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USB規格は、共通の決まりによって使い勝手が向上している一方で色々な制約もあります。
本記事のテーマである「USBのケーブルの長さ」もその制約の一つです。「USBカメラのようなUSB機器をPCから離れた場所で使用したい」という要望があっても、USBの規格で長さが制限されてしまっています。
ただし、制限している理由を正しく考慮すれば、USB規格で決められた長さの制限を超えていても機器を動かすことが可能です。 本記事では、「USBのケーブルの長さの規格」と「USBでケーブルを長くできない理由」を解説したうえで、「USBケーブル延長の方法」をご紹介していきます。
パソコンと周辺機器を繋ぐインターフェースとして最も有名な規格がUSB規格です。
USB規格は、Universal Serial Busの略称で、Universal(ユニバーサル)の文字が示す通り、プラグ&プレイやホットプラグなど「いつでも差し込むだけで使用が可能になる」という使い勝手の良さから、幅広い機器で採用されています。
2000年に策定されたUSB2.0では「転送速度の高速化」と「電源供給」がサポートされたことで産業用カメラなどへの普及も一気に加速し、現在は、USB4まで規格が定義されています。
USBの長さの規格は、転送速度が上がり電源供給も担うようになったUSB2.0の時に5mと定められました。
それ以降の規格でも、それぞの規格で最大の長さが決められていますが、その長さは転送速度の高速化と反比例して短くなっています。
USBケーブルの長さが制限される理由は、以下のような観点で、転送中のデータの損失などが発生する危険性があるためです。
ケーブルの電気抵抗は”0”にはならないため、ケーブルを通っている信号はどんどん減衰して弱くなってしまいます。そのため、例えば”1”であるはずの信号が減衰してしまい"0"と判定されてしまう可能性が出てきます。
ケーブルが長くなると、ノイズなどの影響も大きくなります。そのため、例えば”0”であるはずの信号にノイズが加わることで”1”と判定されてしまう可能性が出てきます。特に、データの転送速度が速くなると、0/1の信号の切り替えタイミングも早くなるのでノイズと信号の見分けが難しくなってしまいます。
USB機器側で想定し検査しているケーブル長は規格で決められた長さです。よって、USB規格の制限を超えたケーブルの延長は、延長したことによる影響を考慮した上で、自己責任で行う必要があります。
USBケーブルの延長方法を4つ紹介します。
USBケーブルの延長ケーブルは、一方がメス、もう一方がオスになっているので、簡単に伝送距離を延ばすことができます。
この際に、気を付けるべきは、「信号の減衰量やノイズの影響は、ケーブルの性能に依存する」という点です。
つまり、USBケーブルを延長してもデータ転送エラーを起こさないためには、ノイズ対策をしたケーブルが必要となります。
「配線ノイズの削減方法」には以下のような方法があります。
詳細は、以下の記事をご確認ください。
USBカメラの配線ノイズの内容と削減の方法をより詳しく紹介します。
→USBカメラの配線ノイズと削減方法
ケーブルを繋ぐだけで、手軽に通信距離を延長できます。
通常のケーブルからシールド機能が強いものを選択するだけなので、比較的安価に購入できます。
ノイズをなるべく小さくする考慮しているだけなので、制限を大きく超えた延長はできません。延長すればするほど問題が発生するリスクが高くなります。
USBリピーターは、減衰した信号やノイズがのった信号を復元するための「IC」が搭載された機器です。 このUSBリピーターを一定長さ毎に挿入することで、USB信号の減衰を抑えて信号が遠くまで届くようにすることができます。
端子部分またはケーブル内にUSBリピーターを内蔵したケーブルが、USBリピーターケーブルです。
USBリピーターケーブルには、「USB接続の電源を使用するタイプ」と「別途ACアダプターで電源供給を行うタイプ」があります。 「別途ACアダプターで電源供給を行うタイプ」の方が信号を増幅(復元)する能力が高く長距離の伝送も可能になります。中には100mの延長を想定した製品もあります。
延長距離が長いものであれば、100mの延長も可能
USBカメラは比較的ノイズに弱いので注意が必要です。
USBエクステンダーは、PCとUSB機器の間に信号の”送信機”と”受信機”を挿入し、その間をLANケーブルで接続する方法です。
USBの信号を独自の信号に変換して送受信するため、安定した伝送が実現されます。
USBエクステンダーの中には、複数のUSBポートを有しており、4つのUSBを延長することができるものもあります。
USBの信号をそのまま延長するのではなく、独自の長距離送信に適した信号に変換するため、長距離送信でも信号エラーが起きにくくなります。
延長距離が長い製品であれば、100mやそれ以上の延長が可能です。
信号を変換するので、複数のUSB機器が接続できるようになっているUSBハブ機能を兼ね備えたモデルもあります。
LANの規格はもともと長距離の取り回しが想定されている規格なので、USBケーブルと比較すると、長距離で頑丈で取り回しやすいLANケーブルは入手が容易です。
専用の送受信機を使用するので、他の手法と比較して価格が高くなります。
専用の送受信機の設置が必要になります。特にUSB機器の周辺に機器を設置する必要があるため場所がなければ設置することはできません。
電気信号を半導体レーザーやLED等を使用して一度光に変換した後、転送し、再度光を電気信号に戻します。
光ファイバーは、情報を高速且つ低劣化で伝送できるため、大量の通信データを長距離で伝送するのに向いており、300mの伝送が可能という製品も存在しています。
光ファイバーは信号の損失が少ないため、長距離伝送が可能です。
光ファイバーは高速通信が可能なため、大容量のデータを転送可能です。現在、高速になっているUSB3.x等でも対応が可能です。
通信に光を使用するため、周りからの電波干渉、ノイズ(磁力線)の干渉を受けずに通信できます。また、外部に電磁波を出さないため、精密測定機器等がある現場にも向いています。
光ファイバーは、プラスティックやガラス繊維を使用するので、電気配線よりも軽量で耐久性に優れいます。
専用の送受信機および光ファイバーケーブルを使用するので、他の手法と比較して価格が高くなります。
光ファイバーケーブルは曲げやねじれに弱く、 ケーブル敷設時には注意が必要です。
USBには、データ送信の利便性や確実性を確保するための規格があり、接続するケーブルの長さも決められています。
接続するケーブルの長さを規定するのは、延長した際にノイズにより機器が使えなくなるのを防ぐためなので、信頼性(ノイズ耐性)、延長距離、簡易性、コストを考慮して延長手法を適切に選択する必要があります。
本記事では、以下4つの延長手法を紹介しましたので、検討の参考してしていただければ幸いです。
USBケーブルの延長方法
ビットレートとは
センサーサイズによる違い
カメラの防水規格
UVCカメラとは
レンズの選び方
ハイスピードカメラとは
v4l2でカメラパラメータを確認
USBカメラの「ゲイン」設定
産業用カメラの選び方
KLV大学マシンビジョンコース