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突然ですが「分光カメラ」をご存知でしょうか?
分光カメラとは、一般的に「平面イメージに加え、分光データを撮影できるカメラ」を総称したものと言われています。 ハイパースペクトルカメラ、マルチスペクトルカメラ、ハイパースペクトルイメージングシステム、多波長分光カメラなど「分光カメラ」と結びつく類語は、数多く存在します。
そのため、この記事では、様々な種類や表記のある「分光カメラ」と、その周辺のワードについて、分光の専門家でなくともご理解いただけるよう、わかりやすく解説いたします。
分光は英訳すると「スペクトル(spectral)」ですので、分光カメラは「スペクトルカメラ」とも呼ばれます。 しかし「スペクトルカメラ」という呼称はあまり耳にしません。 というのもスペクトルカメラについては、以下の2種類の製品区分として呼ばれることが多いからです。
「ハイパースペクトルカメラ」と「マルチスペクトルカメラ」。 まずは分光カメラとして代表的な、これらのカメラをご紹介いたします。
分光カメラを語る上で欠かせないワードが、この「ハイパースペクトルカメラ」です。
分光カメラの撮影によって、特定の波長のデータを撮影します。 この撮影される波長は「バンド」と言われますが、ハイパースペクトルカメラでは、撮影されるバンド数が多いことが特徴です。
ハイパースペクトルカメラは、各ピクセルごとに、数十〜数百バンドのスペクトル情報を取得することができるカメラです。 言い換えるならば、細やかな波長の違いを認識できる(高いスペクトル分解能を有する)カメラとも言えます。
ハイパースペクトルカメラは数多くの波長を撮影できるため、非常に厳密な分光データを得ることができます。
詳細な分光データを分析することで、色や成分の微妙な違いを見分けることができます。 詳細は専門情報サイトの事例集をご覧ください。
マルチスペクトルカメラも、ハイパースペクトルカメラと同様に、スペクトル情報を獲得できるカメラです。
両者の違いは「撮影されるバンド数」にあります。 細かくバンドを撮影するハイパースペクトルカメラに対し、マルチスペクトルカメラは3〜15バンドの少数のバンドのみを取得します。
ハイパースペクトルカメラ、マルチスペクトルカメラは、どちらも「複数のバンド(波長)」を撮影するという点では共通しています。 そのため、これらのような「多数の波長を扱うカメラ」を、多波長分光カメラと呼びあらわすこともあります。
ハイパースペクトルカメラは撮影機器・器具そのものを指しますが「ハイパースペクトルイメージング」は「技術」を意味します。
ハイパースペクトルカメラの撮影によって取得された数十〜数百バンドの分光データをイメージングする(撮影した分光データを可視化できる形へと生成する)技術を示す場合、ハイパースペクトルイメージングと言います。
「システム」という単語は、幅広い意味を内包しています。 さらに言葉が広まっていく過程で、元来の意味に加えて、様々なイメージ含む単語となりました。
2019年現在「ハイパースペクトルイメージングシステム」という言葉は、ハイパースペクトルカメラそのものを指し示す際に、使われています。
ハイパースペクトルカメラと、ハイパースペクトルイメージングシステム。 2つの違いは、厳密に定義されているわけではありませんが、ハイパースペクトルカメラを「ハイパースペクトルイメージングシステム」と表現するのは、以下のような理由が考えられます。
ハイパースペクトルカメラは、撮影のためのカメラとイメージング分光機能を搭載しています。 言い換えるならば「カメラとしての機能と分光器としての機能」を併せ持つカメラです。 そのため、広義では、ハイパースペクトルカメラそのものが「システム」であると言えます。
また前述の通り「ハイパースペクトルイメージング=分光イメージング技術」ですので、これを用いたシステムという意味も含まれているのかもしれません。
さらに「システム」という単語は、産業的な装置のようなイメージを想起させます。 ハイパースペクトルカメラは、工場のラインに組み込まれるなど、高度な産業機器として活躍する機会が多くあります。 そのため、民生用の撮影機器というイメージが強い「カメラ」という言葉を避け「ハイパースペクトルイメージングシステム」と呼び表している可能性もあります。
分光カメラは日々、進歩しています。 民間企業でのハイパースペクトルイメージングが民間企業や大学に普及し始めたのは、1980年代と言われています。 また、10以上のスペクトルを処理できる市販の画像処理ソフトウェアが登場し始めたのは1990年以降です。
今回の記事では、分光カメラにまつわるワードを紹介してまいりました。 ハイパースペクトルカメラを含む「分光カメラ」そのものが新しい技術であるため、これらの言葉は、まだ厳密には定義されていませんが、なるべく皆様に言葉のニュアンスが伝わるよう努めました。
この記事が、日進月歩の発展を続けていく分光カメラに関する、理解の手助けとなれば幸いです。