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光ファイバーケーブルの接続方法を徹底解説!融着・メカスプ・コネクタ接続の方法も紹介

光ファイバーケーブルの接続方法

光ファイバーケーブルの接続について悩んでいませんか?

この記事では、主要な3つの接続方法(融着接続、メカスプ接続、コネクタ接続)について解説。

図やイラストを多く使っており、パッと見て内容が分かる記事になっています。

最後まで読んで、ケーブル接続に関する幅広い知識を手に入れてください。

光ファイバーケーブル接続方法と、それぞれのメリット・デメリット

光ファイバーケーブルの3つの接続方法を、メリット・デメリットともに紹介します。


1. 融着接続

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光ファイバーケーブルの融着接続は、光ファイバーの端を高温で溶かし合わせて一体化する方法です。専用の融着接続機を使用し、光ファイバーのコアを正確に位置合わせしてからアーク放電で溶融します。この方法は、接続損失が非常に小さく、信頼性が高いため、長距離通信や高性能ネットワークで広く使用されています。


メリット

融着接続を行うメリットは以下の3つです。


  • 低損失:接続損失が非常に小さい
  • 安定性:長期間安定した性能を維持できる
  • 多心対応:多心ファイバーの一括接続が可能

融着接続は、ファイバーの端面同士を高温で溶かして一体化させる接続方法。光ファイバーのコア同士を直接繋げるため接続損失が非常に小さく、光信号の伝送効率が高いことが特徴です。


さらに、接続部が一体化するため、外部環境の影響を受けにくく、長期間安定した性能を維持できます。加えて、テープ心線など多心ファイバーの一括接続が可能であり、作業効率の高さも大きなメリットです。


デメリット

融着接続にはデメリットもあります。


  • 高コスト:初期投資にお金がかかる
  • 技術:作業には高度な技術と経験が必要

融着接続を行うためには、専用の融着接続機が必要です。融着接続機は高価であり、初期投資が大きくなります。


また、光ファイバーの端面処理や位置合わせに高度な技術と経験が必要であり、スキルを持った技術者でないと融着接続を行うことができません。


2. メカニカルスプライス接続(メカスプ接続)

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光ファイバーケーブルのメカスプ接続(メカニカルスプライス接続)は、専用の接続部品を使用して光ファイバーを物理的に突き合わせて固定する方法です。この方法は融着接続と異なり、電源を必要とせず、比較的短時間で作業が可能。高度な技術も必要ありません。


メリット

メカスプ接続には、2つのメリットがあります。


  • 簡便性:短時間での接続が可能
  • 低コスト:高価な機器を使用する必要がない

メカスプ接続には高度な技術が不要で、短時間で接続が可能です。融着機のような高価な機器を必要としないため、初期投資が少なく済みます。


デメリット

メカスプ接続のデメリットは以下の3つです。


  • 接続損失:融着接続と比べると接続損失が大きい
  • 安定性:接続後に不具合が発生する可能性が高い
  • 使用期間:長期的な使用には向かない

融着接続に比べて接続損失が大きくなる傾向があり、信号の品質に影響を与える可能性があります。また、接続後に不具合が発生する可能性が高く、長期間の使用には向きません。そのため、一度接続した後も頻繁なメンテナンスや再接続が必要になります。


3. コネクタ接続法

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光ファイバーケーブルのコネクタ接続は、専用のコネクタを使用して光ファイバーを接続する方法です。光ファイバーの端にコネクタを取り付けることで、ケーブルの着脱が簡単になります。コネクタの先端は自由に選択でき、機器に直接接続することも可能です。


メリット

コネクタ接続のメリットは以下の3点です。


  • 簡便性:光ファイバーの接続と切断が容易になる
  • 柔軟性:ネットワークの再構築が用意
  • 直接接続:中間アダプタが不要

コネクタにより光ファイバーの接続と切断が容易になります。また、機器間の接続変更が簡単で、ネットワークの再構成がしやすく、システムのアップグレードや拡張に適しています。機器への直接接続が可能で中間アダプタが不要なため、システムの複雑さと障害リスクが減少します。


デメリット

  • 接続損失:融着接続と比べて接続損失が大きい
  • 安定性:長期間の安定性に欠ける
  • メンテナンス:定期的なクリーニングが必要

融着接続と比べて接続損失が大きくなりがちで、信号品質に影響する可能性があります。また、接続部が物理的な影響を受けやすいため、長期的な安定性に欠けることがあります。


