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近赤外分光センサー – スペクトラルエンジンズ社
CCOインタビュー

IoTへの導入を想定して作られた近赤外分光センサー。
小型化と高性能を両立し、あらゆるデバイスへの導入を可能にした。

インダストリー4.0という追い風を背に、IoTデバイスの普及が進む中、センサーの需要が高まっています。

これまで「近赤外分光センサー」は、その有用性が高くうたわれている中、研究室の中で閉じている状態でした。
理由は、近赤外分光センサーに用いる検出器の素材が高価格で、IoT用に大量のデバイスを生産するには莫大なコストを要していたためです。近赤外分光センサーは、既に産業界で実用化されているものもありますが、1台1台が高価な装置への搭載がメインで、IoTとは関わりのないものだったのです。

しかし、IoTデバイスに組み込める程の小型、低価格化を実現した革新的な近赤外分光センサーが登場しました。

それがスペクトラルエンジンズ社が開発した、NIRONE Sensorです。
この度、スペクトラルエンジンズ社CCO、Janne Suhonen(ヤンネ スホーネン)氏にお話をお伺いしました。

御社は、世界に先駆けてIoTへの組み込みを想定した超小型近赤外分光センサーを開発されました。なぜこのような先進的な取り組みをするに至ったのでしょうか。NIRONE Sensorを開発したきっかけを教えてください。

スペクトラルエンジンズ社CCO

Suhonen氏:最初、当社ではマテリアルセンサーの開発を4年前に開始しました。それ以前は、15年ほど、オプティカルセンシング分野で開発を行っていました。
ご存じの通り、このセンサーは産業や農業だけでなく家電製品まで幅広く使用することができるため、市場機会の大きな可能性があります。これが1〜2年前に当社が独自のNIRONE Sensorを作りたいと思った理由です。

製品紹介

NIRONE Sensorは、IoTへの組み込みに求められるあらゆる環境への適応が可能な超小型分光センサーモジュールです。
これまで近赤外分光センサーは研究用途では幅広く用いられてきましたが、大きさとコストの面から産業界での実用化は一部の装置に限られていました。

NIRONE Sensor

しかし、NIRONE Sensorは、センサー分野に革新を起こしました。
25x25x17mmという超小型サイズであり、その重さはわずか15g、にもかかわらず、高い性能を持っています。
一般的に近赤外分光センサーで用いられる素材は単価が高く、大量生産が求められるIoT用途では不向きでしたが、MEMS技術を用いて超小型化することにより、これまでにない低価格化を実現しています。 そのため、あらゆるIoTデバイスへと導入することができる、実用的なセンサーです。
時代の最先端を行くNIRONE Sensorは、コンパクトで堅牢な作りの中に、近赤外分光センサー、2つの光源を内蔵しているだけでなく、近赤外の分光測定に必要な部品を全て搭載しています。

超小型近赤外センサーモジュール 超小型近赤外センサーモジュール 超小型近赤外センサーモジュール

会社を設立する前のご自身の経歴についてお聞かせください。

スペクトラルエンジンズ社CCO

Suhonen氏:はい。1995年に大学を卒業し、電気工学とMBAで修士課程を修めました。
それから20年ほど、フィンランドの技術研究センターVTTのオプティカルセンサー技術グループで働いていました。ここでは、研究者から始まり、最終的には技術グループのマネージャーになりました。ですから、私には技術とビジネスの両方のバックグラウンドがあるわけです。

Spectral Engines社があるフィンランドは、どんなところでしょうか。IoTにおいて研究が活発に進められているなど、技術的なお仕事をされるには良い環境ですか?

Suhonen氏:フィンランドは大変小さな国ですが、幸いなことにエレクトロニクス分野においては多くの会社が成功しています。その中でも、携帯電話大手のノキアがもっとも有名です。私の国にはエンジニアリングのスキルが充実しているのです。
さらに、私たちはあらゆるワイヤレス・テレコミュニケーションに興味を持っており、さまざまな取り組みを行ってきました。しかし、私たちにとって、最も重要なことは、オプティカルセンサー技術やフォトニクス、分光法全体において非常に長い歴史があるということでしょう。
深い歴史とエンジニアリング・スキルを併せ持つフィンランドは、当社にとって素晴らしいスタート地点だったと言えます。

Spectral Engines社がある都市(ヘルシンキ)についても教えていただけますか?

