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KLV大学 ハイパースペクトルカメラコース

ハイパースペクトルカメラで加速する脱プラスチック

脱プラスチックは強力な社会的要請の一つです。
リサイクル促進、バイオプラスチックの積極的な活用など、持続可能な社会に向けた取り組みが必要です。

脱プラを促進させる新たな手段「ハイパースペクトルカメラ」とは?

脱プラスチックを進めていく新しい手段として、ハイパースペクトルカメラの存在があります。

ハイパースペクトルカメラは、人の目に見えないものを可視化し撮影する機械です。
このカメラでは、従来のカメラではや人の目では認識できないほどの微細な物質を発見したり、違いの分からないものを判別したりすることができます。

混ざった状態の砂糖・塩・小麦粉をそれぞれ判別

あらゆる分野で使用されていますが、一体どのようにして脱プラスチックを加速させるのでしょうか?
脱プラスチックの具体的な取り組みと適用例をご紹介します。

世界的トレンドの脱プラスチック

近年、世界中で使い捨てプラスチックの削減やリサイクルの強化といった、プラスチック製品の使用を見直す取り組みが急速に行われています。

海外では以下のような取り組みが行われています。

  • 欧州:2021年から使い捨てプラスチック製品の使用を禁止する規制案を可決。
  • アメリカ:2021年に米国環境保護庁(EPA)が、2030年までにリサイクル率50%を達成するための国家リサイクル戦略を発表。

日本での取り組みとしては下記が挙げられます。

  • 2020年からレジ袋が有料化
  • 2022年、コンビニや飲食店でプラスチック製のカトラリーが有料化
  • 2019年、政府によりプラスチック資源循環戦略が策定2035年までに使用済みプラスチックを100%リユース・リサイクルなどで有効活用、また2030年までにバイオマスプラスチックを200万トン導入することを目指す。
  • 2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」、通称プラスチック資源循環促進法が施行。製品の設計から廃棄の処理まで、あらゆるプラスチック資源の循環などの取り組みを促進するための処置を行う。

このような取り組みが世界各地で行われており、日本の企業も脱プラスチックに向けて試行錯誤し、環境へ貢献していくことが求められています。

ハイパースペクトルカメラを活用した脱プラスチックの実現方法

ハイパースペクトルカメラを活用して脱プラスチックを進めるには、どういった方法があるのでしょうか。
ここからは、プラスチック資源循環促進法の基本原則である4R(リデュース・削減、リユース・再利用、リサイクル・再資源化、リニューアブル・再生可能な資源に代替する)の観点から紹介していきます。

リデュース(削減)薄膜プラスチックの
実用化を加速

完全な脱プラスチックを実現するのは、コストの問題や品質との関係で折り合いがつかない場合、プラスチックの使用を減らすことで脱プラスチックに貢献できます。

例えば、プラスチックを薄膜化・軽量化することで使用量を削減できます。 具体例として、飲料ボトルのラベルを薄膜化し、プラスチック使用量の削減に成功している企業があります。
このように、脱プラスチックを進める一環として、プラスチックの使用量を減らした製品の開発が急務となっています。

プラスチックの薄膜化について研究開発を行う場合、品質管理に気を配る必要があります。
プラスチックの厚さが薄くなるほど、製造時のちょっとした変動が仕上がりに影響を及ぼします。
そのため、薄膜の厚みの均一性や強度が許容の範囲であることを測定する必要があります。

そんな薄膜化における品質管理に一役買うのがハイパースペクトルカメラです。
ハイパースペクトルカメラでは、膜のムラ・均一性を調べることができます。

これは、膜厚測定を行った際の撮影画面です。
膜厚測定とは、対象物の面に形成された膜の厚さを測定することです。
膜に生じた微細なムラを感知して発見することができます。

㎛単位の厚みの差異を一瞬で識別

安定した薄膜プラスチックの研究開発に、ハイパースペクトルカメラが役立てる可能性があります。

リユース(再利用)洗浄工程の評価を自動化

プラスチックを再利用することも、脱プラスチックに向けての第一歩です。
身近なものだと、シャンプーのボトルに詰め替え製品を入れて繰り返し使うことがリユースになります。
工業分野では、これまで産業廃棄物として処理されていた使用済みのポリ容器を回収・洗浄して利用している例があります。

このようにプラスチックを再利用するためには、洗浄工程が非常に重要です。
汚れや異物、残留した廃液などを取り除き、安全性や見た目の美しさを担保して再利用可能な状態にするため、丁寧に洗浄する必要があります。

洗浄が適切に行われたことを確認するため、洗浄工程の最後には検査が行われています。
検査には、目視やカメラで行う視覚検査、測定表面の微生物や汚染物質を数値化するATP測定(ふき取り検査)、洗浄剤の残留有無を確認する化学検査があります。

ハイパースペクトルカメラが活躍するのが、視覚検査です。
視覚検査では、表面の汚れや傷、変色などを確認します。
ハイパースペクトルカメラを使用することで、これらの検査項目を一瞬で確認することが可能となります。

目視ではわかりにくい
ブルーベリーの腐敗箇所を一瞬で判別

ハイパースペクトルカメラは傷や付着物などを高速で検出できるため、リユースにおける検査工程をより正確に、効率的に進めることが可能です。
目視の場合避けられないミスや人による検査速度の違い等の懸念点の解消にも繋がります。

