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吸収分光法、蛍光分光法、ラマン分光法など、様々な分光法による分析法で欠かせないのは光の強度を波長毎に測定する機構です。 分光器(Spectrometer)とは、測定したい光を各波長に分け(分光)、検出器で受けることで強度を計測する装置です。
以下の図は一般的なマルチチャンネル分光器(多波長分光器)の内部構造を表しています。
図からマルチチャンネル分光器は大きく分けると ①入射スリット、②コリメーター(ミラー)、③分光素子(または分光器)、④検出器から構成されていることがわかります。
それでは、これら4つの部品について簡単に解説します。
入射スリット(Slit)は測定する光が通る隙間になります。この入射スリットの幅を広げるまたは狭めることで、波長分解能が変化します。
コリメーター(Collimator)は入射スリットから拡散する光を平行光に変える光学部品です。コリメーターは③分光素子のサイズにあわせて光の形状を整える役割を果たします。分光器の構造によっては、ミラーだけではなくレンズが使用される場合もあります。
入射した光を波長毎に分ける光学素子を分光素子と呼びます。ここでは代表的な分光素子について説明します。
以下、3つの代表的な分光素子の種類を説明します。
格子状のパターンによる回折を利用して干渉縞を作るために使用される光学(分散)素子です。 素子の材料や格子パターンの形状などにより分光される波長が異なります(Wikipedia)。代表的なグレーティングとして、ダイヤモンドカッターなどで金属表面に刻線し作られる「ルールド・グレーティング」やレーザー光を用いた2光束の干渉縞を利用したフォトレジストで作られる「ホログラフィック・グレーティング」などがあります。
ガラスなどの透明な結晶を加工した光学素子です。 光の回折と干渉を利用し分光するグレーティングとは異なり、波長毎の屈折率の違いを利用し光を分散します。プリズムは使用される材質や屈折率より波長範囲や分光能力が依存してしまいますが、光のロスを少なく効率的に分光することが可能です。
入射される光の中から、特定の波長のみを透過する光学素子です。 フィルターは使用される結晶やコーティングの材質により透過する波長が異なります。特定の波長を抽出する光学素子としては最も効率がよいと言われています。一般的な光学フィルターは1枚の素子につき1波長を透過しますが、1枚の結晶に複数の異なるコーティングがパターニングされたフィルターや多層コーティングされた「リニアバリアブルフィルター」など、1枚で複数の波長を透過することができるものもあります。
検出器(Detector)は、分光素子で分散された光を受光する部品です。 検出器は材質によって検出できる波長が異なり、また検出器の画素数により感度・分解能が変わります。
分光器は名前の通り「光を分ける」機器です。ただし、分光しただけでは「どんな波長がどの程度の強度を持つか」はわかりません。このような光の情報は、分光された波長を検出器で測定することでわかります。
そして、検出器が取得する「光を波長ごと分解して配列した情報」をスペクトル(Spectrum)と言います。
一般的に分光スペクトルは、図のような連続データで表されます。
赤いグラフが「分光スペクトル」です。
波長は「nm」単位で分光されます。これがグラフの横軸に当たります。縦軸は「強度」です。
分光器では、分光スペクトルデータによって「どの波長がどの程度の強度を持つか」をグラフで知ることができます。
スペクトルについて詳しく知りたい方におすすめの記事はこちらです。
→ スペクトルとは
分光器はミルクやオイルなど液体から、食品、薬剤のような固体、さらには気体も分析できます。 それぞれの物質が持つ「分光スペクトル」を分析することで成分を始め、様々な情報がわかります。
こちらはエンジンオイルの分光スペクトル測定の様子です。
分光器にスポイトでエンジンオイルを設置しています。 オイルの分光スペクトルを測定することで「劣化したオイル」と「新品のオイル」を判別できます。
分光素子の種類や検出器の材料などによって多種多様な分光器が存在します。そこで、わかりやすく、アプリケーションやサンプルから選ぶ方法を解説します。
→ 分光器の選び方
光学製品を専門で扱っているケイエルブイでは、分光にまつわるコンテンツをわかりやすくお届けしています。 分光に興味のある方は是非、【KLV大学 分光コース】にお越しください。
分光器の構造と種類
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