私たちが「照明に照らされた物」の明るさを認識するのは反射光によるものです。
これは照度によって数値化されます。単位はルクス(lx)です。
ルクスの他にも、カンデラ(光度、Cd)、ルーメン(光束、lm)と「明るさ」を表す指標は様々あります。
産業用カメラをマシンビジョン用途で使おうとする場合「光量が足りない」というようなケースが出てきます。
その際、考慮すべき値として「ダイナミックレンジ」が挙げられます。
ダイナミックレンジはカメラの仕様を表す数値です。
今回はダイナミックレンジについて解説しつつ「産業用カメラでダイナミックレンジを考慮すべきシーン」についても併せてお伝えしていきます。
ダイナミックレンジ(dynamic range)とは、処理可能な信号の最大値と最小値の比率を表した数値で、単位はdB(デシベル)で表記されます。
この「処理可能な信号」ですが、カメラの場合は「光」です。
つまりダイナミックレンジは、カメラにおいて「露光可能な光の範囲」を指します。
カメラのセンサーには、撮影できる明るさと暗さの範囲に限界があります。明るすぎるものは白飛びし、暗すぎるものは黒潰れするのはそのためです。
明るさの階調が無くなり、白く表示されています。
光量が足りないことにより、明度差が失われ黒く塗りつぶされます。
白飛びはセンサーが捉えられる「明るさの最大値」を超えた場合に起こる現象です。
反対に明るさの最小値(暗さ)を超えると黒潰れが起こります。黒潰れはセンサーが十分な量の光を捉えられていないために黒く塗りつぶされてしまう現象です。
白飛び・黒潰れの現象からも分かる通り、カメラには写せる光と写せない光があります。
私たちが「写せる光の範囲」を知る際に見るべきカメラのスペックが「ダイナミックレンジ」です。
ダイナミックレンジは、写せる光の最大値と最小値の比率を数値で表したもの。
ダイナミックレンジを見ることで、私たちは「カメラの写せる光の範囲」を知ることができます。
ダイナミックレンジでわかるのはセンサーが扱える「明るさ」の程度です。
明るさにもいろいろあります。
例えば「照明」が明るいというのと「部屋」が明るいというケースでは、違いがあります。
前者は光源そのものの明るさ、後者は「照明に照らされた物」の明るさです。
私たちが「照明に照らされた物」の明るさを認識するのは反射光によるものです。
これは照度によって数値化されます。単位はルクス(lx)です。
ルクスの他にも、カンデラ(光度、Cd)、ルーメン(光束、lm)と「明るさ」を表す指標は様々あります。
照明の光の量や明るさはルーメンやカンデラ、照明に照らされた物の明るさはルクス(照度、lx)で表記されます。
ポイントは、照明の「光の明るさ」と「照らされた物の明るさ」が区別されている点です。(この図で表されるところのリンゴの明るさは「照明の反射光による明るさ」です。)
カメラの撮影の場合「太陽に照らされた環境」で撮影したり、「照明の少ない環境」で撮影します。
余程特殊なケースではない場合、太陽や照明それ自体を撮影することはありません。つまり私たちは「照らされたものの明るさ」を撮影しているのです。
ダイナミックレンジは「露光可能な光の範囲の最大値と最小値の比率」ですから「撮影対象の明るさ」が問題になります。
つまり「撮影対象の明るさがセンサーでカバーし得る範囲内に収まっているかどうか」を気にすると良いというわけです。
では「撮影対象の明るさ」を見るにはどうすれば良いかというと「照度(lx)」に着目しましょう。
照らされたものがどれだけ明るいかを見ることができる指標はルクス(lx)で表される「照度」です。
撮影対象の明るさを見る際に参考となる指標が「照度」です。
照度は「太陽光の下での明るさ」や「星空の下での明るさ」等、私たちが「環境による明るさの違い」を把握する際にも役に立ちます。
満月の夜の明るさは「0.2〜1lx(ルクス)」と言われています。色や形が判別できる程度ですね。
さらに暗い星の明かりが、最大限明るい場合は「0.01lx」です。
皆様が撮影したい対象を、白飛び・黒潰れせず撮影できるかカメラを知りたいという場合はダイナミックレンジを求めると良いでしょう。
