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カメラの配線ノイズと削減方法

周辺の電子機器から電磁波を受けることで、カメラにノイズが入るケースがあります。
今回は電磁ノイズとその対策について解説いたします。

そもそも電磁ノイズとは?

電磁ノイズとは「電磁ノイズ障害を引き起こす電磁波」を指します。

電磁波(でんじは 英: electromagnetic wave)は、電場と磁場の変化を伝搬する波(波動)である。光や電波は、電磁波の一種である。

Wikipedia「電磁波」より引用(最終閲覧日:2020/05/27)

電磁波それ自体は、雷や静電気など自然界にも存在するものですが、この「電磁波」が機器に影響を与えると、回路に電流が伝導されます。
本来なら不必要な電流によって電子機器が影響を受け、本来とは異なった動作を引き起こします。

カメラの場合は、撮影や記録データに影響が出ます。例えば、カメラの場合は映像に乱れが生じたり、音声にノイズが混じる等の現象が発生します。またCVBSの場合、カラー情報が飛んで白黒になるというケースもあります。

このように電磁ノイズによって、意図しない挙動が引き起こされることを「電磁ノイズ障害」と言います。
そして「電磁ノイズ障害を引き起こさせた電磁波」を電磁ノイズと言います。

例えば、雷によって機器に問題が生じた場合「雷」が「電磁ノイズ」に該当します。

【電磁ノイズの発生源】自然か人工か

先ほど「雷」を例に挙げましたが、電磁ノイズには自然界に存在するものと、他の電子機器の電磁波とに分類されます。雷・静電気の放電等は「自然ノイズ」、人間が作り出した機器によるノイズは「人工ノイズ」と言います。

EMC(EMIとEMS)

EMI(Electromagnetic Interference)は、電磁妨害を指します。他の機器に電磁ノイズが干渉してしまい影響を与えることを言います。
一方EMS(Electromagnetic Susceptibility)は「電磁感受性」を指します。他の機器からの電磁ノイズの干渉を受けることを意味します。

EMIとEMS

電子機器においては、電磁ノイズの放射(EMI)と侵入(EMS)を防ぐ必要がありますが、これらを総合してEMC(Electromagnetic Compatibility)と言います。
EMCは「電子両立性」とも訳されますが、これは、

  • 他の機器に電磁妨害(EMI)を与えない
  • 外部から電磁ノイズの侵入(EMS)があった場合も影響を受けない

これら2つが両立しているという意味合いです。
近年、技術の発達によってより一層電子機器が増えました。電子機器同士が密状態となると、距離が近いため必然的に電磁ノイズ与える影響も大きくなります。そのため、電磁ノイズを出さず・ノイズの侵入をブロックするEMC対策の重要性は増しています。

伝導ノイズと放射ノイズ

EMI(電磁妨害)は電磁波の伝わり方によって「伝導ノイズ」と「放射ノイズ」に区別されます。

伝導ノイズはワイヤやケーブル、電源線、基板回路等を経由して電磁ノイズ障害を起こすノイズのことです。
他方、放射ノイズは発生源から空間へと放射されるノイズを指します。

伝導ノイズと放射ノイズ

カメラのノイズ削減方法

ここからはカメラのノイズの「削減方法」について見ていきます。
今回は「配線ノイズ」について取り扱っているため「ケーブルの対策」についてご紹介いたします。

配線ノイズ対策

  • シールドケーブルを使う
  • ツイストペアケーブルを使う
  • フェライトコアを使う
  • グラウンドをとる

シールドケーブルを使う

シールドケーブル(shielded cable)とは、電磁ノイズの干渉を最小化もしくは排除するために配線をシールドで保護した電気ケーブルです。

シールドケーブル

構造としては、最外層にジャケットがあり、ジャケットの内側に「シールド」があります。

シールドの内側には、絶縁体で覆われた導体があります。この導体が電気信号の伝送に関わります。

一般的にシールドは、静電誘導の対策として用いられています。

静電誘導(せいでんゆうどう;Electrostatic induction)とは帯電した物体を導体に接近させることで、帯電した物体に近い側に、帯電した物体とは逆の極性の電荷が引き寄せられる現象。導体中を実際に電荷が移動することで引き起こされる。

Wikipedia「静電誘導」より引用(最終閲覧日:2020/05/27)

シールドは、導電層として内部の導体を覆っています。
これがバイパスの役割を果たし、静電誘導の電界の侵入及びノイズの発生を抑えることができます。

ツイストペアケーブルを使う

ツイストペアケーブル(Twisted pair cable)は名前の通り2本のケーブルが捻れるように絡み合った構造のケーブルを指します。より合わせられた形状から日本語では「より対線」とも呼ばれます。

平行ケーブルより、ノイズの影響を抑制できることから、EMC対策として用いられます。

ツイストペアケーブル

ツイストペアケーブルは「より合わせる」という点がポイントです。
2本のケーブルをより合わせることで平衡状態になり、電流伝導時の磁気を打ち消すようになっています。
放射ノイズを受けた場合でも打ち消しによってノイズ発生を抑制するという効果があります。

またツイストペアケーブルは、シールドの有無によって次のように区別されます。

  • UTP(Unshielded Twist Pair cable:シールド無しのツイストペアケーブル)
  • STP(Shielded Twist Pair cable:シールド有りのツイストペアケーブル)

フェライトコアを使う

フェライトコアとは、フェライトを用いた磁気素材です。
高周波吸収特性に優れるという特性があります。

フェライト(ferrite)は、酸化鉄を主成分とするセラミックスの総称である。強磁性を示すものが大半であり、磁性材料として広く用いられている。

Wikipedia「フェライト」より引用(最終閲覧日:2020/05/27)

一般的にフェライトコアはリング状になっており、穴の部分にケーブルを通したり巻き付けたりします。

フェライトコアを用いることによって、インピーダンス(交流の流れを妨げるものを指します)によってノイズを遮断したり、またノイズを吸収する効果があります。

フェライトコア

グラウンドを取る

「グラウンドを取る」とは「アース付き電源ケーブルを用いて電磁ノイズを逃すこと」を指します。

アース線

「アース付きの電源ケーブル」には、電源プラグに「アース線」がついています。

アース(earth)は元々、機器を地面と接続させることや、接続線そのものを指しており、アースによって地球の電位と揃えることで、大きな電流が装置に流れるのを防ぎます。

カメラの電磁ノイズの場合も、アース線を用いてグラウンドを取ることで抑制が期待できます。

製品紹介

産業用途で幅広く活用されているドイツのOptikron(オプティクロン)社製造の超小型カメラです。

高い技術力を有するOptikronによって、超小型ながら「無限遠」の被写界深度を実現。

Optikronロゴマーク

Optikronロゴマーク

最小「Φ1.8mm×12mm」の超小型サイズの「XSシリーズ」から、フルHD画質の「Lシリーズ」まで様々なニーズに対応できます。

用語集

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