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これまでハイパースペクトルカメラは「静止画」での撮影が主流でしたが、技術の進歩によって、ついに高解像度な「動画」の撮影が可能なりました。 「動画」で膨大な波長データを撮影できるようになったことから、マシンビジョンを始め、UAVやライフサイエンスといった「動画が活きる」用途での活躍が期待されます。
今回は「動画ハイパースペクトルカメラの価値」にフォーカスし、「動画撮影ならではの強み」や「どんな用途に適合するか」など幅広い情報をお伝えしていきます。
ハイパースペクトルカメラは、膨大な波長データを撮影することのできる優れたカメラです。
通常のカメラと異なり、何百という細かかな波長データを取得できます。そのため肉眼では捉えきれない色や材料などの「違い」を見分けられます。
こちらの画像は、ハイパースペクトルカメラで「2種類の錠剤の判別」した例です。
肉眼では、混ざり合った錠剤の区別がつきませんが(画像左)、ハイパースペクトルカメラで撮影した場合(画像右)、異なる成分で構成された2種類の錠剤がはっきりと見分けられます。
この「違いを見分けられる」という点が、動画・静止画を問わない「ハイパースペクトルカメラの強み」ですが、動画ならではの強みもあります。
動画ハイパースペクトルカメラならではの強みは「膨大なデータを一瞬で撮影できる」ことです。
通常のカメラ(RGBカメラ)の撮影は、シャッターを切るだけの一瞬で完了します。 一方、ハイパースペクトルカメラの撮影は、通常の場合、数秒間掛かります。 撮影に時間を要するのは、ハイパースペクトルカメラがRGBカメラで撮影できない「何百という波長データ」を撮影できるからです。
ハイパースペクトルカメラのデータ量は、RGBカメラのデータ量を遥かに凌駕します。
RGBカメラは、RGB(Red, Blue, Green)に対応する「3バンド」のみを撮影。
「数百バンド」の膨大な波長データを撮影できる。肉眼では捉えられない波長も撮影可能。
「バンド」とは波長の単位です。例えば、4つの波長を撮影できる場合「4バンド」と数えます。 RGBカメラは「3バンド」、つまり「3つの波長」のみ撮影します。 対して、ハイパースペクトルカメラは「数百バンド」ですので「数百を超えるの波長」の撮影が可能です。
「3バンド」と「数百バンド」。 これは、それぞれカメラ内部に埋め込まれたセンサーが捉えられる情報量の違いです。
この通り、RGBカメラとハイパースペクトルカメラでは、そもそもセンサーが感知できる情報量に大きな差があります。 そのため、撮影されるデータ量にも差異が出ます。
このように、そもそも撮影されるデータ量に差があることから、ハイパースペクトルカメラが「豊富な波長データ」を「高解像度」で撮影するためには、数秒間を要します。 しかし動画ハイパースペクトルカメラは「スナップショット」という撮影方式を用いているため、一瞬で撮影することができます。
ハイパースペクトルカメラには、大きく分けて2種類の撮影方式があります。 「ラインスキャン」と「スナップショット」です。
ラインスキャンカメラによる撮影では、カメラは固定のまま、ステージが左右に移動することによって撮影します。
ステージの動きに合わせて、1ラインずつ波長を取り込んでいきます。一度の取り込みでは「線」でのデータになってしまうため、ステージが横にスライドしていくことで、連続してラインを取り込んでいき、データを生成します。
スナップショットは、通常のカメラと同様に、ワンショットで撮影できます。
これまでは、ハイパースペクトルカメラは「ラインスキャン型」が主流でした。 製造ライン等と相性が良いことや、研究室での利用時の精度の高さからラインスキャンが選ばれてきたという経緯があります。もちろん、これからもラインスキャン型のハイパースペクトルカメラの有益性は変わりません。
ただし、シーンによってはワンショットで膨大な波長データを撮影できるスナップショット型のハイパースペクトルカメラが適合するケースもあります。
それが「動画」の分野です。 スナップショット型のハイパースペクトルカメラの中には「動画撮影が可能」なものがあり、大きな可能性を秘めています。
ハイパースペクトルカメラは、肉眼で捉えられる光から肉眼で捉えられない、赤外線や紫外線まで、何百もの波長を撮影できます。
もちろん、個々の製品によって、撮影できる波長は異なっています。例えば、赤外領域に特化したハイパースペクトルカメラもありますし、一方で、可視光域〜赤外線まで幅広くカバーするハイパースペクトルカメラもあります。
仕様によって撮影できる波長や、解像度が異なるなど、様々なハイパースペクトルカメラがありますが、問題は「豊富なデータによって何が実現できるのか」という点です。
ハイパースペクトルカメラを用いることで「人間の目には見えない違い」を見分けられます。
これによって「プラスチックの分別」が可能になります。
今回は、実際にリサイクル工場でハイパースペクトルカメラが活用されている事例をご紹介いたします。
こちらは「RGBカメラ」で撮影された「プラスチック」の画像です。 ほとんど肉眼と同じように見える状態ですが、どれも「同じプラスチック」に見えますよね?
