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中赤外分光法でエンジンオイルを測定!
IoT化で交換時期の見極めも

2019.08.01 | 中赤外分光法, 赤外線センサー

乗用車からショベルカー、そして大型船舶にいたるまで、エンジンオイルの活用は欠かせません。

エンジンオイルに関する悩みとして「どんなエンジンオイルを選べば良いか?」と並んで多いのが「エンジンオイルはいつ交換するのか?」というもの。

交換時期を見極められたらいいのに

車の心臓部とも言われるエンジン。
エンジンオイルは、エンジンを滑らかに稼働させる潤滑油として欠かせません。
そのため、定期的な交換が必要なのですが、何かとコストがかかります。

  • オイル代
  • 交換に関わる人件費
  • 第三機関によるオイルの受託測定のコスト
  • メンテナンスによる不稼働によって生じるマイナス

ガソリン代も高騰する昨今、エンジンオイルの交換の回数を減らしたい、適切な時期を見極めて交換することで、コストを削減したい......そうした方もいらっしゃるのではないでしょうか?

一般的に、エンジンオイルの交換の目安として「距離」と「使用時間」という指標があります。
エンジンオイルは目視での劣化の確認が難しいところもあり、交換に関しては、距離や使用時間が一定値を超えた場合、交換する、という方法を採用してきた方も多いかと思います。

とはいえ「なるべく交換回数を減らしたい」というのがユーザー共通の願いです。

そこで、エンジンオイルの劣化を判別し、交換できたとしたら、どうでしょうか?

現在の交換のタイミングが早い場合、実際どれだけ劣化しているか測定することで、大幅な業務改善が期待できます。
他方、まだ大丈夫だろうと思っていても、実際には劣化が進んでいたり、質の悪いオイルを利用していた場合は、早期の交換を行なわないとエンジンへのダメージが生じ、事故に繋がります。

エンジンオイルの見極めによるメリット

  • 大幅なコストカット・業務改善が期待できる。
  • エンジンへのダメージを避けることで、故障、事故のリスクを回避。

こうしたメリットを実現するために、必須なのが「エンジンオイルの劣化度の判定」。
そのため、近年、エンジンオイルの交換時期見極めの新技術として「中赤外分光法」が注目を集めています。

そもそも中赤外分光法って何?

「中赤外分光法」耳慣れない響きですよね。
実はこちら、液体やガスの測定などの用途で、採用されている技術です。

文字の中に「赤外」とあるように、赤外線を使って、液体やガスの濃度を測定することができます。

実は、中赤外分光法を用いることで、エンジンオイルの劣化が判別できます。

どうやってエンジンオイルの劣化を見分ける?

例えば、エンジンオイルの劣化の原因のひとつとして「不純物の混入」が挙げられます。

  • ブローバイガス
  • 金属粉
  • スラッジ

こうした異物を見分ける際に、中赤外分光法が役立ちます。

中赤外分光法では「分子」を分析できます。
例えば「水分子(H2O)」の濃度を測定するとしましょう。

とすると、中赤外分光法による測定は、大まかに言うと、次のようなプロセスで行われます。

(1)測定するオイルに中赤外線を照射する。

測定するオイルに中赤外線を照射

(2)オイル中の水分子が、中赤外線を吸収。

オイル中の水分子が、中赤外線を吸収

(3)水分子が吸収した中赤外線を分析することで、分子とその濃度がわかる。

水分子が吸収した中赤外線を分析することで、分子とその濃度がわかる

(3)をお読みになり、次のような疑問を持った方もいるのではないでしょうか?
つまり「何故、中赤外線を分析すると濃度がわかるのか」というものです。

実は分子には「特定の中赤外線を吸収する」という性質があります。
この「分子が吸収する中赤外線」というのは、分子ごとに異なっています。

例えば、水分子(H2O)と酸素分子(O2)では吸収する中赤外線の波長が違います。

そのため「水分子が吸収する中赤外線」を分析することで、水分子を判別し、その濃度まで明らかにすることができるのです。

IoT化でさらなる可能性を

このように、中赤外線を用いることで、分子を分析することができます。
そのため「酸素分子を分析=濃度を割り出し=基油劣化を判別」ということも可能になります。

例えば、IoT化によって、このようなことが実現できる可能性があります。

  • 大型建設機械のエンジン油の潤滑管理および寿命検査で活用。中赤外分光システムによってエンジンオイルを測定し、最適な交換タイミングを発見することで無駄な交換を無くしコスト削減に繋げる。
  • 大型船舶が世界各地で給油する際に、オイルの質のチェックを行い過去の不具合データ等と照らし合わせてリスク回避する。

エンジンオイルの分析データをIoTとして仕組み化することで、より多くのデータを取得・蓄積し、分析することで、エンジンオイルの正確なモニタリングを行い、様々なメリットを生み出すことができるかもしれません。

今回ご紹介した中赤外分光法を実現する「中赤外分光システム」がこちらです。

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