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KLV大学 分光コース

粉体の水分量測定

世の中には様々な種類の粉体が存在しますが、その多くで水分量が品質管理における重要な指標の一つとなっています。
水分量が基準通りでないために、その物質の性質が変化し思わぬ悪影響を引き起こす恐れがあります。

それらを未然に防ぐため、粉体の研究開発や製造において水分量の測定が行われます。
水分量の測定方法は複数の方式があり、ニーズに応じて最適な方法が選ばれます。
ここでは水分量測定の各方法の解説から、近年注目されている分光器を用いた水分量測定について詳しくご紹介いたします。

水分量測定を行う粉体の例

様々な分野で粉体の水分量測定が行われています。

医薬品

医療現場で使用される粉体には、検査のための試薬や服用薬などがあります。錠剤の中にも、粉体を圧縮することで作られるものがあります。
これら医薬品の水分量は、保存期間中の安定性や薬効に影響を及ぼす恐れがあります。

食品

食品分野における粉体は、日常生活でも多く目にするものです。
小麦粉や調味料、粉末食品・飲料といった直接消費されるものから、香辛料やイーストパウダーなど食品原材料として使われるものまで多岐にわたります。
食品中の水分は微生物の繁殖を助長し、腐敗を招くなど、消費者の健康に影響することがあります。

工業薬品

重工業や化学工業などの業界では、粉体で活用される薬品が多くあります。
それらは製造物の原料や、製造工程での加工・処理を行う触媒として用いられることもあります。
水分量の変動により、保存状態の悪化や製造物の品質に悪影響を及ぼすことがあるため、管理が重要です。

化粧品

化粧品分野でも、様々な粉体が製造・利用されています。
着色料などの原料粉体や、フェイスパウダーのように粉体として消費者のもとに届くものなどが挙げられます。
これらは腐食を防止するため過剰な水分を避けたいケースに加え、適切な品質を保つために一定の水分も求められるケースなども考えられます。

水分量測定の方法

実際に粉体の水分量を測定する方法として下記が挙げられます。

乾燥減量法

一言で言うと、「完全に乾燥させた状態」と「乾燥させる前の重量」を比較して、減った重量の分=水分であると扱う測定の仕方です。

仕組み

水は大気圧において100℃で蒸発します。
100℃以上で熱して乾燥させる方法のほか、減圧することでより低温で蒸発させる方法もあります。

乾燥減量法

メリット

  • 密閉空間内で加熱するというシンプルな機構
  • 試薬などが不要で、取り扱いが容易

デメリット

  • 測定に時間がかかる
  • 熱を加えることで試料の性質が変わってしまう
  • 水分以外の揮発性成分が含まれていた場合、減少した重量=正確な水分量ではなくなる
  • 全数検査には用いることができない

カールフィッシャー滴定法

水分と試薬の化学反応を利用して、間接的に水分量を算出する方法です。

仕組み

カールフィッシャー滴定法に用いられる試薬に含まれるヨウ素は、水と1:1の割合で化学反応を起こします。そのため、対象の化学反応が完了する(含まれる水分が全て反応しきる)までに消費したカールフィッシャー試薬の量から、水分量を算出できます。

カールフィッシャー滴定法

メリット

  • 測定に要する時間が短い

デメリット

  • 対象に含まれる水以外の物質が、カールフィッシャー試薬と反応を起こす場合は適用できない
  • カールフィッシャー試薬と化学反応を起こすことで試料の性質が変わってしまう
  • 全数検査には用いることができない

電気抵抗法

対象の水分量と電気抵抗の関係を利用して、間接的に水分量を算出する方法です。

仕組み

検針(プローブ)を対象に接触させ、電気を流します。
水分が多いほど抵抗は低くなり、その相関関係をもとに水分量を推定することができます。

電気抵抗法

メリット

  • 測定に要する時間が非常に短い

デメリット

  • 粉体を対象とする場合、対象の成分が一定でないと適用できない
  • 対象の電気特性により適用できない場合がある
  • 乾燥減量法やカールフィッシャー滴定法に比較すると、算出されるのは簡易的な数値に留まる

