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KLV大学 ハイパースペクトルカメラコース

SDGsと光学テクノロジー!
持続可能な世界に貢献する
産業機器・センサーを一挙紹介

2022.01.31 | スマート農業, プラスチック, 再生可能エネルギー, 温室効果ガス, 食品ロス

持続可能で平和な世界の構築のため、2015年9月にSDGsが策定されました。
SDGsは持続可能な開発目標と呼ばれ、環境、経済、社会を踏まえた達成すべき17の目標(Goal)と、169のターゲット(Target)から構成されています。

大手電機メーカーが「無電化地域に太陽光で発電するランタンを届ける」など、多くの企業が「事業を通じたSDGsの取り組み」を行なっています。

「太陽光発電」のような発電技術からリサイクル技術まで、持続可能な世界の実現のために、テクノロジーは欠かせません。
しかし、これまで「SDGsとテクノロジーとの関わり」は、あまり語られてこなかったように思います。

そこで当記事では、テクノロジーが持続可能な世界にどのように貢献できるのか、下記4つの項目について、具体的な機器やセンサーをご紹介しながら、解説していきます

  1. プラスチックによる環境汚染の改善
  2. 食品・農業の持続可能性
  3. 温室効果ガスの削減
  4. 再生可能エネルギーの利用

プラスチックによる環境汚染の改善

こちらの項目ではプラスチックによる環境汚染の改善として「マイクロプラスチックの計測」と「プラスチックのリサイクル」と関わるテクノロジー、製品をご紹介します。

「マイクロプラスチックの計測」が可能なハイパースペクトルイメージング

海洋プラスチックが世界的な問題になっています。
環境保全のため、マイクロプラスチックをモニタリングし、その分布や生物への曝露状況、汚染の状態を知ることは重要ですが、従来のニューストンネットと顕微鏡を用いた方法では、300µm以下のマイクロプラスチックの検出は困難でした。

このような「300µm以下のマイクロプラスチックの計測が困難」という課題を解消した技術が「ハイパースペクトルイメージング」です。
ハイパースペクトルイメージング(HSI:Hyperspectral imaging)とは、二次元の位置情報を持った画像に加えて、100~200バンド以上の波長の情報を取得する技術で、従来のに比べて数十倍細かく波長情報が取得できるため、見えない情報を可視化できます。

HSI技術が用いられている産業機器が「ハイパースペクトルカメラ」です。

ハイパースペクトルカメラは、平たく言うと、通常のカメラより多くの情報を撮影できる「特殊カメラ」です。

5種類のプラスチックの判別

目視では区別できない「プラスチックの違い」をハイパースペクトルカメラが判別

つまり「海水中のマイクロプラスチック」も「撮影」によって検出できます。
ハイパースペクトルカメラによる計測の画期的な点は「100µmのマイクロプラスチックの計測が可能」であることです。

ポイント

ハイパースペクトルイメージング(HSI)なら、100µmのマイクロプラスチックも計測可能。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど、プラスチックの材質の判別も可能。
また、従来の方法の約100倍の速さで評価できる。

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)が、ハイパースペクトルカメラによる画像診断を活用し、様々なプラスチックを100µmの微小サイズまで簡便に高速で検出・分類できる手法を確立しました。

ハイパースペクトルイメージング(HSI)計測によって、微細なマイクロプラスチックの素早い検出が可能になりました。今後は「海水中のマイクロプラスチックの自動検出」へ応用が期待されます。

ハイパースペクトルカメラ Pika

ハイパースペクトルカメラ Pika

マイクロプラスチックの判別技術の開発に用いられたハイパースペクトルカメラです。
小型・軽量・低価格で、様々な測定ニーズに対応できることから、国内でも異物検査、リモートセンシング、研究などの幅広い用途でご利用頂いております。

製品詳細

このようにHSIは、SDGsのターゲットである「2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」に貢献します。

「プラスチックのリサイクル」と近赤外分光

テクノロジーによる環境保全への貢献は、マイクロプラスチックの検出だけに留まりません。
プラスチックのリサイクルには「近赤外分光」という技術の活躍が期待されています

プラスチックのリサイクル時には「選別」が欠かせません。
一括りにプラスチックといっても、ポリスチレンやポリプロピレン、アクリルなど様々な材料があるため、これらの混合物である廃プラスチックの再利用時には、特定の材料を取り出したり、分離する必要があります。

