ケイエルブイは、ハイパースペクトルカメラ・光学部品・光源など世界中の光学機器を取り扱う専門商社です。

03-3258-1238

お問い合わせ
KLV大学 レーザーコース

光変調器とは?変調方式や変調器の種類と用途に応じた変調器の選び方

光変調器とは主に光通信に用いられるデバイスで、光の強度や位相を変調することでレーザー光に情報を乗せることができます。

このページをご覧の方は、光変調器について

「光変調器についてそもそもよくわからない」
「光変調器の導入を検討しているがどのように選んだらよいかわからない」

という方も多いのではないでしょうか。

ここでは光変調器についての基礎知識や、用途に合った変調器の選び方などについて詳しく解説していきます。

また、弊社では各方式の光変調器を取り揃えております。
このページの情報を参考にしていただき、光変調器の導入をご検討される際の一助になれるかと思いますのでぜひご一読ください。

また、「そもそもレーザーってどんなもの?」ということが気になる方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。

光変調器とは

冒頭でもお話したように、光変調器とは光の強度や位相を変調することでレーザー光に情報を載せることができるデバイスで、光通信システムとして利用される送信機器に用いられます。

変調の種類

光通信の世界では、例えば半導体レーザーは電気によって直接的に光を変調することが可能です。
しかし、一般的な固体レーザーやガスレーザーは、半導体レーザーのように直接光を変調することができません。

そのため、固体レーザーやガスレーザーの光を変調するためには、光源の外部において光変調を行うための変調器が必要となります。

これがつまり光変調器(デバイス)と呼ばれており、広義では外部で変調を行うデバイス、外部変調器といいます。

光の変調方式

光の変調には、光の強度を変調する光強度変調器と、光の位相を変調する光位相変調器があります。

さらに前述のように光の変調は、

  • 直接変調ができるものがある
  • 外部変調器を使うものがある

ということがご理解いただけたかと思いますが、このような光の変調方式についてもう少し掘り下げていきます。

直接変調(内部変調)

直接変調は、半導体レーザーそのものの光信号を変調する方式です。
スイッチのON/OFFを細かく切り替えるイメージに近く、電流の制御によって文字通り直接電気信号に変調を加えます。

光ディスク装置やプラスチック光ファイバ通信では直接変調方式の半導体レーザーが利用されており、
外部変調器を用いる方式と比較してシンプルな構成で利用できコストも抑えられることが特徴です。

その反面、半導体レーザーそのものの応答速度がそれほど高いわけではなく、
さらにチャープ(光信号の歪みの一種。周波数が時間的に変動すること)が発生してしまうのが難点と言えるでしょう。

結果として、変調によってスペクトルが広くなり、光ファイバーの波長分散の影響を強く受けてしまいます。

直接変調は光ディスク装置やプラスチック光ファイバ通信には適しているものの、
高速かつ長距離の光通信には適さないと言えるでしょう。

直接変調の特徴をまとめると、

半導体レーザーのみ直接変調が可能

メリット

  • 低コスト
  • シンプルな構成で変調できる

デメリット

  • 応答速度が早くない
  • チャープが発生しロスが大きくなる
  • 変調できる振幅に限界がある
  • レーザーに負荷がかかる(高速でON OFFするため)

このように、直接変調は低コストかつシンプルな導入が可能である反面、できることは少ないので用途が限られます。
直接変調によって対応できない場合は、光変調器を用いた外部変調が用いられます。

外部変調

光変調器(光変調デバイス)をつかって、光の強度や位相を変調する方法を外部変調といいます。

前項でお話したように、レーザー光源によって直接変調することができない固体レーザーやガスレーザーにおいて、
外部の光変調デバイスをもちいることで光変調をすることが可能です。

光変調器には、搬送波の振幅の強弱を利用して情報を伝送する変調方式であるアナログ変調と、
搬送波を不連続に変調する変調方式であるデジタル変調(バイナリ)があります。