Suhonen氏:はい。フィンランドは日本ではあまり知られていない国だと思います。
フィンランドは小さな国で、人口は600万人程度です。最も大きな都市である首都ヘルシンキの人口は150万人ほどです。つまり、人口の25%がヘルシンキに住んでいることになります。
フィンランドの夏はとても快適です。日照時間も長く温かいのです。他の地域のような暑さはありません。しかし、冬はとても暗く寒いです。我々はそれに慣れていますが外国の方はとても驚きますし、エキゾチックだという方もいます。

NIRONE Sensorのターゲット市場について教えていただけますか。

スペクトラルエンジンズ社CCO

Suhonen氏:当社では、メインストリームである分野に狙いを定めています。つまり、「産業分野」「農業分野」そして直接消費者と結びつく「家電製品分野」です。 はじめに、産業分野からお話します。
現在、産業界にはインダストリー4.0やIoTといった大きな流れがあります。
この流れは、当社にとって良い機会といえます。新しい制御アプリケーションや、それらのプロセスで用いるデバイスに、当社のNIRONE Sensorを幅広く組み込むことができるからです。

そして第二に、私たちの未来を担う農業分野が、私たちにとって大きな市場です。
現在、農地は減少を続けていますが、世界人口は常に増加しています。効率的な方法で食物を生産する必要があるのです。
近赤外分光法は、研究の分野では食品や農業用アプリケーションに幅広く用いられていますが、研究室だけでなく、実際の現場での検査に応用することができるのです。そのため、当社の製品は、スマート農業の分野においても大きな可能性があります。

さらに、家電や消費者製品全体を扱う市場にも目を向けています。
もちろん、分光法がどのように私たちの家庭において役立つのか、これについて決定するには、まだ早い段階です。しかし私たちはこういった分野において分光法を役立てるアイデアや明確なコンセプトもあるので、これらをけん引できる会社となるよう努力します。

また、これらとともに、ポータブル機器への組み込みもターゲットとしています。分光法を研究室の外で携帯して使用することができるようになるでしょう。例えば、農家向けの計測器や、警察官向けの計測器などです。

御社のNIRONE Sensorは、他社の近赤外分光センサーとの異なる点が他にもあるかと思いますが、そのなかでも際立った特徴を教えていただけないでしょうか。

NIRONE Sensor

Suhonen氏:それは良い質問ですね。現在市場に出ている既存の分光器を見ていただければ、当社特有の利点がいくつかあることがわかります。
まず、当社のセンサーは非常に小さいため、より小型な機器に導入することができます。お客様も、当社製品のサイズには非常に驚かれます。
また、「超小型」というと、研究室で用いられるサイズの分析器と比較して性能が良くないのではないかと考えられるかと思います。ですが、当社の製品は、そういった研究室のものと同等、もしくはそれ以上の性能を持っています。この点についてもお客様は驚かれます。

高い性能を持つ小型センサーを実現できたのは、光学的形状と構造によるものです。これらにより、高機能のポータブル光学検知器への使用が可能になりました。
もちろん、価格の問題もありますが、私たちは半導体プロセスを利用したMEMSの製造工程、大量生産が可能な技術を持っております。そのため、価格面においても他の製品と比較して優位であるといえるでしょう。

さらに良い点は——これが非常に大切な点なのですが——、研究所での利用を簡単に始められるように設計しました。当社のセンサーは、すぐに使うことができるのです。というのも、必要なすべてのコネクタをお客様のポートに差し込むことができるようになっているためです。
また反射光学系をはじめとした光学インターフェースなども用意しております。

NIRONE Sensorは、コンパクトで手頃な価格にもかかわらず、高い性能を持っていますが、開発にあたり苦労した点はありますか?

Suhonen氏:そうですね、もちろん、常に克服しなければならない問題はありますが、VTT(フィンランド技術研究センター)でこの技術開発を始めた際に、MEMS技術の製造工程など、すべてにおいて非常に良い土台がありました。ですから、他の多くの会社に比べいち早くこの技術を市場へと提供することができるようになりました。
ですが、課題もあります。MEMS技術に関する技術的な課題に加え、もっとも大きな課題はリソースです。MEMS技術を開発する際に、ワイヤレス技術やAIの開発も行っていますが、当社は25名のまだ小さな会社です。リソースが限られているため、特定の内容に集中しなければなりませんが、今のところうまくいっています。

スマートホームやスマート農業について言及されましたが、御社の製品は、我々の生活に、どのような利益をもたらすでしょうか?

Suhonen氏:まずは、スマート農業、つまり食の問題についてお話します。 この次世代センサー技術は、廃棄物の軽減や、生産の効率化に役立つでしょう。例えば、製品の廃棄物を軽減する、というように。
ですから、異なる種類の農業製品をより効率的に生産することができ、またエネルギー消費を削減できる新しい技術は、非常に重要だと考えています。
先ほどもお話した通り、世界人口の増加に伴う、食糧問題は深刻で、これらを解消するために、今後30年間で食物の生産量を70%増加する必要があると言われています。
農業における新しいイノベーションは、大きすぎる課題です。
私たちは、この分野に新しい技術をもたらすことにより、世界規模の問題の解決に貢献していきたいと考えています。
また、家電は日常の中で人々が触れるものであり、我々が家庭で消費する食べ物等と関連しています。 こういったモノは、将来的には「スマートさ」の中に組み込まれるでしょう。 こういった家電製品を消費者が使用する際に重要なことは、使用するための特別なスキルを必要としないこと、つまり、誰にとっても扱いやすいということです。

今後「インダストリー4.0」の取り組みとしてIoTにおけるセンサーの可能性が広がるかと思います。こうした状況において、御社の製品にはどのような可能性があるでしょうか? また期待されることはなんですか?

