【第1回】光学機器商社がレタスで実験してみた!
種まき編
2018.12.07 | レポ, 実験してみた, 連載記事
こんにちは、光学機器商社ケイエルブイ(ケイエルブイ株式会社)です。
普段ハイパースペクトルカメラについてお客様にご説明している私たちですが、自分たちでもハイパースペクトルカメラを扱う経験値を貯めることで、よりお客様に寄り添ったご提案ができるのではと思い、今回、思い切って新企画を初めてみました。
※本格的な研究や実験ではありません、趣旨としては、ハイパースペクトルカメラを扱ったことがない方々含め、皆様に楽しんで頂けることを意図しております。
今回は「種まき編」です。
実験の準備段階「種まきの様子」についてご紹介していきます。
実験内容
種まきのお話に入る前に、私たちが今後どういう実験をしていきたいのかお伝えいたします。
実験の内容は「レタスを白色光と赤色光で育て、ハイパースペクトルカメラの撮影結果に違いは出るのか?」というものです。
これまでケイエルブイはハイパースペクトルカメラの専門情報サイト、メディアサイトを立ち上げ、ハイパースペクトルカメラの魅力をお伝えしてきました。
専門的な情報をお届けできるよう尽力してきましたが、近年ハイパースペクトルカメラを扱ったことが無いお客様からのご相談が増えています。
そのため、
「新しい角度からハイパースペクトルカメラの魅力をお伝えしたい」
「まずは自分たちから楽しむことで、お客様にもワクワクできる情報をお届けしたい」
と考えました。
そしてついに今回、ケイエルブイ初の連載記事が走り出しました。
記念すべき第1回目「種まき編」では、種まきの様子をお伝えしていきたいと思います。
水耕栽培器に水を入れよう
こちらが今回使用する水耕栽培器「
Green Farm」です。(品番:UH-A01E1)
幅544mm、奥行262mm、高さ305mmの大きさで、草丈が約17cm以下の葉物野菜を栽培するのに適しています。
手前の平べったいものが栽培ケースです。 そしてケースの上にはポツポツと穴の空いたプレート「苗床パネル」が乗っています。
この苗床パネルに、水を含ませたスポンジに乗せます。
そのスポンジに、種をまくことが、今回のミッションです。
そのために、まずは、栽培ケースに水と肥料を入れるところから始めます。
水耕栽培では土を使うことなく、水と液体肥料を合わせた養液で植物を育てるため、養液づくりは重要な行程のひとつです。
苗床パネルを外し、水を注いでいきます。意外と量が多く大変です。
液体肥料を注ごう! しかし思わぬアクシデントが...
無事、水を入れ終わりました。
ここに液体肥料を注ぎ、水を混ぜ合わせます。
水と液体肥料を混ぜ合わせた養液を吸い上げることで、レタスは成長していきます。
こちらの液体肥料を30cc計量する必要があるのですが、その場に計量カップがありませんでした。
そのため、私たちは知恵を絞ります。
しばらくすると、現場で次のような声が上がりました。
「そういえば、ポーションって5ccらしいですよ!」
ポーションとは、コーヒーのミルクやシュガーシロップなどが入っているプラスチック製の小さな容器です。
ポーションが5ccなのか、その真偽は定かではありませんが、計量カップが手元にない私たちは、この情報にすがるしかありませんでした。
ポーションに液体肥料を注いでいきます。
ポーションが5ccであれば、6回計ることで30ccを計量できます。(5cc×6回=30cc)
こうして私たちは作業を進めていきましたが、
「まだ4杯目なんですけど、もう肥料無くなりかけてます......」
液体肥料の減りが異様に早いのです。
まだ初回にもかかわらず、一本使い切ってしまいそうな勢いです。
ここでふと立ち止まり、何故、このような事態に陥ってしまったのか考えます。
考察の結果がこちら。
ポーションのケースそれ自体が5ccではなく、内容量が5ccだったのではないか。
こうした結論にたどり着いた私たちは、ポーションによる誤った計量を打ち切ります。
このような経緯を経て、液体肥料の濃度に問題がある養液が完成しました。
※養液はこの後、皆で薄めました。
―計量カップを発見!