ほこりや指紋が付着しやすい特性があり、定期的なクリーニングが必要となります。これらの要因により、メンテナンスの頻度が高くなり、運用面での注意が求められます。


接続方法の選び方

接続方法を選ぶ際は、通信の種類と接続期間に着目してください。長距離通信や高性能ネットワークなら「融着接続」。短期的・簡易的な接続、もしくは予算が限られているなら「メカスプ接続」や「コネクタ接続」がおすすめです。


長距離通信や高性能ネットワーク

長距離通信や高性能ネットワークの構築では融着接続がおすすめです。融着接続は、光ファイバーの端を高温で溶かし合わせて一体化するため、接続損失が非常に小さく、光信号の伝送効率が高いです。これにより、長距離にわたって安定した通信が可能となります。また、多心ファイバーの一括接続が可能で作業効率が高いところもポイントです。


これらの特性から、特に高品質な通信が求められるデータセンターや通信インフラなどで、融着接続が広く採用されています。


短期的、簡易的、予算制約がある

短期間の接続や予算が限られている場合はメカスプ接続やコネクタ接続がおすすめです。メカスプ接続は電源を必要とせず、短時間で作業が完了します。コネクタ接続も工具を使って簡単に着脱できるため、特別な技術や訓練が不要です。


また、どちらも高価な融着機を必要としないため、コストを抑えることができます。


光ファイバーの接続損失が発生する4つの原因

光ファイバーケーブルの接続損失とは、光ファイバー同士を接続する際に発生する光信号の強度低下のことです。接続損失が大きいと、信号の品質が低下し、通信性能に悪影響を及ぼします。


光ファイバーケーブルの接続損失が発生する原因は、大きく分けて4つ。通信性能が悪くなったと感じたときは、以下の4点をチェックしてみてください。


1. 軸のずれ

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光ファイバー同士の光軸がずれると、接続損失が発生します。軸ずれが大きいほど、光が正しく伝送されず、損失が増加します。特にシングルモードファイバーでは、軸ずれの影響が顕著であり、精密な位置合わせが求められます。


2. 角度のずれ

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光ファイバーを接続する際に、光軸の角度がずれると接続損失が発生します。角度のずれは、光がコアから逸れてクラッドに漏れる原因となり、効率的な光伝送を妨げます。特に切断面の角度が不適切だと、融着接続時に問題を引き起こします。


3. すき間

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光ファイバー同士の先端がしっかりと突き合わない場合、すき間が生じて接続損失の原因となります。このすき間によって光が散乱し、伝送効率が低下します。メカニカルスプライス接続などで特に注意が必要です


4. 反射

光ファイバーの先端にすき間があると、光ファイバーと空気の屈折率の違いによって反射が起こり、接続損失が発生します。反射を防ぐためには端面を正確に整え、光コネクタ端面全体の清掃をすることが重要です。


光ファイバーケーブルの接続に必要な工具

光ファイバーケーブルの接続には、専用の工具が必要です。専用の工具を使わないと、接続損失が発生する確率が高まります。検討している接続方法に合わせて、必要な工具を用意しておきましょう。


光ファイバカッタ・光ファイバストリッパ

光ファイバカッタは、光ファイバーケーブルの心線を切断するための工具です。高精度な切断が求められるため、専用のカッターを使用します。


光ファイバストリッパは、光ファイバーケーブルの被覆を除去し、心線を露出させるための工具です。これにより、融着接続やメカニカルスプライス接続の準備が整います。


高精度光ファイバクリーバー

高精度光ファイバクリーバーは、光ファイバーの端面を正確に切断するための工具です。クリーバーは、ガラスファイバーを所定の寸法に切断し、接続不良を防ぐために重要な役割を果たします。特に融着接続時には、端面の品質が接続損失に大きく影響するため、高精度なクリーバーが必要です。


融着接続機(スプライサ)

融着接続機(スプライサ)は、光ファイバーの端面を高温で溶かし合わせて一体化するための機器です。電極棒から発生する放電熱を利用して、光ファイバー同士を溶融させます。この方法は、接続損失が非常に小さく、高い信頼性を持つため、長距離通信や高性能ネットワークで広く使用されています。


融着接続の方法

1: OTDRで光ファイバケーブルの損傷位置を確認する

OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)を使用して、光ファイバケーブルの損傷位置を特定します。OTDRはパルス状の光をケーブルに送信し、反射された光を検出して損傷箇所を特定します。具体的には、OTDRの測定モードを選択し、ケーブルの一端に接続して測定を開始します。結果として表示されるグラフから、損傷位置とその距離を確認できます。


