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ビデオカメラのビットレートとは ビットレートを決める3要素を解説

ビデオカメラの性能を表すものに「ビットレート」があります。
本記事では、ビットレートの概要、計算のしかた、ビットレートと関係の深い動画の圧縮規格、そしてカメラのインタフェースとビットレートの関係など、ビットレートに関わる内容を解説します。

ビットレートとは

カメラのビットレートは「カメラからの画像データを単位時間にどれだけ伝送しているかを示す指標」です。

単位は「bps」(ビット/秒)です。
すなわち、情報の最小単位である「ビット数」が一秒間に伝送される量を示す数字となります。

ビットレートは、伝送する画像の内容によって変わるため、1秒間の画像の枚数である”フレームレート”が一定でも”ビットレート”は一定ではなく変動しています。

ビットレートに影響を与える因子

ビットレートの計算方法は、「イメージセンサの画素数×フレームレート×圧縮率」です。
ここからは、ビットレートに比例する「イメージセンサの画素数」・「フレームレート」・「圧縮率」の三要素を詳しく解説していきます。

画素数とビットレートの関係

カメラのイメージセンサの画素数が多ければ、1枚の画像のデータ量が増えて大量の情報を送ることになるため、一般的にビットレートは高くなります。
単純に計算すると、同じフレームレートであれば、イメージセンサの総画素数が100万画素のビデオカメラと1000万画素のビデオカメラを比べると、1000万画素のビットレートが10倍になります。

1枚の画像のビット数は、「イメージセンサの”縦の画素数”×”横の画素数”×”一画素当たりのビット数”」となります。一画素当たりのビット数はカメラによって異なり、濃淡情報や色情報を増やすほど画像が綺麗になりますが、ビット数も増えます。

イメージセンサー

フレームレートとビットレートの関係

フレームレートは、「単位時間当たりに送れる画像の枚数」を指します。

動画の原理は、静止画の連続体です。
映画のフィルムやパラパラ漫画を思い浮かべるとわかりやすいですが、少しずつ異なる静止画を連続して表示することにより、動いているように見せています。
この時の1秒間に表示する画像の枚数がフレームレートで、多ければ多いほど画像が滑らかになります。

ビットレートとフレームレートは混同しやすいですが、ビットレートが「総データ量」なのに対して、フレームレートは「画像の枚数」であるところが違います。

当然、フレームレートが高いほど、ビットレートも高くなります。
例えばイメージセンサの画素数が同じ場合で、フレームレートが5fps(フレーム/秒)のものと、10fpsのものでは、10fpsの方が画像の枚数が2倍なので、ビットレートも約2倍になります。

 

圧縮率とビットレートとの関係

カメラからの画像はデーター量を減らすために通常を圧縮して送ることが多くあります。
圧縮方式や画像の内容にもよりますが、圧縮率は1/10から1/50程度で、その分だけビットレートを低下させることができます。

ビデオカメラで撮影された動画の圧縮は、ビデオカメラに内蔵された動画圧縮機能によって圧縮されて伝送されます。
ここでは、産業用カメラの圧縮規格として多く使われる、MPEGとMJPEGの2つの「非可逆圧縮」方式を紹介します。非可逆圧縮というのは、圧縮した動画を展開した時に元の動画を完全には復元できないという方式です。つまり、情報をある程度欠落させて圧縮を行います。

 

1. MPEG

MPEGは、産業用に限らず広く使われている圧縮方式です。

MPEGの特徴は圧縮率が比較的高いことで、データ量の多い動画でもコンパクトに圧縮することができます。
圧縮率が高い理由は、フレーム間圧縮と呼ばれる方法を採用しているからです。
フレーム間圧縮は、毎回フレームの内容をすべて送るのではなく、基準となるフレームとの差分のみを送る方式で、これにより高い圧縮率を実現できます。

ただし、以下のようなデメリットもあります。

  • 動きの激しい動画ではフレーム間圧縮の処理が間に合わず、画面上にブロックノイズと呼ばれる四角形のノイズが現れることがある。
  • フレーム間の差分が大きい動画では圧縮率が上がらない
  • 1フレームごとの画像を切り出すことが難しい

このようなことから、画質が要求される産業用カメラでは若干不利になります。

2. MJPEG(Motion JPEG)

MJPEGは、歴史的にはMPEGよりも早くに制定された規格です。
元になった規格は、静止画の規格であるJPEGであり、JPEGを動画圧縮に発展させた規格となっています。

