ハイパースペクトルカメラとマルチスペクトルカメラ
分光カメラの適材適所のススメ!
2019.06.04 | ハイパースペクトルカメラ, マルチスペクトルカメラ, 工業分野
分光カメラは「ハイパースペクトルカメラ」と「マルチスペクトルカメラ」に大分されます。
これら2つのカメラは、撮影できる波長のバンド数の「多い/少ない」によって区別されています。
ハイパースペクトルカメラは、多くの波長イメージを取得できるため、価格が高価になる傾向にありますが、精緻なスペクトルパターンを取得できます。 マルチスペクトルカメラは、バンド数を絞っているため低価格で導入できます。
今回は、それぞれの分光カメラの特徴や活用法について、ご紹介いたします。
ハイパースペクトルカメラで初期調査
様々な角度から調査・分析を繰り返すような研究用途では、まずは汎用性のあるハイパースペクトルカメラがお勧めです。ハイパースペクトルカメラは、測定波長範囲において数百バンドという非常に多くの波長情報が得られる分光カメラです。測定対象の波長情報を細かく分析したい場合や、どの波長に注目すれば目的の達成が可能かを探りたい場合にハイパースペクトルカメラは最適です。
最新のハイパースペクトルカメラについての詳細は、こちらをご覧ください。 また、実際に「製品を見て判断したい」というご要望を多くいただきます。ケイエルブイでは、ハイパースペクトルカメラをご検討のお客様に対して、デモを行っていただく機会を提供させていただいています。
マルチカメラを使ってコストを抑えながらインラインで
「工場などのラインにハイパースペクトルカメラを組み込みたい」というご相談をよく承ります。
こちらの記事マシンビジョンでの活躍 ハイパースペクトルカメラの導入事例でご紹介した通り、ハイパースペクトルカメラはインラインでも活躍していますが、複数台を設置するシーンで、数バンド~十数バンドの波長情報で目的が達成される場合、このような時マルチスペクトルカメラが輝きます!
マルチスペクトルカメラは、数バンドから十数バンドの波長情報を取得することができる分光カメラです。一方、ハイパースペクトルカメラは、数百という膨大な波長データを取得するため、非常に高速なラインでは撮影速度が要求に適合しない場合もあります。見たい波長が数バンドから十数バンドで目的が達成される場合であれば、インラインへの組み込みを想定した設計で、高いフレームレートを実現した、ラインセンサ型のマルチスペクトルカメラがお勧めです。また、複数台を設置するシーンを考えたとき、ハイパースペクトルカメラと比べて安価なマルチスペクトルカメラを用いることで、大幅なコストダウンも実現できます。
農業分野
赤色の波長帯(650nm付近)と近赤外の波長帯(800nm付近)を組み合わせることにより、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index/正規化植生指数)を算出することができます。NDVIは、農業生産量のモニタリングや予測に使われます。 また、水の測定にも赤外の波長が利用され、特に1450nm付近や1940nm付近、2900nm付近の波長で吸収される傾向にあり、作物内の水分量の測定にも利用されています。 この波長に合わせたマルチスペクトルカメラも取り扱っています。

産業分野
ポリ乳酸(PLA)という生分解性プラスティックとナイロンといった吸光度のちがいを利用して分類をおこなうことができます。 画像は736nmの波長で2値化処理を行ったものです。


バイオメディカル分野
酸素飽和度やヘモグロビン量を見ることで健康状態をモニタリングすることが可能です。735nm はデオキシヘモグロビン、800nm は総ヘモグロビン、865nm はオキシヘモグロビン、そして 930nm は脂質を見るのに適しています。

ハイパースペクトルカメラで研究した内容を、マルチスペクトルカメラに置き換えられるかはこちらをご覧ください。
うまく使えばコスパも最強!マルチスペクトルカメラから得られる情報を最大化
ハイパースペクトルカメラとマルチスペクトルカメラの違いについての詳細は、こちらをご覧ください。
使い分けによって、最大の費用対効果を!
ハイパースペクトルカメラは、波長範囲が広く、得られるデータも多いため、幅広い用途に応用が利きます。
汎用性の高いハイパースペクトルカメラを研究室に1台備えておくことで、様々なデータの収集に活用できます。
マルチスペクトルカメラは、ハイパースペクトルカメラに比べて低価格で導入ができ、実践性の高さが利点です。
お客様が達成したい目的に対し、ハイパースペクトルカメラとマルチスペクトルカメラのベストな組み合わせは異なります。選定に迷った場合は、豊富な製品を取り揃えた弊社にお気軽にご相談ください。
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