような条件から決まります。
今回は、それぞれから焦点距離を求める方法を解説いたします。
焦点距離はレンズの中心から撮像素子までの距離を指します。
この、焦点距離を求めるためには、
が必要です。
WD(ワーキングディスタンス)と撮影範囲は測定可能です。
図の通り、WDは「レンズ先端から被写体までの距離」を指します。
WDでは「レンズ先端から」の距離を見ますが、レンズフードをつけた場合は「レンズフードの先端から」となるため注意が必要です。
また撮影範囲は「カメラが捉える範囲の幅と高さ」を指します。
例えばマシンビジョンの用途ですと、カメラを装置に組み込んで用いたり、装置に固定されたカメラを用います。どちらにせよ「機器に固定」されるため、個別の被写体に合わせて距離を取れないケースが多いでしょう。
WDと撮影範囲を測定することで、目的に合ったレンズを選定できます。
WDと撮影範囲から焦点距離を求める式は以下です。
焦点距離 = (イメージセンサのサイズ×WD) / 撮影範囲
イメージセンサーのサイズはセンサーのサイズ(カタログ値)をご参照ください。
画角とは「撮影範囲をカメラからの角度で表したもの」です。
カメラの画角はレンズの焦点距離と撮像素子(COMSセンサー等)のサイズで決定されます。
一般に望遠レンズは画角が狭く、広角レンズは画角が広いです。
画角が明確な場合は、以下の式から焦点距離を求められます。
焦点距離 = イメージセンサの対角線の長さ / ( 2 x tan (画角/2) )
この式に各値を代入して求めるためには「イメージセンサーの対角線の長さ」を割り出す必要があります。
イメージセンサーのサイズはセンサーのサイズ(カタログ値)をご参照ください。
イメージセンサーの幅と高さが分かれば、対角線は「幅の二乗と高さの二乗の和の平方」で求められますから、こちらの式を用いて対角線を導くことができます。
画角から焦点距離を計算する方法を紹介しましたが、通常は、画角もWDと撮影範囲から求めている場合が多いのではないかと思います。最後に、WDと撮影範囲から画角を求める方法を紹介します。
まずは求める対象を明確にしましょう。
立体状態では求めにくいですから、平面化して捉え直してみます。(「撮影範囲」に関しては上述の通りです。)
さらに求めやすいように、被写体までの距離を底辺とした三角形を取り出してみましょう。
このうち2つの値がわかっています。
2つの値がすでに割り出せているため画角は、三角関数で求めることができます。
こちらの式に代入して計算してください。
尚、算出される値は「tanθ」である点に注意しましょう。
tanθの値が求められたら、角度を求めます。
先ほどの方法で求められるのは垂直画角です。
画角には「垂直画角」の他にもう一つ「水平画角」があります。
水平画角を求めたい場合は「撮影範囲の幅」を活用し、上述の式に当てはめて計算しましょう。
条件にあったレンズを選択することで、適切な静止画像・動画撮影が可能です。
弊社でも「Optikronの超小型カメラ」のレンズ選定に関してお問い合わせをいただくケースが多いため、実際の事例をご紹介いたします。
Lens Calculation for Pro & Smart Series Cameras
上記のサイトで、Optikroのカメラの型番、WD、撮影対象物のサイズから、焦点距離やFOVを求めることができます。
こちらはOptikronの「超小型カメラLシリーズ」です。
機械、ロボット、FA、複雑なシステムに簡単に組み込める小型CMOSカメラ。
高解像度、高光感度および高速自動調整により、様々なアプリケーションにおいて非常に高い性能を発揮します。
Optikronの「超小型カメラLシリーズ」の標準レンズは4、8、16、25mmです。
Sマウントであれば標準レンズ以外のレンズも自由に選択できます。
(Lシリーズ/SmartLシリーズ用レンズアクセサリーはこちら)
例えば、ロボットビジョン用にカメラを検討しているという以下のようなご相談がありました。
対象から100mmの箇所にカメラを設置する予定。撮影の対象物(撮影の範囲)は70mmx90mmが最大。
カメラは、OptikronのSeriesL(1/4"CMOS画素センサー)を検討している。
この場合、条件は以下のようになります。
焦点距離(X) = (イメージセンサのサイズ×WD) / 撮影範囲
= (3.651x100)/90 = 4.05
焦点距離(Y) = (イメージセンサのサイズ×WD) / 撮影範囲
= (2.744x100)/70 = 3.92
よって、このCASEでは、「4mm」のレンズを選択すれば、期待する撮影範囲が実現できます。
画角30度(対角)が欲しい。
カメラは、OptikronのSeriesL(1/4"CMOS画素センサー)を検討している。
この場合、条件は以下のようになります。
イメージセンサの対角線の長さ = √(3.651^2 + 2.744^2) = 4.567
焦点距離(対角) = イメージセンサの対角線の長さ / ( 2 x tan (画角/2) )
= (4.567)/ (2 x tan (30/2)) = 8.52
よって、このCASEでは、「8mm」のレンズを選択すれば、期待する画角が実現できます。
また、弊社製品は「デモ機の貸し出し」を行い、実際に検証していただくことが可能です。
計算した結果通りの撮影範囲や画角が得られているかを確認ください。
「超小型カメラ」を製造しているOptikron(オプティクロン)社は、ドイツの光学メーカーです。
特に「レンズの品質が高い」という点が強みです。
詳細は「OptikronのCMOSカメラを導入するメリット」よりご確認ください。