近赤外分光法

水が特定の波長の光を吸収する特性を利用し、間接的に水分量を算出する方法です。
上述の各方式で課題であった事柄をクリアできる、有効な方式です。

仕組み

水分量と光の吸収量には相関関係があり、水分量が多いほど光の吸収量は増加します。
対象に光を照射し、透過した光がどれほど吸収されているかを測定することで、水分量を算出できます。

近赤外分光法

メリット

  • 測定に要する時間が非常に短い
  • 試料の性質を変化させずに測定が可能
  • 全数検査が可能

デメリット

  • 光の吸収量から水分量を導き出すための解析が必要

上記の特徴から、研究開発だけでなく生産ラインでの品質管理も含め、近赤外分光法での水分量測定が注目されています。

近赤外分光法を用いた水分量測定

近赤外分光法を検討される方に向けて、より詳しく解説いたします。

原理について

光を通すと虹色に見える「プリズム」を見たことがあると思います。
色が違うのは、「波長」が違うということです。

光は波長毎に性質が異なります。
例えば波長の短い「紫外線」はエネルギーが強く、皮膚に当たると日焼けを起こします。
また、波長の長い「赤外線」は、モノに当たった際にすり抜けて透過しやすい性質を持っています。

人間が目で見える光は、380nm(紫)から780nm(赤)までで、その外側がそれぞれ「紫外線」「赤外線」と呼ばれます。

水は、特定波長の赤外線をよく吸収します

水が吸収する光の特定波長は、具体的には1450nm、1940nm、2900nmです。

水の吸収スペクトル

水分を測定したい対象に光を当て、透過した光を測定すると、どの波長の光がどれだけ吸収されているかがわかります。先ほどの数値(1450nm、1940nm、2900nm)の波長における吸収量を元に、水分量を算出できるという原理です。

この、「波長毎の光の強さ」を測定する計測器が「分光器」です。

分光器を使うと市場に無いオリジナルの水分測定器を開発することができます。
研究開発や生産管理の現場で、分光器を用いた観測システムが活用されています。

測定データを元に、どうやって水分量を算出するのか?

分光器を使って得られるデータは、光の波長毎の強さです。
「スペクトル分布」とも呼ばれ、2次元のグラフで表すことができます。

測定データグラフイメージ

そのデータから、どのように水分量を数値として算出するかについて解説します。

リファレンスとなるデータを集めて、分光器で得たデータと比較します

簡単に言うと、「異なる水分量を持つ同種の粉体」の測定データをいくつも集め、他の方法で予め正解となる水分量を把握しておきます。

その正しい水分量がわかっている物質に対し、分光器でスペクトル分布のデータを取得。
付き合わせてパターンを分析してオリジナルの水分測定器を開発します。

測定データグラフイメージ

定量的な正確性を担保するために、「スペクトル解析」という手法を用います

このケースでは主に、主成分分析(PCA)やPLS回帰などの多変量解析が行なわれます。
実施には専用のソフトウェアがあり、弊社でもご案内が可能です。

これらのデータに基づいた統計的な分析を通じて、水分量算出のための信頼性のある手法を確立します。

関連記事

スペクトル解析について詳しい解説はこちら

→ スペクトルとは

測定システムの例

最後に、近赤外分光法を用いた水分量測定に必要な機材をご紹介いたします。
(構成要素はあくまで一例です)

水分量測定に必要な機材

1光源

対象に照射する光を出力する装置です。
水分量を測定する場合、水が吸収する波長の光を発する光源を選定します。

2光ファイバー

光を対象や分光器へ適切に導くために必要です。
用途により、適した長さや種類の光ファイバーを選定します。

3サンプルホルダー

測定対象物を固定するために必要です。

4分光器

光の各波長の強度を検出する装置です。
対象に干渉した後の反射光・透過光を分光することでスペクトル測定が可能になります。

超小型 近赤外分光センサモジュール

お勧めの分光器

当製品は光源を内蔵した分光器です。製品本体とPCをUSBで接続するだけで、セッティングが完了します。
水分量測定に最適です。

製品詳細はこちら

こちらの分光器を使用した水分測定の実証も行っています。

弊社では分光分析を始めるために必要な一式をご案内可能です。
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