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空間モードマルチプレクサ PROTEUS用途例

世界最速 光ファイバー伝送実験 KDDI総合研究所(2017年)

Beyond 5G/6G用途では、50 Gbps以上という従来方式では対応が困難な通信データの大容量化が求められます。

そんな中、2017年KDDI総合研究所は、世界最速となる10.16Pb/sの光ファイバー伝送実験に成功しました。

10.16Pb/sと聞いても、どれくらいのデータ容量なのか想像することは難しいと思いますが、1PB(ペタバイト)=1024TB(テラバイト)になり、ヨーロッパの全土で一斉にNetflixを視聴することが出来るくらいのデータ容量になります。

この画期的な実験には、Cailabsの技術が使われています。

空間モードマルチプレクサ PROTEUS製品詳細

通信路容量(伝送路容量)とは

電気通信の世界では、通信路容量(伝送路容量)は3つの要因によって左右されています。
少し分かりにくいので、電気通信を多くの人を運ぶと言う観点から高速道路にたとえながらご説明します。

highway.jpg
情報のコーディング方法や変調方式
(使用可能なシンボル数)

情報のコーディング方法や変調方式は、車の収容人数にたとえられます。
大きな車の方が、より多くの乗客を収容できるのと同じように、使用可能なシンボル数が多くなればなるほど、多くの情報を送ることが出来ます。
そのため出来るだけ多くの情報を一度に送ることが出来るような技術が開発されています。

チャネル数

チャネル数は、車線の数にたとえられます。車線が増えれば、沢山の車が走行できるのと同じように、チャネル数が増えると通信路容量(伝送路容量)が増加します。
シングルモードファイバーは、チャンネルが1つしかないため、1つのモードの光しか送信できないファイバーケーブルであるのに対して、マルチモードファイバーは、複数のチャネルがあるため、入射した光が複数の伝播経路を取ることが出来るものになります。今回の、この実験では、Cailabsの技術が使われました。

プロパゲーション速度

プロパゲーション速度とは、車が走行するときの速度にたとえられます。つまり、情報が交換される速度の事です。
しかしながら、光回線の世界では可能な限りの最大速度、つまり光の速度に達しておりますので、これ以上の改善を簡単に望めるパラメーターではありません。

それでは、今回の実験で具体的に、どのような情報のコーディング方法や変調方式チャネル数を増加させる技術が使われたのか見てみましょう。

情報のコーディング方法や変調方式

電気通信の世界では、波形にデータを割り当てることで、情報を伝播させています。この波の振幅変調と位相変調を掛け合わせることで、一度に高速で情報を伝達します。

今回の実験で、KDDIは直交振幅変調にQAM変調を用いました。この技術により、下図に示すように、たとえば、最大64の異なるシンボルを64-QAM変調方式で符号化できます。

QAM.jpg

多重化によるチャネルの追加

多重化は、光の特性を使用して、独立した情報チャネルを作成することで構成されます。光の波長を例にとって考えてみましょう。
2つの特性の異なる波長が存在する場合、それぞれが独立して光ファイバーを伝播することが出来ます。

チャネル数をさらに増やすためには、空間の多重化が必要です。この多重化は、2つの方法によって実装することが出来ます。

まず最初の手法は、下記の図に示すように、マルチコアファイバーと呼ばれる複数のコアを持つファイバーを単純に構築することです。

今回の実験では、19のコアを持つファイバー使用しました。

Multi_Core.jpg

次の手法は、Cailabsが開発した手法で、光の形状を利用したものです。コアの直径が大きいファイバーは、そのサイズに応じてFew-modeファイバーやMultimodeファイバーと呼ばれています。このコアの直径が大きいファイバーは、いくつかの光の形状を伝播することが可能です。
これらの形状は空間モード(spatial modes)と呼ばれ(下記図参照)、お互いに独立して伝播し、独自の情報を伝達することが出来ます。このように複数の空間モードを用いることで、モード数に応じて伝送容量を増やすことが出来ます。

Spatial_mode.jpg

今回のこの実験では、これらのイノベーションを組み合わせることで10.16Pb/sと言う驚異的な速度を達成することが出来ました。

Total Speed.jpg

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