「近赤外分光」なら、大掛かりかつ高額な機器を用いることなく、簡単に、素早く、正確な識別が可能です。
近赤外分光は「対象の成分を非破壊で測定できる技術」で、例えば「果物中の糖分」のように具体的に「成分」を測定できるため、プラスチックの材質も見分けられます

リサイクル工程での「プラスチックの選別」を始め、衣類のリサイクル「繊維の識別」など、リサイクルへ貢献できます。

ポイント

近赤外分光によって、プラスチックの材質を選別できる。
近赤外分光の強みは「大掛かりかつ高額な機器は不要」であり「簡単・素早い・正確な選別」ができるということ。

近赤外分光による成分測定が可能なセンサーが「近赤外分光センサー」です。

超小型 近赤外分光センサモジュール

超小型 近赤外分光センサモジュール

重さ15g、大きさ25×25×17mmの近赤外分光センサーです。
プラスチックの材質判別を行う製品への組み込みに実績があります。
工業環境に完全対応しており、携帯機器として、また食品業界や農業、製薬、その他の市場の生産ラインの組み込み用として最適です。

製品詳細

近赤外分光センサーの測定原理や、当技術のリサイクルへの活用などは、こちらの記事に記載されているため、興味がある方はご覧ください。

食品・農業の持続可能性

こちらの項目では、食品・農業の持続可能性として「食品ロスの削減」と「スマート農業」に関わるテクノロジー、製品をご紹介します。

「食品ロスの削減」と近赤外分光

本来は食べられる食品が捨てらてしまう「食品ロス」。
SDGsのターゲットには、食品の廃棄の半減及び損失の減少があり、持続可能な消費と生産を考える上で、食品ロスは向き合っていかなければならない問題です。

近赤外分光技術なら、食品ロスの解消に役立てます。
近赤外分光は、対象に赤外線を照射し、その波長データを計測することで「成分」を測定できます。

通常、糖分、硬さ、デンプン指数の測定は、いくつかの異なるデバイス・手法で行われるため、時間がかかりますが、近赤外分光なら、これらの成分測定も簡単に、素早く実施できます
また測定は「赤外線を照射するだけ」ですので、非破壊で糖分等のデータを取得できます。
測定後に商品を廃棄することなく販売できる点も、近赤外分光の強みです。

農業生産過程で生じるロスとして「腐れ・⾍⾷いのあるもの」は「規格外」として廃棄されます。近赤外分光による成分測定で「腐れ」の度合いを数値化できるため、農業生産段階の規格化に貢献できます。
また正確な成分測定によって農業生産、流通段階における「貯蔵寿命の把握」や「販売適期の決定」にも役立てます

ポイント

近赤外分光は「非破壊測定」のため、測定後の商品を廃棄することなく販売可能。
特殊な薬品や大掛かりな機器を使わず、糖分、酸度、硬さ、デンプン指数などの品質パラメータを非破壊で迅速に測定できる。

近赤外分光での測定には「近赤外分光センサー」が用いられますが、その中には「マスマーケット対応のチップ型分光センサー」もあり、食品ロス削減への貢献が期待できます。

有機半導体 分光センサー

有機半導体 分光センサー

有機エレクトロニクス技術、マスマーケットに最適化した設計の「超小型・軽量・低価格」のチップ型分光センサーです。
従来の分光器では大きさやコストの面で用途が限られていた分光分析を、現場で簡単に測定可能なマスマーケットのマテリアルセンシングへと展開します。

製品詳細

「スマート農業」と蛍光測定

持続的に農業を行うことで安定した収穫ができる「持続可能な農業」。
日本が人口減少と超高齢化社会を迎える中、継続的に事業の担い手を確保するためには、多様な人材が活躍できる仕組みとイノベーションが不可欠です。

農業人口の減少や高齢化、担い手不足など多くの人的課題を抱える日本の農業の発展のためには、農業生産を効率化するツールの活用がポイントになります。

「ツール」に導入されている技術として「蛍光計測」があります。
蛍光計測によって、植物工場やビニールハウス内での「土壌の分析」が可能です

農作物の成長には、酸素を始め、水素や炭素など多くの栄養分が必要です。特に酸素は「根の働き」に影響します。
根は呼吸によって、養分を吸収し、エネルギーを得ています。
酸素の適切な供給によって、このような根の機能が維持されるため、農作物の生育には欠かせません。

