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紙は情報を伝える媒体として活用されてきました。 また近年では、脱プラスチックの観点から梱包資材や紙製食器としても利用が広がっています。
紙製品の研究開発や製造の品質管理において、水分量の測定は重要な指標の一つです。 水分量が基準を外れていることで、製品の品質や生産性の低下に繋がる恐れがあります。
それらを未然に防ぐため、紙製品の研究開発や製造において水分量の測定が行われます。
水分量の測定方法は複数の方式があり、紙に対応できて、ニーズに適した方法が選ばれます。 ここでは紙の水分量測定に用いられる各方法の解説から、近年注目されている分光器を用いた水分量測定について詳しくご紹介いたします。
様々な業界で紙の水分量測定が行われています。
紙を製造する際の乾燥工程や製品の研究開発において、水分量測定が行われています。
製紙だけでなく、パルプを用いた新たな製品の研究開発などでも活用されています。 製品の品質管理に加え、水分量測定の結果をもとにした製造工程の最適化を実現することができます。
衛生用紙やインテリア用途の紙など、加工を施した紙製品の開発・製造が進められています。
紙を用いたあらゆる製品の研究開発が行われており、製造時の品質を保つための指標に水分量を計測します。 具体的には、トイレットペーパーやティッシュペーパー、壁紙やふすま紙などが挙げられます。
紙の製造時だけでなく、印刷時においても水分量測定は重要です。 保存状態により紙の水分量が変動しインクの乗りなどに影響を及ぼす恐れがあるため、印刷前に検査を行います。また印刷後にも水分量を測定し、品質管理を行います。 それにより、紙の歪みやインクの定着不良などの防止に繋がります。
段ボールや紙器の開発・製造が行われています。 脱プラスチックの動きが進んでいる近年、紙器の活用が盛んになっています。それに応じて、より幅広いアプリケーションに対応できる製品の研究・開発が進められています。
水分量測定は、材料の最適化や耐久性・伸縮性の向上などの研究開発に用いられます。 また製造時にも、製品の形状や保護性能を保つため品質管理としての検査が行われています。
実際に紙の水分量を測定する方法として下記が挙げられます。
対象の水分量と電気抵抗の関係を利用して、間接的に水分量を算出する方法です。
検針(プローブ)を対象に接触させ、電気を流します。 水分が多いほど抵抗は低くなり、その相関関係をもとに水分量を推定します。
対象の水分量と静電容量の関係を利用して、間接的に水分量を算出する方法です。 電気を利用する点は電気抵抗法と似ていますが、仕組みや特徴は異なります。
電極センサを対象に接触させ、電気を流します。 水分が多いほど静電容量が多くなり、その相関関係をもとに水分量を算出します。
水がマイクロ波を吸収する特性を利用し、間接的に水分量を算出する方法です。
発振器から対象にマイクロ波を照射し、透過した電波を受信器で測定します。水分が多いほどマイクロ波が吸収されるため、その相関関係をもとに水分量を算出します。
水が特定の波長の光を吸収する特性を利用し、間接的に水分量を算出する方法です。 上述の各方式で課題であった事柄をクリアできる、有効な方式です。
水分量と光の吸収量には相関関係があり、水分量が多いほど光の吸収量は増加します。 対象に光を照射し、透過した光がどれほど吸収されているかを測定することで、水分量を算出できます。 測定システムについては後述します。
上記の特徴から、研究開発だけでなく生産ラインでの品質管理も含め、近赤外分光法での水分量測定が注目されています。
近赤外分光法を検討される方に向けて、より詳しく解説いたします。
光を通すと虹色に見える「プリズム」を見たことがあると思います。色が違うのは、「波長」が違うということです。
光は波長毎に性質が異なります。 例えば波長の短い「紫外線」はエネルギーが強く、皮膚に当たると日焼けを起こします。 また、波長の長い「赤外線」は、モノに当たった際にすり抜けて透過しやすい性質を持っています。
人間が目で見える光は、380nm(紫)から780nm(赤)までで、その外側がそれぞれ「紫外線」「赤外線」と呼ばれます。
光の他に、電波も波長毎に様々な性質を持ちます。 光の波長を利用するのが「近赤外分光法」、電波の波長を利用するのが前述した「マイクロ波透過法」です。
水が吸収する光の特定波長は、具体的には1450nm、1940nm、2900nmです。
水分を測定したい対象に光を当て、透過した光を測定すると、どの波長の光がどれだけ吸収されているかがわかります。先ほどの数値(1450nm、1940nm、2900nm)の波長における吸収量を元に、水分量を算出できるという原理です。
この、「波長毎の光の強さ」を測定する計測器が「分光器」です。
分光器を使うと市場に無いオリジナルの水分測定器を開発することができます。 研究開発や生産管理の現場で、分光器を用いた観測システムが活用されています。
分光器を使って得られるデータは、光の波長毎の強さです。「スペクトル分布」とも呼ばれ、2次元のグラフで表すことができます。
そのデータから、どのように水分量を数値として算出するかについて解説します。
簡単に言うと、「異なる水分量を持つ同種の紙」の測定データをいくつも集め、他の方法で予め正解となる水分量を把握しておきます。
その正しい水分量がわかっている物質に対し、分光器でスペクトル分布のデータを取得。 付き合わせてパターンを分析してオリジナルの水分測定器を開発します。
このケースでは主に、主成分分析(PCA)やPLS回帰などの多変量解析が行なわれます。 実施には専用のソフトウェアがあり、弊社でもご案内が可能です。
これらのデータに基づいた統計的な分析を通じて、水分量算出のための信頼性のある手法を確立します。
スペクトル解析について詳しい解説はこちら
→ スペクトルとは
最後に、近赤外分光法を用いた水分量測定に必要な機材をご紹介いたします。 (構成要素はあくまで一例です)
対象に照射する光を出力する装置です。 水分量を測定する場合、水が吸収する波長の光を発する光源を選定します。
光を対象や分光器へ適切に導くために使用します。 用途により、適した長さや種類の光ファイバーを選定します。
測定対象物を固定するために使用します。
光の各波長の強度を検出する装置です。 対象に干渉した後の反射光・透過光を分光することでスペクトル測定が可能になります。
当製品は光源を内蔵した分光器です。製品本体とPCをUSBで接続するだけで、セッティングが完了します。 水分量測定に最適です。
こちらの分光器を使用したダンボールの水分測定の実証も行っています。
弊社では分光分析を始めるために必要な一式をご案内可能です。 お気軽にご相談ください。
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