ダイナミックレンジは照度で求めることができます。
20log10(照度の最大値/照度の最低値)=ダイナミックレンジ
例えばこのような風景を撮りたいという場合。
まずは「最も明るい箇所の照度」と「最もくらい箇所の照度」を求めましょう。
照度計を用いて測定すると正確ですが、ここでは上記の表より数値を用います。
この場合、快晴時の照度「100,000lx」と、最も暗い木陰は照度「10,000lx」とします。
この2つが「照度の最大値」と「照度の最小値」になります。
これらを式に当てはめると次のように計算できます。
20log10(100,000 lx/10,000 lx)= 20 dB
この画像を問題なく撮影したい場合に必要なダイナミックレンジは「20dB」とわかります。
LOG10関数を用いることで簡単に求められます。
この場合「B行の2列目」割る「C行の2列目」ですから、次のように関数を組みます。
=20*LOG10(B2/C2)
A行の2列目にこの式を入力すると、ダイナミックレンジが求められます。
先ほどの「快晴と日陰」の例で挙げたような画像を問題なく撮影したい!というシーンで、ダイナミックレンジを計算しました。
その結果、20dBと求められました。
つまり、この画像を撮影するためには、少なくとも20dBのダイナミックレンジを有するカメラが必要ということがわかります。
人間の目が捉えられる光の範囲が青色、カメラのセンサーが捉えられる範囲(ダイナミックレンジ)がオレンジ色で記載されています。
私たち人間の目は、基本的にカメラのセンサーよりもダイナミックレンジが広いです。
そのためカメラで撮影したイメージは、目視の場合より情報量が落ちます。(私たちの目が拾えている明るさでも、カメラで撮影すると白飛びするというケースはこのためです。)
この点に留意し、カメラを選定する際は「私たちに見えるかどうか」ではなく、あくまで「ダイナミックレンジ」を見ると良いでしょう。
ダイナミックレンジが広いほど、濃淡のはっきりした立体的な静止画像や動画を撮影することができます。
とはいえ「ダイナミックレンジ」にこだわるのではなく、あくまで「撮影対象は何か」から見極めると良いでしょう。
先ほどの式を用いることで、撮影したい対象や環境から、ダイナミックレンジにおおよその目安をつけることができます。撮影したい対象から得たい情報が何か、その情報がカメラのダイナミックレンジ内に収まるかを意識する必要があります。
ニーズに合ったカメラを選択することで、コストを抑制し最適なカメラを見つけてください。
産業用カメラの選定の際に「撮影環境」や「撮影対象」によって、撮影される画像が想定通りにいかないケースがございます。
ここからは「ダイナミックレンジが関わってくるシーン」についてお話しします。
動画は1枚1枚の連続した静止画によって構成されています。
この静止画のことを「フレーム」と呼び表しますが、ラインの速度が速い場合、1フレームあたりの光量が足りなくなることがあります。
これは、ラインの速度に合わせて「露光時間を短くせざるを得ない」ために起こります。
また撮影現場そのものの光量が足りない場合も、 光量が足りないため黒潰れが起こる可能性があります。
例えば「太陽光の差し込む窓」のように、撮影現場に極端に明るい物がある場合があります。
その場合、カメラのダイナミックレンジでは対応しきれず、本当に見たい部分が黒飛びしてしまう可能性があります。
「極端に明るいものがカメラの視界に入らないようにする」、「暗く沈んでしまう箇所に光を当てる」等の工夫をすると良いでしょう。
明るさの階調が失われることを「白飛び」と言いますが、白飛びが起こる場合、撮影対象や撮影環境がカメラのダイナミックレンジを超えていることによって起こります。
所謂「露出過度」の状態です。つまり「センサーが捉えられる明るさよりも撮影対象が明るい」状態です。
このように明るいものを撮影する際は、フィルターを使い光量を落とし、明暗差を少なくするという方法もあります。
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