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KLV大学 分光コース

【実演】小型分光器による油の劣化測定・分析

可視分光器による油の劣化測定・分析

食用油の交換タイミングってどのように判断されていますでしょうか。
自分の目、におい、はたまた揚げ物の味などどれも各個人の感覚的な指標のためチェックする人によってばらつきが出るはずです。

もし油の劣化度合いが測定・管理出来たら

  • いつも同じ味の揚げ物が提供できる
  • まだ使える油を無駄なく使える

などのメリットがあります。

本記事は弊社取り扱い製品である可視分光器「IndiGo fluo」で油の劣化測定を行い、データからどのような分析ができるのか検証しました。

中赤外分光器と可視分光器の違い

大きな違いは、測定して得られる情報「色情報」か「成分情報」か。

まずは一般的に知られている油の劣化測定方法としては中赤外分光器による診断方法があります。
この中赤外分光器と可視分光器についてどのような違いがあるのか比較しました。

可視分光器 中赤外分光器
測定しているもの 色情報 成分情報
価格 安い 高い
測定精度 低い 高い
サイズ 小さい 大きい

どちらも「光」を使用した方法ですがアプローチの方法が異なります。

  • 中赤外分光器 - 光を使い“油の”成分情報“から劣化度合いを診断する方法
  • 可視分光器 - 光を使い“油の色情報”から劣化度合いを診断する方法

中赤外分光器はしっかりと時間をかけて正確な測定を行いたいとき、可視分光器は簡便で安価な方法に有効となります。

各測定法の特徴

中赤外分光法の特徴

物質には分子の振動の周波数により、特定の波長に対して吸収をする特徴があります。
中赤外の帯域に劣化する前と劣化した後の油の分子振動の周波数にそれぞれ反応する波長が存在する為、その変化を見ることで相対的に“油がどのくらい劣化したか”を捕らえることが出来ます。 分子振動から得られる情報を使用しているため測定精度が高いことが特徴です。

可視分光法の特徴

可視領域は我々が捕らえることの出来る色の領域です。
ASTM番号による基準があるとおり、油が劣化することで色が変化することが知られています。油の色を測定することで油の劣化を捕らえ、 人間の目のような感覚的な指標ではなく数値化することが出来ます。
今回はこの可視分光器を使用して油の劣化測定を行っていきます。

ASTM番号


測定環境紹介

実験で使用した分光器

こちらが、今回油の劣化測定の際に使用した「小型分光器 IndiGo fluo」です。

  • 分光器1台で吸収・透過を測定可能
  • android用携帯アプリやPC用専用ソフト付きで測定が簡単
  • モジュール付け替えで様々な用途に対応(光ファイバーユニット、UV光源ユニット、液体用ユニット、可視光レーザーユニット)

解析機能のついた専用ソフトウェアがついているため、データの取得、分析もスムーズに行えます。

小型分光器IndiGo fluo

可視の分光器を使った方法とは

色の変化をとらえる方法で油の劣化を捕らえることができ、また中赤外分光に対して設備が安価で済み、装置も小型なものが多く現場で手軽に使用できます。

準備した機器

実験のために準備した機器や道具を解説します。

  • IndiGo fluo(白色LED光源)
  • PC
  • PC用ソフト「SpectroLab」
  • 新品の油(左)
  • 新品・劣化を混ぜた油(中央)
  • 新品・劣化を混ぜた油(右)
食用油3種
 

油を測定

それでは実際の測定に入っていきます。

準備分光器のセッテイング

IndiGo fluoのセッティングをします。

  1. IndiGoとPCをUSB接続
  2. 電源を押す
  3. PC設定
    ・光源:白色光源
    ・露光時間(msec):10000/ゲイン:1
分光器のセッティング

測定分光器による測定

今回は実際の現場での使用を考えた際に油を採取する必要のない反射測定で実験を行いました。
セルに液体を入れて測定する透過測定モジュールも存在します。

分光器のセッティング

測定結果(スペクトルデータ)

今回の測定結果が、こちらです。

3種のオイルのスペクトルデータ 3種類の油のスペクトルデータ

画像グラフは油3種の測定データを重ねたものです。
グラフの縦軸と横軸
・縦軸:反射強度/横軸:波長

油の測定データ
・青:未使用
・緑:未使用と使用済を混ぜたもの
・赤:使用済

スペクトルデータで注目すべきポイント

ポイント1高さに注目

【ポイント1】では、3種類の油の「高さ」が異なっています。
このグラフでは縦軸は反射強度を示しているので、「山が高いほど反射は大きい」ことが分かります。

ASTM基準の番号によると使用済の油は赤黒くなり、透明度が落ちます。可視域では反射が強いほど透明度は高く、反射が弱いほど油の劣化度合が現れているといえます。

ポイント1

よって、下記のように油の種類をみることができます

  1. 反射率の一番大きい山→青【未使用の油】
  2. 反射率が一番低い山→赤【使用済の油】
  3.    
  4. 上記2つの中間の山→緑【未使用と使用済の混合】

ポイント2スペクトルのピークに注目

【ポイント2】では、3種類の油のスペクトル曲線のピークの違いです。
赤くなるほどが右にシフトしていることが分かります。

ポイント2

・一番右に山がある赤で示したスペクトル→油は最も赤色に近い→使用済の油
・一番左に山がある青で示したスペクトル→油は最も青色に近い→未使用の油

ASTM基準の番号によると使用済の油は赤黒くなります。赤色が強いということは反射スペクトルの強度のうち赤色の割合が強いことが予想されます。
実際に測定したスペクトルは油の使用度合いによってピークが長波長側にシフトしているため、可視分光器で劣化度合の測定ができていると思われます。

データ分析結果

今回の実験では、油の劣化測定に関し可視分光器を用いることで次の2つの事柄を明らかにすることができました。

  • 反射強度による劣化度合い
  • スペクトルのピークの変化による劣化度合い

実験で使用した製品

今回の実験で、使用した製品がこちらです。

分光器IndiGoFluo

小型分光器 IndiGo fluo

スマートフォン対応小型分光器

  • ユニット付け替えで5つのアプリケーションに対応
  • PC用専用ソフト付

他、詳細は製品詳細ページご覧ください。

製品詳細

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