リサイクル(再資源化)プラスチックの
選別を自動化

脱プラスチックの取り組みは、プラスチック使用量を削減するだけではありません。
使用済みプラスチックのリユース・リサイクルによる循環も有効な取り組みの一つです。

現状、日本におけるプラスチックのリサイクル率は約25%と低い割合に留まっています。

プラスチックのリサイクルが進まない理由として、品質とコストの課題が挙げられます。
一般的に廃棄物として回収されるプラスチックには様々な種類のプラスチックが混在しており、バイオプラスチックなどの導入が進むことで、より区別が難しくなることが予想されます。
種類の異なるプラスチックが混在したままだと、リサイクル製品の安定性や耐久性に問題が生じます。

リサイクルによるプラスチックの有効活用には、種類ごとの適切な分別や不純物の除去が求められます。
しかしそれらを実現するには人手や工数が増えてしまい、結果的にコストの増幅に繋がります。
そこでテクノロジーを活用したプラスチック分別の省人化・自動化が注目されています。

プラスチックの選別

肉眼では全て同じものに見えますが、ハイパースペクトルカメラで撮影すると素材の違いで分類することができます。
プラスチックの分別にハイパースペクトルカメラを活用することで、より品質が高く再利用回数の多いリサイクルプラスチックの製造を可能にします。

透明なプラスチックの素材を判別

Renewable~再生可能資源の研究開発を促進~

フランスでは、2020年2月に循環経済法が施行されました。
この法律では、2025年1月1日までにプラスチックのリサイクル率100%を目標としています。
目標に向けて、プラスチック製品の使用を順次禁止する他、プラスチック袋の製造・輸入を禁止しました。
そこで必要となるのが代替品です。
かつて幅広い用途に使用されていたプラスチックに代わる、代替品の研究開発が盛んに行われています。

日本でも、プラスチックの使用を削減するため新たな素材の開発・導入が進んでいます。
例えば、新しい素材を使用している事例に次のものがあります。

プラスチックフィルムの代替

プラスチックフィルムは、薄く柔らかいプラスチック製のシートです。
レジ袋や食品・製品の包装など、身近な生活で幅広く使用されています。

しかし、最近はプラスチックに代わる新しい素材への置き換えが進みつつあります。
例えば、店頭に並ぶお菓子の包装がプラスチックから紙製に変わっていたという経験はありませんか?
他にも、バイオマスプラスチックを使用した包装材を使用するコンビニエンスストアやスーパーが増加しています。
しかし、強度や長期保存への耐久などの課題は残っているのが現状です。
脱プラスチックに向けて、プラスチックフィルムと同等の機能を持つ代替品の開発が早急に進められています。

プラスチックストローの代替

多くの飲食店で、プラスチック製のストローの代用として紙ストローの導入が進んでいます。
しかし、紙ストローは長時間使用すると水分を含みふやけてしまいます。
また、口に触れた時の感触が苦手だと感じる人も多く、賛否両論ある品物です。
中には、紙ストローの評判を受け、バイオマスプラスチックを使用したストローへの置き換えを表明した企業もあります。
環境への対応と使用感の良さの両方を兼ね備える製品の開発が求められています。

環境に対応した素材の開発

このように、脱プラスチックの流れに合わせて、多くの企業やお店でプラスチック製品の代替が行われています。
まず、代替品としてよく使用されている素材について紹介します。

バイオマスプラスチック

  • 原料
    植物など再生可能な有機資源を原料とするため、廃棄時に焼却しても大気中のCO2を増加させず、環境に優しい素材として注目されています。
  • 特徴
    使用感がプラスチック製品に近いため、消費者の体験を損なわずに脱プラスチックに貢献できます。
    しかし、原料である植物の産地や生育状況といった個体差の影響を受けやすく、量産する際に品質を一定に保つには、原料の評価や品質管理が必要です。
    適切な品質評価・管理方法が確立されていないと、強度や耐久性の低下に繋がります。

生分解性プラスチック

  • 原料
    主に植物を原料としています。
    微生物による分解を可能にしているため環境に優しい素材です。
  • 特徴
    使用中の劣化が起こりやすいという難点があります。
    長期保管を行う際は品質低下の恐れもあるため、製造時に適切な管理が必要です。

こうしたバイオマス素材を使用した新素材の研究開発に、ハイパースペクトルカメラが活躍します。

ハイパースペクトルカメラでは、素材のムラ・均一性を調べ、分析することができるため、ムラのできやすいバイオマスプラスチックの製造において、徹底した品質管理をすることに役立ちます。
プラスチック製品の代替品における研究開発を加速させる担い手となるでしょう。

まとめ

社会的要請である脱プラスチックに向けて、世界中で取り組みが進められています。
日本も例外ではなく、今後増々脱プラスチックの需要が高まっていくことが予想されます。
それらの研究開発時に生まれた課題解決において、高精度な解析を可能にするハイパースペクトルカメラが活躍し、脱プラスチック実現をさらに加速させる担い手となるのではないでしょうか。

ここまでご紹介してきたアプリケーションはほんの一例です。
ハイパースペクトルカメラを活用した研究・開発の取り組みや検討をお手伝いいたします。
ピンときた方は是非一度ご相談ください。

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