これは後に気づいたことですが、実は、お試し種子キットの中に計量カップが同梱されていました。
また、水耕栽培器のメーカー、株式会社ユーイング様に直接確認いたしましたところ、液体肥料のボトルキャップでも計量は可能のようです。
ボトルのキャップ1杯は15cc、キャップ2杯で30ccを測定できるそうです。
栽培器のセッティング
スポンジの準備に取り掛かります。
こちらのスポンジから空気を抜きつつ、しっかりと水を吸収させ、馴染ませていきます。
スポンジの真ん中、少し窪んだ部分に種を入れる予定です。
苗床パネルを養液の上に浮かべます。
穴の空いた箇所に、先ほど水を含ませた栽培スポンジを取り付けていきます。
スポンジがパネルよりはみ出さないように、かといって差し込みすぎないように気をつけながら作業していきます。
不要な穴に、苗床フタをしていきます。
苗床フタを取り付けるのは、アオコ(藻の一種)の繁殖を防ぐためです。
レタスを育てるために必要な「水・栄養・光」は、一方で、アオコの繁殖を促す条件ともなります。
栽培養液中にアオコが大量繁殖すると、アオコに栄養分を吸収され植物の成長が妨げられます。
そのため、使っていない箇所には苗床フタし、光を遮る必要があります。
完成しました。
苗床の準備は万全です。
―補足情報:何故、間隔を空ける必要があるのか?
「どうして、すべての穴にスポンジを入れないのか」
このような疑問を持った方もいらっしゃると思いますので、ここで少し解説をさせていただきます。
例えばルッコラなどのベビーリーフであれば、すべての穴にスポンジを入れて栽培することができます。あまり葉が大きくならないためです。
一方、レタスの場合は、成長とともに葉が大きく広がります。
葉がのびのびと成長できるよう、必要なスペーズを確保するため、このような配置になるのです。
いよいよ種まき!
さて、ここで嬉しいサプライズがありました。 たまたま通りかかった ハイパースペクトルカメラPikaの担当者(写真右)が、種まきを手伝ってくれることになりました。 (帰宅前にもかかわらず、お手伝いありがとうございました。)
こちらの緑色の種を、スポンジの上にまいていきます。
栽培スポンジの窪みに嵌まるように、丁寧にまきます。
種まきが完了しました。 いよいよ、最終行程に進みます。
水耕栽培器の準備をして、完成!
種まきを終えた栽培ケースを、栽培器にセットします。
LEDライトをつけるとこんな具合になります。
しかし、今回はあくまで発芽を促すことがメインです。
そのため、 Green Farm水耕栽培器の「発芽モード」をオンにします。
Green Farm様ホームページより画像をお借りしております。
LED照明を消灯し、発芽を促す「発芽モード」を設定します。
発芽モードは72時間後に解除され、自動で通常モードに切り替わるそうです。(参考:Greeen Farm製品情報)
発芽モードにて、水耕栽培を開始します。 これですべての作業は完了です。
ケイエルブイ玄関に鎮座する水耕栽培器。
今回の種まきに協力してくれたメンバーです。
発芽モードの水耕栽培器を囲み、見守っています。
次回予告
では、最後に今後の展望をご紹介しつつ、締めさせていただきます。
冒頭でも述べました通り、私たちの実験は「レタスを白色光と赤色光で育て、スペクトルに違いは出るのか?」というもの。
そのため次回は、発芽後の様子をレポートしつつ、今後の実験についても何かしら情報をお届けしたいと考えております。
それでは、皆様、次回記事もお楽しみに。
―今回、使用させていただいた水耕栽培器はこちら
Green Farm(品番:UH-A01E1)
今回、そしてこれからの連載記事にて、レタスを育てる際に使用させていただく水耕栽培器です。 水耕栽培に関わる一式が揃っており、説明書もわかりやすいため、初心者でもすぐに始めることができます。
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