昔は外部変調器にはアナログ変調しかありませんでしたが、通信技術の進歩とともに徐々にデジタル(バイナリ)変調が増えてきました。

アナログ・デジタル変調器の中でも、これらのような外部変調は、変調器デバイスを利用する分、
変調方式としてはコストがかかってしまい・構成も複雑になるのが難点と言えるでしょう。

そのかわりに、外部変調は出力信号のチャープ(光信号の歪みの一種。周波数が時間的に変動すること)が小さく、
長距離通信に適した信号を発生させることが可能という点で優れています。

さらに、レーザー光源によって直接変調することが可能な半導体レーザーにおいても、
外部変調器を用いることにより数十ギガの超高速変調が可能になるという点も優れています。

つまり外部変調の特徴をまとめると、

固体レーザーやガスレーザーの光は外部変調器が必須
半導体レーザーでも外部変調器が使われる場合がある

メリット

  • 外部変調を用いることによりチャープが抑えられる
  • 外部変調を用いることで数十ギガの高速変調が可能
  • 変調できる振幅が大きくなる
  • レーザーに負荷がかかりにくい(CWで発振するため)

デメリット

  • 外部変調はコストがかかる
  • 構成が複雑になる

このことから、外部変調は長距離の光通信において適正があると言えるでしょう。

光変調器の種類と選び方

ここまで光の変調方式について解説させていただき、光源の外部に変調デバイスを設ける外部変調においては光変調器が用いられるとお話してきました。

その光変調器には、変調の仕方によっていくつかの種類があり、それぞれに特徴があるため用途に合わせて使い分けることが重要になります。

ここからは、光変調器の種類やそれぞれの特徴、用途や選び方について詳しくお話していきます。

光変調器の種類

光変調器には、主に以下の3つの種類があります。

  • 電気光学変調器:EOM
  • 音響光学変調器:AOM
  • 半導体光変調器:SOM

それぞれ解説していきます。

1.電気光学変調器:EOM

ニオブ酸リチウムによる電気光学効果を用いて、光ビームの強度(振幅)変調および位相変調、偏光状態を電気的に制御するのが電気光学変調器です。

電気光学変調器(EOM)主な特徴は、数十 GHz の及ぶ変調帯域幅です。

弊社で取り扱う代表的な電気光学変調器(EOM)であるシェーパーは、EOMを駆動するための5つのデバイスのうち、Vバイアス電子機器を除く4つのデバイスを搭載しているため、簡単にEOMを駆動することができます。

SHAPER

SHAPER

特殊な波形を生成可能なパルスジェネレータ搭載LD用電源です。

詳細はこちら

電気光学変調器(EOM)について、より詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください。

>>電気光学変調器(EOM)の原理やアプリケーション、利用方法について解説

2.音響光学変調器:AOM

電気光学変調器(EOM)がニオブ酸リチウムによる電気光学効果を利用して光を変調するのに対し、
音響光学変調器(AOM)は文字どおり音響(音波)の力を利用して光を変調します。

弊社で取り扱う代表的な音響光学変調器(AOM)であるシェーパーAeroDIODE は、約1µm〜1.5µm の良好な速度/挿入損失性能を備えたファイバー結合 AOMデバイスを提供します。

ファイバーカップルAOM

ファイバーカップルAOM(音響光学素子)

レーザービームの変調を行うための電子デバイスです。
AOMの内部にある結晶にRF(音響波)を入力することで、音響光学効果を発生させ、入力した光の周波数をシフトして出力することが可能です。

詳細はこちら

音響光学変調器(AOM)について、より詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください。

>>音響光学変調器(AOM)の原理やアプリケーション、利用方法について解説

3.半導体光変調器:SOM

半導体光変調器(SOM)とは、半導体光増幅器(SOA)をベースとした光変調器です。

ベースとなっている半導体光増幅器(SOA)はそもそも変調器ではなく増幅器ですが、
半導体光変調器(SOM)はCW駆動の半導体レーザーを入射し、スイッチのオン/オフで光を変調します。