MJPEGは、動画を「圧縮のかけられた独立した静止画の連続体」と捉えて、それぞれの画像を圧縮します。
フレーム間圧縮を行いませんので、MPEGのデメリットである、ブロックノイズは発生しませんし、1フレーム単位で切り出しやすいというメリットもあります。
1フレーム毎にプログラムで処理することが多い産業用カメラでは、このような圧縮方式の方がメリットが大きいです。

他にも、MJPEGの方式は比較的簡単なので、システムが安価という点もメリットになります。
さらに、規格の歴史も長く「枯れた」技術であり、アプリケーションも豊富で安定している点も産業向けに有利に働きます。

デメリットは、フレーム間圧縮を行わないため圧縮率がMPEGより低くなる点です。
ビットレートが高くなる場合には、高い伝送速度のインタフェースを使う等の対策が必要になります。

ビットレートが高い場合のメリット・デメリット

次にビットレートが高い場合のメリット・デメリットについて解説します。

メリット

  1. 画素数の多いイメージセンサを使うことができます。このため、動画の画質が上がり、より精緻な画像を取り込むことができるようになります。
  2. フレームレートを上げることができます。このため、動画の動きがスムーズになり、より速い動きを取り込むことができるようになります。また、同じ時間ならより多くの画像を取り込むことができるようになります。
  3. 圧縮率を下げることができます。このため、生データや圧縮率の低い圧縮方式を使うことができるようになり、圧縮時の画像情報の欠落を最小限に押さえることができます。

デメリット

  1. 単位時間当たりのデーター量が多くなるために、動画の圧縮・展開に、より高速性が求められます。
  2. 画像データーを保存したい場合にはより高速・大容量の記憶デバイスが必要になります。
  3. システム本体とカメラをつなぐインターフェースの転送速度もより高速なものが求められます。

つまり、画質や滑らかさを追求すると”総画素数の増加”、”フレームレートの向上”、”圧縮率の低下”が必要になりますが、どれもビットレートが上がります。よって、「総画素数」・「フレームレート」・「圧縮率」と「ビットレート」のバランスをうまく考えながらカメラを選定することが重要です。

近年は、ハードウェアや伝送インターフェースが高速化・大容量化に対応しており、十分な速度と容量をを確保することができるようになりつつあります。

 

伝送インターフェースとビットレート

最後にインターフェースとビットレートについて解説します。

先に述べたように、動画の画質や滑らかさを追求すると、高いビットレートが必要になります。
この時、カメラのシステムだけではなくカメラとPCを結ぶ伝送インターフェースの最大転送速度が重要になります。

産業分野で近年注目を浴びている伝送インターフェースには、「USB2.0」、「USB3.0」、「ギガビットイーサネット(GigE)」などがあります。

USB2.0

2000年にUSB1.1のハイスピードモードとして登場した規格で、最大480Mbpsの最大転送速度を持っています。

規格上は最大127台の機器が接続が可能です。転送速度が上がったことに加えてホストPCのアダプターから電源供給ができる機能を搭載したことで、産業用カメラへの導入が一気に進みました。PCにUSB接続するだけで、ドライバー等が不要なUVCカメラも普及しており、大変使い勝手の良いインターフェースです。

usb-plug.jpg

USB3.0

2008年に登場したUSB2.0の上位規格です。最大転送速度が5GbpsとUSB2.0の約10倍を達成しています。

ギガビットイーサーネットよりも早く、もっとも最大転送速度の早いインターフェースです。

ギガビットイーサーネット(GigE)

イーサーネットの最大転送速度10Mbps、100Mbpsを広げるため、1996年から標準作業が進められたものです。

今までのイーサーネットとの互換性を保ちつつ、標準化が進められた規格で、最大転送速度1Gbps(1000Mbps)で、100mまでの延長が可能です。
一度にデータを伝送する方式も行うことができるため大容量データ転送ができ、近年の産業用カメラにも出力インターフェースとして採用が進んでいます。

まとめ

本記事では、カメラのビットレートについて解説しました。

一般的にカメラのビットレートが高い方が画質は高いですが、処理や伝送の負担が大きくなります。
使用目的に応じて適切な画素数・フレームレート・圧縮率を調整することが必要になります。

産業用「超小型」カメラ Optikron

Optikronのカメラはその大きさに特長があります。

「超小型」。

海外のコインとのサイズ比較画像がこちらです。

動画の圧縮形式としてMJPEGを採用しており、取得した画像を1枚ずつプログラムに取り込んで処理するという用途でもご活用いただいています。

超小型カメラサイズ比較画像
Optikronの超小型カメラ

超小型カメラシリーズ

超小型カメラモジュールは、サイズ別にXS、S、M、Lの4つのシリーズ製品があります。

  • φ1.8mm〜の超小型
  • HD、フルHD「高画質」
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