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工業、医療、通信、エンターテイメントなど、様々な用途で活用されているレーザー。 その中でもパルス発振動作をするパルスレーザーについて説明していきます。
このページをご覧の方には、パルスレーザーについて
「特徴や原理など詳しく教えてほしい」 「想定している用途で問題ないか確認したい」 「現在の加工法で解決できないので、新しい加工法の導入を検討している」 「他のレーザーとの違いを知りたい」
という方が多いのではないでしょうか?
そのような方に向けて、このページでは
パルスレーザーに関してより深い理解を得るための情報をまとめてありますので、ぜひ最後までお読みいただき、パルスレーザーについての知識を深めていただければ幸いです。
パルスレーザーとは、ある一定の繰り返し周波数で光を出力するレーザーのことです。パルスレーザーの 1回のレーザー照射時間をパルス幅と呼び、パルス幅の秒単位の違いからミリ秒レーザー〜フェムト秒(1000兆分の1秒)レーザーまで区分されています。
レーザー光とは誘導放出による光増幅放射を利用した指向性と収束性に優れた人工的な光のことです。
レーザーの発振動作には連続波発振動作 (CW) とパルス発振動作の2つがあり、それぞれCW レーザー、パルスレーザーと呼ばれます。 パルスレーザーは、一定の繰り返し周波数で光が出力されるレーザーで、パルス幅や出力などを最適化することが可能です。それに加え、ピーク強度が非常に高出力となっているため処理速度が向上し、少ない熱影響で微細加工やマーキングが可能です。
パルスレーザーは精密切断、溶接、機械加工に多く使われますが、医療分野で検査などでの活用も広がっています。
一方、CWレーザーはレーザー光が連続的に発射されるため、出力が安定しているのが特徴で、安定性が高く簡単に制御できるため、多くの産業分野で広く使用されています。
例えば、医療分野ではレーザー治療が行われており、レーザーが発生する光エネルギーを用いて手術や治療を行うことが可能です。また、製造分野でも金属や非金属材料の切断・溶接、機能性表面加工、精密加工など幅広く利用されています。
パルスレーザーにすることによって加工物への熱ダメージの少ない「非熱・非接触のレーザー加工」が可能になり、薄板の溶接など歪みやすい加工アプリケーションや、過熱によるバーニングが発生するリスクを抑えられるというメリットがあります。
パルス幅を短くしていくことで熱影響をさらに抑えることができ、バリやクラック、やけなどを低減した「高精度な微細加工」を施すことが可能です。
デメリットとしては条件出しに時間がかかることや量産にはあまり向いていないことが挙げられます。
ここでは前項で説明したパルスレーザーについて4つの発振方法とその構成を紹介していきます。
パルスを得るためには以下の4つの方法があります。
①直接変調法 種光源 (LD)の電流制御を直接ON/OFFすることでパルスを発生させます。波形制御が容易で光通信や穴あけ加工などに用いられています。 パルス幅はナノ秒(10億分の1秒)・ピコ秒(1兆分の1秒)程度です。 →LD電源についてはこちら
②外部変調法 CWレーザーの出力を外部変調器でON/OFFします。高出力の発信器に使用され、パルス幅は直接変調法と同じくナノ秒 ・ピコ秒程度です。 →外部変調器の音響光学変調器(AOM)についてはこちら →ファイバーカップルAOMについてはこちら
〜Qスイッチ法〜 Qスイッチ法とは、外部変調法の一種です。共振器の品質をQ値(Quality Factor)と呼びます。Qスイッチ法とは、このQ値を急激に変化させることでパルス光を得る方式です。 具体的には、共振器内に回転プリズムや可飽和吸収体などの素子を設置することでQ値を低くして発振を抑え、反転分布が大きくなったタイミングでQ値を一気に高くします。非常に大きなピークパワーを持つパルスを発生させることが可能で、パルス幅はマイクロ秒(100万分の1秒)・ナノ秒程度です。
③モード同期法(モードロック法) 共振器内に存在する多数の縦モードの位相関係を一定に保つ(モード同期)技術です。 各縦モードの位相がそろったところで干渉が生じて光が強くなるため優先的に増幅されてパルスが発生します。このパルスが共振器を1周するごとに共振器の外に出ることにより、パルス列を得ることができます。他の方法と比較して最も短いパルス幅を発生させることが可能で、パルス幅はピコ秒・フェムト秒になります。 位相が合った強い光を抜き出す方法としては、
①SAM(可飽和吸収ミラー)等の可飽和吸収体を使った方法 ②Kerr効果とスリットを用いたKerrレンズモード同期
の2つが代表的です。
まとめると、4つの発振法で発生するパルス幅については下記のようになります。
超短パルスレーザーはパルスレーザーの中でもパルス幅がピコ秒~フェムト秒のレーザーを指します。極めて短時間にパルスが発生し、電気信号では到達できない領域であるため、高速な化学反応過程や分子運動の過程を計測することができます。また、極めて短い時間にパルスが発生することで対象物の熱損傷の軽減が可能です。
超短パルスレーザーは「熱による損傷が少ない」といった特徴から、繊細加工や美容・医療などの用途に向いています。また、材質がセラミック、ガラス、シリコン、フィルムといった脆性材料に対しても高品位な仕上がりを実現します。
光のエネルギーが吸収され熱に変換される時間は約10ピコ秒と言われており、超短パルスレーザー加工ではそれよりも短いパルス幅を使用するため熱影響が出にくく、高品位な仕上がりになります。そのことにより、バリやクラック、やけなどを低減した超精密な加工を施すことが可能です。
画像の出典:応用物理学会『レーザー加工の物理 ―光パルス幅と加工―』
ピコ秒レーザーやフェムト秒レーザーなどの超短パルスレーザーは、出力を大きく取れることから他のレーザーでは加工が難しいあらゆる材料を加工することが可能です。
代表的なものとしてはSiC(炭化シリコン)やGaN(窒化ガリウム)などのワイドバンドギャップ材料があげられます。
ワイドバンドギャップ材料の加工にはより大きなエネルギーが必要であり、超短パルスレーザーは高出力のレーザーであるため、このように加工が難しいとされる材料も加工することが可能です。
美容用としてシミ、そばかす、くすみ、ニキビ跡などをなくすのに超短パルスレーザーが用いられています。超短パルスレーザーは従来のレーザーに比べ非常に短いパルス幅の照射が出来るため、熱による肌への負担がほとんどなく衝撃波でメラニンを粉砕することができ、皮膚の奥深くまでしっかりとレーザーを届けることが可能です。
パルスレーザーは一定のパルス幅で出力されるレーザーであり、CWレーザーにないパルスレーザーのメリットやデメリット、パルスレーザーの原理などを解説しました。
また、パルス幅をピコ秒~フェムト秒まで短くしていくことで超短パルスレーザーと呼ばれ、微細加工や美容、理化学用途など幅広い用途で利用されています。
パルスレーザーに関してご不明点やご要望などありましたら、お問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。
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