ここで、弊社で取り扱う代表的な半導体光変調器(SOM)および半導体光増幅器(SOA)としてAeroDIODEをご紹介させていただきます。

超高速 ファイバー変調器 SOM Series

超高速 ファイバー変調器 SOM Series

このファイバー光変調器はオンボードのパルスジェネレーターによる内部トリガに加え、外部TTL信号をトリガとして精密パルスを発振する事が出来ます。

詳細はこちら

SOM光ファイバー変調器は、775 nmから1625 nmまで幅広い帯域で対応することが可能です。
電流・温度の制御回路と安全制限は、パルスモードで最高レベルの性能を確保するために事前設定および最適化されているため幅広く活用することができるでしょう。オープンフレームタイプのドライバもラインナップがございます。

ナノ秒変調SOAパルスドライバー(半導体光増幅器用電源)SOA

ナノ秒変調SOAパルスドライバー(半導体光増幅器用電源)SOA

本製品は、半導体光増幅器(SOA増幅器)をナノ秒で変調可能なパルスドライバーです。750nmから1700nmの波長範囲で高いダイナミックレンジのファイバー変調が可能で、低損失、高消光比、高偏光を実現します。

詳細はこちら
SOA(半導体光増幅器)

SOA(半導体光増幅器)

SOA(半導体増幅器)は、増幅器、可変光減衰器、無損失高ダイナミックレンジ振幅変調器、または分離スイッチとして使用できるデバイスです。

詳細はこちら

AeroDIODEのSOA(半導体光増幅器)は高出力、高消光比かつ高速で増幅器、可変光減衰器、無損失高ダイナミックレンジ振幅変調器、または分離スイッチとして使用できるデバイスです。

半導体光変調器(SOM)や半導体光増幅器(SOA)について、より詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください。

>>半導体光変調器(SOM)の原理やアプリケーション、利用方法について解説

それぞれの変調器の比較と選び方

ここまで、以下の3種類の変調器について解説してきました。

  • 電気光学変調器:EOM
  • 音響光学変調器:AOM
  • 半導体変調器:SOM

それぞれ異なった特徴やメリット・デメリットがありますので、以下の表にまとめます。

デバイス最大出力消光比変調帯域幅挿入損失統合の複雑さ光学的安定性
AOM
EOM
SOM/SOA
直接変調

「自社の用途では、いったいどのような性能や特徴を重視すべきか」という論点になると、実際の具体的な用途や環境・要件によって異なってきます。
そのような点で不明な場合は、一度お気軽に弊社にお問い合わせいただけますと幸いです。
貴社の状況に合わせて、最適な運用が可能な変調器をご紹介させていただきます。

お問い合わせはこちら

その他の光変調器

光変調器の種類は、ここまでご紹介した3種類だけではありません。
弊社での取り扱いはありませんが、その他の光変調についてもご紹介していきます。

電解吸収型変調器:EA

EA変調器は、電界吸収効果(Electro Absorption)を利用した光変調器です。
電界吸収効果とは、半導体の微細構造(量子井戸)に電界を加えることで、伝導体と荷電子帯のエネルギー準位差(バンドギャップ)が変化し、光の吸収量が変化する現象です。

他の光変調器と比較すると、装置構成が単純なため、小型化が容易な点が特長です。
しかし、チャーピングが除去できずに残ってしまうので、高速化には限界があります。

熱光学変調器

熱光学変調器は、その名の通り熱光学効果を利用した光変調器です。
熱光学効果とは、物質の屈折率が温度によって変化する効果のことで、その効果を利用することで光の方路を切り替えるスイッチを構成し光を変調します。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は光変調器について、変調方式や種類、選び方について解説させていただきました。

光変調は高度で複雑な技術であるため、デバイスを選定する上で考慮すべき点が多くあります。
ここで解説させていただいた基礎知識が、貴社のデバイス選定の一助になれば幸いです。

また、弊社では光通信に適した光変調器を各種取り揃えております。
ここにある情報だけでは選びきれないというかたは、ぜひお気軽に弊社までお問い合わせください。
お問い合わせはこちら