ですが、ハイパースペクトルカメラで同じように撮影すると「同じプラスチックではない」ことが分かります。
RGB画像
疑似カラー画像
こちらは、ハイパースペクトルカメラで撮影したデータをソフトウェアで処理した「疑似カラー画像」です。 疑似カラー画像では、
というように、「材料」ごとに色分けしています。
それぞれの違いがはっきりと分かりますね。
このように、ハイパースペクトルカメラで撮影することで、肉眼では分からない「違い」を明確に判別できます。
同じプラスチックにしか見えない。
プラスチック「材料」の違いを判別できる。
ハイパースペクトルカメラは「波長の違い」を見分けることにより「違い」を見分けられます。
「材料」の他にも「イチゴの品種の違い」や「錠剤の成分分別」など、肉眼では分からない「違い」を見分けられます。 そのため、ハイパースペクトルカメラは製造ラインと相性が良く、リサイクル工場や食品工場での遺物検査など「マシンビジョン」で活用されています。 実際に世界中の工場に、ハイパースペクトルカメラが組み込まれているのです。
ハイパースペクトルカメラは、マシンビジョンに留まらず「リモートセンシング」や「ライフサイエンス」の分野でも活用されています。
ハイパースペクトルカメラは「外来種の雑草」を判別することができます。
右の画像は、ハイパースペクトルカメラを搭載した航空撮影システムで撮影したものです。 黄色で示されているエリアで、外来種の雑草の侵入範囲を示しています。
こちらは「蛍光微生物マットの分析」です。 ハイパースペクトルカメラでの撮影で3種の微生物を判別できます。
RGB画像(左)では判別し切れない微細な違いもハイパースペクトルカメラでの撮影画像(右)で、見分けることができます。
上記3つは、いずれも「静止画」の事例です。
では「動画」の場合はどうでしょうか?
動画の場合、撮影対象が動体でも問題ありません。そのため「動く対象」の波長データを連続的に取得することが可能になります。 つまり膨大な波長データを「動画」で撮影できることにより、その可能性は一気に広がるのです。
それぞれの分野で、様々な応用が考えられます。
肉眼では見分けられない「違い」を判別できる点が動画ハイパースペクトルカメラの強みです。マシンビジョンでは「異物検査」や「材料の識別」といったタスクに適合します。
弊社取り扱い製品に「機械学習」によって、それぞれの材料の違いを見分けることができる製品があります。 リサイクル工場での分別や、古紙の仕分けなど、該当製品を工場ラインに組み込むことで、工場の「目」として機能し煩雑な「仕分け」タスクを代行します。
動画で撮影できることで「日光と合わせた地上の変化」など「経過」を撮影できるという点が動画ハイパースペクトルカメラの強みです。
ハイパースペクトルカメラは近年急速な進歩を遂げたドローンとの相性も良いため、今後は農業研究での活用など、リモートセンシングでの活躍が期待されます。
「動画」の撮影によって、最も恩恵を受ける分野の一つがライフサイエンスでしょう。 動体の波長データを継続的に観察できるため、細胞の変化を注視できます。
実際に、当社取り扱い製品でコラーゲンの波長データ測定や、スキン構造の分析を行なった事例がございます。
3分野に共通して言えることは「動体を撮影できる」という動画での強みを活かせる分野であるという点です。
工場ラインに組み込む際は、素早い撮影が求められます。そうした場面では動画に対応できる「スナップショット」のハイパースペクトルカメラが有効です。また、動画で撮影できるため、リアルタイムの分析も可能になります。
他方、リモートセンシング、ライフサイエンスは「変化」を観察する必要のある分野です。 そのため、連続して波長データを取得し続けることができる動画との相性は非常に良いと言えます。
「動画」での波長データ取得は革新的です。
これまでハイパースペクトルカメラは科学技術の分野で幅広く活用されてきましたが、近年、一般産業での活用に対する需要の高まりもあり、これに対応できるハイパースペクトルカメラが必要とされてきました。
動画撮影が可能なハイパースペクトルカメラの主な価値は、次の2点に凝縮できます。
これまでもハイパースペクトルカメラは「とりあえず研究室に一台は置いておきたい」と言われるほどニーズが高く、農業分野から医療分野に至るまで幅広い研究に用いられてきました。
動画撮影可能なハイパースペクトルカメラの登場により、今後は、マシンビジョンを始めとする一般産業への普及を始め、様々な研究での応用が期待できます。
こちらは「スナップショットの常識を覆す革新的ハイパースペクトルカメラ」です。 ライトフィールド技術の導入によりスナップショットでの「高品質」な波長データ撮影が可能になりました。動画、静止画双方に対応。
可搬性が高いため、リモートセンシングでも扱いやすい筐体です。
専用ソフトウェアに「機械学習」機能が組み込まれているため、マシンビジョンでの活用に最適です。
当製品を用いてソフトウェアで機械学習を行うと、波長データを学習し、材料A、材料Bの違いを見分けることができます。
動画撮影可能なため、タイムラグのないリアルタイムでの波長分析が可能です。
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