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分光器の仕様の見方でお困りではないでしょうか。 使用目的を達成する上で、測定する条件・環境に適したものを選ぶことが大切です。 しかしながら、分光器は方式や性能など様々な種類があり、その中から最適なものを選ぶには専門的な知識と経験が必要なケースがほとんどです。この記事では、お客様の用途に適した分光器を選んでいただく上で欠かせない「仕様」の読み方を解説します。
分光器の選び方をアプリケーションや波長、サンプルの3つの観点で解説しています。
波長範囲は分光器が光を分け、検出できる波長の範囲を表します。一般的に紫外近赤外領域の波長の単位をナノメートル(nm)で表し、赤外線領域の波長の単位をマイクロメートル(µm)で表します。波長範囲が広いほど、様々な吸収・反射波長を検出することができるため、汎用性が高く幅広い用途に使用することが可能です。 測定可能な波長範囲はセンサーの種類によって異なり、紫外可視領域はシリコン、近赤外領域はInGaAsセンサーが多く使われています。
波長分解能とは半値全幅(Full Width Half Maximum)のことで波長範囲において分光可能な波長の細かさを表しています。波長分解能はグレーティング及びスリット幅とトレードオフの関係にある為、どの仕様を重視するかを事前に決めておくことが重要です。
スリット幅とは、分光器に入射する光の量を制限する事が出来る隙間(Slit)の幅です。 スリット幅を広げると大量の光を入射出来るために全体の光学系は明るく(感度が良く)なり、微弱光の測定がしやすくなります。スリット幅は分解能とトレードオフの関係にあります
露光時間はセンサーに光を当て続ける時間の事です。 露光時間が長ければ長いほどSN比は上がりますが、時間が長くなりすぎるとセンサーが飽和してしまいデータの信頼性が損なわれます。 露光時間はFPS(フレーム毎秒:1秒あたりに測定する回数)とトレードオフの関係にあり、露光時間が長いとFPSは下がり、露光時間が短いとFPSが上がります。
※積算回数とは 積算回数は露光時間で設定した測定を何回行うかの回数の事です。 実際に測定時間は露光時間×積算回数で行われますので、積算回数も露光時間と同じようの特性を持ちます。また、積算回数を多くすることで測定ごとによる誤差が平均化されより信頼性の高いデータが得られます。
SN比はsignal(測定対象のピーク信号)とnoise(ノイズ)の比率の事です。 SN比は1000:1のように表され、この場合はノイズの高さを1とした場合、測定対象のピークの高さが1000である事を表します。 SN比が高ければ高い程データの信頼性が高くなり、微弱な光でも計測する事が可能です。
ダイナミックレンジはデータとして表示できる信号の最大値と最小値の階調数の事です。ダイナミックレンジが高いという事は細かい信号の強さの違いを表現できるという事、暗いデータと明るいデータを同時に測定する事が出来るという事を表します。 逆にダイナミックレンジが低いと違う数値を持ったデータでも、同じものとして表現されるためデータの信頼性が損なわれます。
光入力/光コネクタは測定したい光を分光器に入力するための(入射光)インターフェースの事を指します。 大きく分けると光ファイバ、スリットの2つにわけられます。 光ファイバ接続のインターフェースとして一般的なコネクタは「SMA905」、「FC」などがあります。どちらも光ファイバの中心軸がズレ難い同軸コネクタとして機能します。 これらのコネクタに対応したアクセサリなども豊富にあるため、光学実験をする場合に実験系を組みやすいのも特長です。
スリットは分光器のスリットに直接光を入力します。 光ファイバよりも広い空間からの光を入光する事が出来ますが、目的以外の光が入るなど外乱光の影響も受けやすいため、暗室などで光の回り込みを無くすなど対策を取る必要があります。
A/D分解能とはデジタル信号における階調の細かさを表しています。分光器内部のセンサー出力はアナログ信号のため、PCへUSB経由でデータ伝送する場合、デジタル信号に変換する必要があります。 A/D分解能は一般的に4096(12bit)または65536(16bit)が使用されています。大きい方が高分解能となりますが、必ずしも高分解能=高SN比とはならないため注意が必要になります。
分光器の選定についてお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。
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