また、土壌の温度も重要です。適切な温度が保てない場合、作物の養分供給が抑制されるため「土壌の温度管理」も植物の成長に影響します。

蛍光計測の技術なら、土壌の「酸素濃度」と「温度」を同時に測定できるため、農作物の健全な生育に役立ちます

ポイント

蛍光測定で、酸素濃度と温度の同時測定が可能。
蛍光測定なら測定時に土壌の酸素を消費しないため、農作物の育成に必要な酸素を減らすこともない。

蛍光測定が可能な、土壌の測定に適したセンサーがこちらです。

光学酸素・温度センサ O2DO

光学酸素・温度センサ O2DO

蛍光クエンチングの技術に基づいた、酸素濃度・温度を同時に計測できるセンサーです。
同じ感受性被膜で酸素と温度の両方を測定し、酸素測定の際に温度補正を行う事で、温度変化があっても正確に酸素濃度を測定できます。

製品詳細

ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、省力化・精密化や高品質生産を実現する「スマート農業」においては、センシングデータ等の活用・解析により、農作物の生育や病害を正確に予測した、高度な農業経営がなされます[1]。

当センサーの活用によって「データ」として「土壌の酸素濃度・温度を測定、記録できる」ため、スマート農業に役立てます
また使い方によっては、熟練農家の技術の継承にも役立てる可能性があります。

[1]参考:農林水産省「スマート農業とは、どのような内容のものですか。活用によって期待される効果を教えてください。」(最終閲覧日:2022年1月25日)

温室効果ガスの削減

SDGsでは、気候変動に具体的な対策を行います。
日本は、2021年4月に、2030年度において、温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指すこと、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けることを表明しました[2]。

温室効果ガスの削減のためには、当該ガスの計測が欠かせません。

そこで、こちらの項目では、温室効果ガスの削減と関わるテクノロジーと製品をご紹介します。

[2]引用:環境省「地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定)」(最終閲覧日:2022年1月25日)

「自動車の排気ガスモニタリング」とNDIR

NDIRとは「Nondispersive Infrared」の略で、直訳すると「非分散型赤外線」です。
名前の通り「赤外線」を用いて、ガスを検知したり、濃度を測定できます
平たく言えば、赤外線を使った特殊な方法で測定する方式です。

ポイント

NDIRによって、二酸化炭素(CO2)やメタンといった「複数ガスの測定」ができる。
「排出量の測定」もできるため、自動車の排気ガスのモニタリングも可能。

NDIRによるガス測定が可能なセンサーは「NDIRセンサー」や「赤外線センサー」と呼ばれています。
例えば、こちらは実際に自動車の開発で使用されているセンサーです

NDIR マルチガス赤外線センサー

NDIR マルチガス赤外線センサー

高安定なガス測定を実現する赤外線センサーです。
測定したガスの相互干渉の内部補正と圧力補正によってメタン(CH4)、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)などを正確に測定できます。

製品詳細

NDIRは排気ガスのモニタリング等に使用できるため、温室効果ガスの削減に貢献できます。

工場の排気ガスモニタリング

環境省の「温室効果ガス総排出量算定方法ガイドライン」によると、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)を含む6種類のガスが、地方公共団体実行計画(事務事業編)における温室効果ガス総排出量の算定対象です。

ガス分析計向け検出モジュール MuliSense

ガス分析計向けの検出モジュール MULTISENSE

MULTISNSEはガス分析計向けに設計された組み込みに適したOEM用の検出モジュールです。最大3種類のガスをリアルタイムに測定・監視することが可能です。地球温暖化・大気汚染の原因とされるガス種を対象としたモジュールを用意しています。

製品詳細

再生可能エネルギーの利用

SDGsの目標7として「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」が掲げられ、環境に良い再生可能エネルギーの導入が進められています。

再生可能エネルギーは、太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱その他の自然界に存する熱・バイオマスを指します[3]。

また経済産業省による「長期エネルギー需給見通し 骨子(案)」には、徹底した省エネルギー(節電)の推進及び再生可能エネルギーの最大限の導入によって、原発依存度の低減に大きく貢献する旨が記載されています。
中でも、自然条件によらず安定的な運用が可能な地熱、水力、バイオマスを積極的に拡大する方針です。

