近赤外分光法とは
2018.07.05 | 近赤外分光法
近赤外分光法とはどんなものか
「近赤外」とは「近赤外線」を指します。
これは「赤外線」の一種です。
光には「波長」があり、この波長別に可視光や紫外線、赤外線といった分類がなされています。
近赤外線は、こうした分類の中でも「私たちの目に見える光に近い赤外線」です。
近赤外分光法では、この近赤外線を用いて物体を測定します。
では、近赤外分光法による測定で、何がわかるようになるのでしょうか。
具体的な事例と共に見ていきましょう。
近赤外分光法で何がわかるのか
近赤外分光法を用いることで、食品の劣化から人間の体脂肪量まで、さまざまなことがわかるようになります。
魚や人間、さらにコンクリートなど、近赤外分光法による測定対象は幅広いです。
では、どうしてこれほどまでに、さまざまな物体の情報がわかるようになるのでしょうか。
近赤外線を使うことで、脂肪量や劣化具合が見える化できるのでしょうか。
まずは、近赤外分光法によって物体がどのように測定されるのか、その手順を見ていきましょう。
どのように測定するのか
近赤外分光法では、測定する物体に近赤外線を照射し、結果を観測します。
測定する物体に近赤外線が当たります。
すると、近赤外線は「光」ですから、物体へと反射したり、吸収されたりします。
しかし、吸収されずに物体を透過する光もあります。
近赤外分光法では、このように測定する物体へと反射したり、透過したりする光を測定します。
つまり、近赤外分光法による物体の測定は、測定する物体に近赤外線を照射、そして物体から反射したり、透過した光を測定するというものです。
しかし、難しい部分もあります。
例えば食品の劣化具合を近赤外分光法で測定するケースがありますが、「劣化度」という情報をダイレクトに得られるわけではありません。
近赤外分光法によってわかるのは、あくまで「光の情報」です。
つまり「食品の劣化具合」を測定したい場合「新鮮な食品の測定データ」と「劣化した食品の測定データ」が必要です。
このデータの違いを比較することで「食品が劣化しているか否か」を判断します。
必要なデータを獲得するためには、サンプルデータの蓄積やデータのパターンからの学習が必要です。
これについては、近年急速に発展してきたIoT+機械学習(ディープラーニング)といった技術を活かすことで精度を高めることもできるはずです。
近赤外分光法の未来
近赤外分光法によって物質の情報を明らかにしていく研究は、現在も続けられています。
近赤外分光法は、近赤外線を対象へと照射することで測定します。
近赤外線は紫外の光と比べて、照射される光のエネルギーが低いという特徴があります。
また、近赤外分光法は、「非破壊」で対象を測定できるという利点から、製造業の分野や農業分野、医療分野での活躍が期待されています。
近赤外分光法を用いた超小型近赤外分光センサーは、携帯機器や産業用途の組み込み用途に注目されており、今後、ますます活用の幅を広げていくことが予想されます。
近赤外分光法 関連情報ご紹介
近赤外分光法は、あくまで測定対象を分析する「手法」です。
近赤外分光法という分析手法は、実際には「近赤外分光器」や「近赤外分光センサー」として活用されています。
弊社でも、近赤外分光法を用いたセンサーをいくつか取り扱っていますが、そうした「近赤外分光センサー」と関連する記事をご紹介いたします。
こちらでは「近赤外分光センサー」の詳細をわかりやすく解説。
- 近赤外分光センサーについて、もっと具体的に知りたい
- 近赤外分光の分野で行われている研究に関心がある
そうした方にお勧めできる内容です。
こちらでは、実際に「近赤外分光センサー」について、ご紹介しています。
- 近赤外分光センサーがどのようなものか見てみたい
- 近赤外分光センサーがどう役に立つのか知りたい
記事では「食品産業」を中心に取り上げていますが、食品産業に携わらない方でも、近赤外分光センサーに興味がある方は是非、ご覧ください。
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