2: ファイバ保護融着スリーブを挿入

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損傷箇所が特定されたら、修理する前にファイバ保護融着スリーブを挿入します。これは接続点での露出したファイバを保護するためです。スリーブは融着後では挿入できないため、この段階で必ず挿入してください。


3:光ファイバーストリッパーでファイバーケーブルの被膜を除去する

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光ファイバーストリッパーでファイバーケーブルの新鮮の被膜を除去し、新鮮の一部を取り出します。


4:光ファイバの清掃

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次に、高純度(99.5%以上)のエチルアルコールと糸くずの出ないワイプを使用して、光ファイバの心線を丁寧に清掃します。心線全周をアルコールで湿らせたワイプで拭き取り、汚れや油分を完全に除去します。これにより、接続不良のリスクが低減されます。


5:高精度光ファイバクリーバーでファイバケーブルを処理

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光ファイバークリーバーを使用して、光ファイバーの端面を正確に切断します。クリーバーはガラスファイバーを所定の寸法に切断し、安定して良好な端面角を得るために使用されます。切断後は端面が汚れないよう注意し、切断屑も散乱させないようにしてください。


6: 融着接続

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融着接続機(スプライサ)を使用して、光ファイバの端面を高温で溶かし合わせて一体化させます。まず、クリーニングした光ファイバの端面を融着接続機にセットし、機器の操作手順に従って融着作業を行ってください。放電によって心線が溶融し、一体化されます。


7:融着部補強

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最後に、融着部にファイバ保護スリーブを被せて加熱器上で心線補強を行います。加熱によってスリーブが収縮し、接続部が強固になります。この際、心線が曲がったり捻れたりしないよう注意が必要です。その後、再度OTDRで測定し、正常に動作していることを確認します。


メカスプ接続の方法

1:光ファイバーの準備

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光ファイバーケーブルの被覆を光ファイバストリッパを使用して慎重に除去します。心線が露出したら、高純度のエチルアルコールと糸くずの出ないワイプで心線を清掃し、汚れや油分を完全に取り除いてください。これにより、接続不良のリスクを低減できます。


2:メカニカルスプライス素子の準備

メカニカルスプライス素子を準備します。素子内部にはV溝があり、ここに光ファイバーを挿入します。素子中央部には屈折率整合剤が充填されており、これが光の反射を抑え、良好な接続値を得るために重要です


3:光ファイバーの挿入

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光ファイバーの端面を高精度光ファイバークリーバーで正確に切断します。次に、切断した光ファイバーをメカニカルスプライス素子のV溝に挿入。この際、光ファイバー同士がしっかりと突き当たるように注意してください。挿入後、押さえ部材で固定します


4:接続確認

接続が完了したら、接続部を確認します。光ファイバー同士が正確に突き当たっているか、すき間がないかをチェックしてください。また、OTDRなどの測定機器を使用して接続損失が許容範囲内であることも確認しましょう。


SCコネクタ接続の方法

1:ケーブルの準備

ケーブルを適切な長さにカットし、作業しやすいように整えます。


2:外皮ジャケットの除去

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ストリッパーを使用して、ケーブルの外皮ジャケットを慎重に除去します。心線が露出するまで剥がしますが、心線を傷つけないよう注意が必要です。


3:ケプラーの切断

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ケプラー(芯線を覆っている黄色い繊維)を切断します。これにより、ファイバの挿入が容易になります。


4:ファイバの挿入

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SCコネクタにファイバを挿入します。ファイバがしっかりとコネクタ内に収まっているか確認してください。


5:接着剤の使用

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瞬間接着剤を使用して、ファイバカバー部分に接着剤を塗布し、コネクタ内にファイバを固定します。


6:クリーバーでの傷つけと折り

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クリーバーを使ってファイバに傷を付け、傷をつけた箇所から折ります。


7:研磨

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研磨用紙を使用して、コネクタの先端から出ているファイバを研磨します。折った部分を綺麗に磨くことで、光信号の伝送効率が向上します。


8:固定

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メタルブーツを固定し、コネクタと外皮がずれないようにします。 23_Fiber _yu-chaku.jpg 最後にハウスジャケットとキャップをかぶせて完成です。


まとめ

いかがだったでしょうか?今回は光ファイバーケーブルの接続方法について解説させていただきました。それぞれの接続方法のメリット・デメリットを知っていただき、最適な接続方法を選ぶ際のお役に立てていれば幸いです。


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