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「分光分析におけるスペクトル測定のコツ」で 簡単に紹介させて頂きました透過法(Transmittance)について少し掘り下げて解説します。
透過法はFT-IRなどの分光分析で用いられる基本的なスペクトル測定方法のひとつです。 光をサンプルに照射しそのサンプルを透過した光のスペクトルから吸収スペクトルを算出し、サンプルを定性・定量分析します。 透過性のあるフィルムや光学フィルターのスペクトル特性の評価、溶液に含まれる化学物質の定量分析などに透過法が用いられています。
サンプルに照射された光は、サンプル内を通過し裏面から出ます。 この裏面から出た光を検出器(分光器)で受け、透過スペクトル・吸収スペクトルを測定します。 「ランベルト・ベールの法則」で表される図と同じ構成になり、その法則に適用される手法として紹介されていますので、透過法に馴染みのある方も多いと思います。
光源ー検出器(分光器)間の光路にサンプルをセットする形で測定するため構成はシンプルです。 また、他の測定方法と比較すると試料セルやマウント・アタッチメントの種類は豊富で手に入りやすく安価です。
試料セルを変えることで、透明な固体サンプルだけではなく、液体や気体など様々なサンプルのスペクトル測定をすることが可能です。 紫外・可視・赤外の広い波長範囲のスペクトル測定にも適用できますので、透過法は汎用性が高い測定方法と言えます。
透過法は最も伝統的なスペクトル測定方法として用いられており、様々なアプリケーションにおいて標準的な測定手法として紹介されています。 透過法に基づき測定されたスペクトルデータがインターネットや文献で確認できます。
→スペクトルデータベースを用いた吸収スペクトルの調べ方
例えば不純物が多く濁っている液体サンプルや表面の拡散反射が多い固体サンプルは、光を透過しにくいので吸収スペクトルを測定することが困難です。 そのようなサンプルのスペクトル測定を行う場合は反射法(Reflectance)が適しています。
「ランベルト・ベールの法則」はサンプルを透過する光の距離によって光エネルギーが減少することを示しています。 よって透過法でスペクトル測定する場合は、サンプルを透過する光の距離を一定にするために、 同じ光路長を持つ透過セルを選ぶ、固体サンプルの場合は厚みを揃えるなどの準備が必要になります。 また、微量ガスの濃度測定においては感度を上げるために光路長を伸ばす場合があります。
光学フィルターやフィルムはある特定の波長のみを透過し、その他の波長を遮断するように設計されています。 例えばUVカットのフィルターやフィルムは、紫外線の光を遮断し製品の劣化や人体への健康被害から保護する目的で使用されます。 それらのフィルターやフィルムの性能を補償するために、分光法を使ったスペクトル測定から透過率を算出し評価しています。 一般的には分光光度計を使用して正確に透過率を測定しますが、光源・分光器・サンプルホルダーを用意して簡易的に測る方法も使われます。 フィルター・フィルムの材料メーカーや、それらを加工した光学フィルターやフィルムを製造するメーカーの品質管理で採用されています。
酒類、消毒液、洗浄液にはアルコールが含まれています。メーカーではアルコール製品の品質や安全性を管理するためにエタノール(エチルアルコール)の含有量を測定しています。エタノールの吸収スペクトルは赤外領域に見られるので、FTIR分析装置や近赤外分光器を使用して濃度による変化・傾向を捉えることが可能です。近赤外分光器を使った水溶液中のエタノール測定の例はこちらから確認いただけます。 近赤外領域の透過法は非破壊でサンプルを測定することができるメリットがあり、ライン中に透過セルやプローブを設置することでプロセス中のエタノール濃度モニタリング用途として使用できます。実際にエタノール濃度を定量評価するためには多変量解析を使って検量線を作成する必要があります。ケイエルブイ㈱では多変量解析ソフトウエアの取扱いも行っています。
光路長10mmのキュベットホルダーやフローセルで分光分析(透過測定)ができるセットです。 必要な光源、分光器、ファイバー、アクセサリーが揃っています。
可視光から、赤外領域までの波長を持つ光を照射し、反射・透過した光のスペクトルを測定します。 新しい分光方式を採用したNIRONEセンサーを用いることにより、従来の近赤外分光器を用いた透過測定よりも小型、低価格で透過測定を行うことが可能です
アプリケーションに合わせ、以下5つのユニットから選び付け替えることが可能です。その中でも透過測定用LEDユニットは光源と冷却システムを搭載し、光学フィルターを簡単に透過測定することが可能です。
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