Suhonen氏:スマート業界は、インダストリー4.0のための業界であり、新しいセンサーにとって非常に面白い事業機会です。
忘れてはならないのは、生産性の効率を改善すること、そして生産サイドからの情報をもっと吸い上げることです。
センサーは情報の収集において、重要な役割を果たしています。
近年では産業用の生産プロセス管理において、流量、圧力、温度の計測がされています。しかし当社では、化学成分や密度の計測を行うための産業用プロセス制御など、さらなる機能を計画しています。
これは大きな事業であり、農家から製紙業界、化学製品業界まで、あらゆる生産業界への提案を行っています。前にもお話した通り、当社が主に提案するのはセンサーのみならず、センサー技術を超えた複数デバイスの連携と、あらゆる次世代AIアルゴリズムです。

ありがとうございます。——2017年にEUのHorizon Prizeを獲得されましたね。最も大きな功績は何ですか?

Suhonen氏:もちろん、会社を設立したことが、こうした功績の第一歩といえるでしょう。
そして、2年前——2016年ですね——現在は、フォトニクス業界において最大のショーとなっている「Photonics West」において、もっとも優れたイノベーティブ・センサー製品にノミネートされました。
フィンランドの会社としては当社が初めてノミネートされたのです。このような、実績を残せたことを非常にうれしく思います。
さらに、2017年EUで行われた、食物に関する情報を知るために異なる技術をどのように利用することができるのかを模索する大会において賞を獲得したことにより、食物の計測を行う将来的なコンセプトを示すことができました。

開発についての今後のプランはどのようなものですか?

スペクトラルエンジンズ社CCO

Suhonen氏:今後のプランはたくさんあります。この技術があることをうれしく思います。
今年、あるいは来年、新しい商品をご紹介できると思います。用途事例を拡大し、そのプラットフォームでセンサーを使って何ができるかを示すつもりです。将来的には、低価格で量産品を作るための取り組みも行っています。サイズに関しては満足していますが、その点についても取り組んでいく必要があります。

お客様が貴社の製品を使用された後のコメントをお聞かせください。

Suhonen氏:非常に多くのお客様がいるので難しい質問ですが、いくつかまとめますと、まず、ほとんどのお客様が、当社の分光センサーのサイズを見て満足されます。 通常、卓上で用いる研究室サイズの(大きな)機器しか使用したことがないからです。
サイズの他に、性能にも驚かれます。おもちゃではなく、実際の機器、それもプロフェッショナルな機器だからです。これは今まで彼らが使っていたものとは大きく違います。 また、ただ「すごい!」と感嘆してくださるお客様もいらっしゃいます。
当社のセンサーとデバイスを用いることで、携帯電話からクラウドにデータを送ったり、受け取ったりすることができることを知ると、大変驚かれます。
インターネットにアクセスしたり電話を掛けたりするという、今までも今でも行っていることが、将来的に可能になることの一部であることがわかります。また、将来的に、同じプラットフォームを利用して、素材がどこから来るのか知ることができます。

最後の質問です。もちろん、貴社は当社に、より多く販売することを期待されていると思いますが、それ以外にKLVに求めるものは何ですか?

Suhonen氏:まず、日本の代理店として、貴社は当社の期待を超えています。
当社の製品への関心、そして日本の市場における新しい製品の販売促進において、素晴らしい業績を残しているからです。
また非常に感動しているのは、KLVのビジネスの進め方や、当社の製品の難しい技術仕様を理解するための人材育成の方法です。大変素晴らしい対応ですので、現在のところ、これ以上は求めていません。十分です。

スペクトラルエンジンズ社CCO

ありがとうございます。お時間を頂戴しまして感謝いたします。

NIRONE Device

近赤外分光センサー NIRONE Device

NIRONE Sensorは、コンパクトで堅牢な近赤外分光(NIR)センサモジュールです。 小型化されたにもかかわらず、研究室と同等以上の計測技術を持ち合わせており、あらゆるデバイスへの導入を可能にしました。
Bluetoothに対応しており、携帯機器とワイヤレスで接続できます。
またPCとのUSB接続によって、センサを制御することができるため、ソフトをインストールしたPCに接続するだけで使用できます。

製品詳細
NIRONE Device

近赤外分光センサー NIRONE Device

NIRONE Deviceは、ポケットサイズの分光分析を可能にする近赤外分光センサーです。
Bluetoothに対応しており、携帯機器とワイヤレスで接続できます。
そのため、コンピューターやモバイル機器と組み合わせてご使用いただけます。
NIRONE Sensorと同様に、高い性能を維持しつつ、小型化が実現されているため、現場でも使用することのできる実用的な近赤外センサーとなっています。

製品詳細