そこで、こちらの項目では、利用の拡大が予想される「バイオマスプラントのモニタリング」に貢献するテクノロジーと製品を2つ、ご紹介します。

[3]参考:資源エネルギー庁「総論|再エネとは」(最終閲覧日:2022年1月25日)

「バイオガスプラントのモニタリング」とNDIR

最初にご紹介するのは、上述の「自動車の排気ガスモニタリング」でもご紹介した、NDIRです。

NDIR(Nondispersive Infrared)は赤外線を用いて二酸化炭素等のガスを測定する方式で、自動車の排気ガスの排出量を測定できます。

さらに、NDIRセンサーは「バイオガスプラントのモニタリング」にも適しています。

弊社取扱の「NDIR マルチガス赤外線センサー」は、バイオガスプラントを中心に、発酵槽、貯蔵、排気浄化などの設備への導入実績があります

ポイントとしては「二酸化炭素の測定に強い」という点が挙げられます。

ポイント

NDIRは、一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)など、酸化炭素の測定に強みを持つ。
NDIRセンサーの場合、「複数ガスの測定」が可能なため、マルチガスの同時モニタリングのニーズにも応えられる。

「バイオガスプラントのモニタリング」とガスクロマトグラフィー

バイオガスの利用の促進に関わる、もう一つのテクノロジーがガスクロマトグラフィーです。

ガスクロマトグラフィーは「クロマトグラフィー」の一種です。
クロマトグラフィーは混合物を分別・同定する技法で、測定対象が液体か気体によって、液体クロマトグラフィーとガスクロマトグラフィーに分類されます。

平たく言えば、化合物(2種以上の元素が結合した物質)が混合された状態でも、化合物ごとに、分類し、定量化した測定ができる技法です。

ポイント

ガスクロマトグラフィーによって、メタン含有量、水素含有量、硫黄を分析できる。
複数ガスの同時測定も可能。

ガスクロマトグラフィーによって、気体を測定する装置を「ガスクロマトグラフ」と言います。
ガスクロマトグラフはしばしばGC(Gas chromatograph)と略されます。

ガスクロマトグラフ(GC)による測定には、大型なプロセスガス分析装置が必要でしたが、こちらの製品は、従来の大型な装置と比較し「大幅な小型化」を実現しました。

小型化されているため「測定ガス種に応じて装置に簡単に取り付け取り外し可能」であり、「メンテナンスが容易」という強みがあります。

ガスクロマトグラフィー(GC) 小型モジュール

ガスクロマトグラフィー(GC) 小型モジュール

1つのモジュールで、複数ガス(最大4つ)を測定可能な「小型モジュール」です。
ガスクロマトグラフの主要パーツ(注入、分離、検出)が僅か27×10×3㎝の小型モジュールに内蔵されています。

製品詳細

おわりに

内閣府は、日本が目指すべき未来社会の姿として、Society 5.0を提唱しています。
狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会がSociety 5.0です。

Society 5.0では、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決の両立を目指します。

参考:内閣府「Society 5.0」(最終閲覧日:2022年1月25日)

当記事で紹介した4つの項目とそれにまつわる技術は、SDGsを軸にしながらも「経済発展と社会的課題の解決の両立を目指す」Society 5.0を意識しています。

記事項目 技術
プラスチックによる環境汚染の改善 ハイパースペクトルイメージング
近赤外分光
食品・農業の持続可能性 近赤外分光
蛍光測定
温室効果ガスの削減 NDIR
再生可能エネルギーの利用 NDIR
ガスクロマトグラフィー

経済発展と社会的課題の解決のための技術として、Society 5.0では「IoT、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータのような先端技術」が挙げられていますが、当記事では、より産業分野に近いテクノロジー、製品をご紹介させていただきました

SDGsが広がり、事業を通じたSDGsの取り組みが広まっています。
産業分野においても、テクノロジーによって、持続可能で平和な世界に貢献できます。

弊社(ケイエルブイ株式会社)は光学機器を取り扱う専門商社として、SDGsに取り組む皆様、経済発展・社会的な課題の解決を目指す皆様を「最新技術」でサポートいたします

幅広いニーズにお応えできる、さまざまな製品を取り扱っております。(製品情報はこちら
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