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ハイパースペクトルカメラ HySpex Classic用途例

爆発物の検出

爆発物の検出

軍事射撃場での残留爆薬の分類と検出

軍事射撃場に残留する爆薬は、その毒性により深刻な環境汚染と健康リスクを引き起こす要因となります。爆薬の粒子は通常は様々なサイズで広範囲に不均一に分布しているため、リスク評価と除去を行うためには正確な分布を把握し、汚染の高い地域を特定することが不可欠です。
しかし、従来の方法では広大な範囲から多数のサンプルを収集し分析する必要があり、時間と費用がかかるだけでなく、作業者の安全性も懸念されます。

ハイパースペクトルカメラ HySpex Classic製品詳細

ハイパースペクトルカメラを用いた爆薬の検出

この課題に対し、高い空間分解能とスペクトル分解能で広範囲を迅速にスキャンすることができるハイパースペクトルカメラは、作業時間と費用を大幅に削減し、革新的なソリューションを提供することができます。

このアプリケーションノートでは、ハイパースペクトルイメージングを用いて様々な種類の爆発物を検出し、土壌や草地といった自然の背景から分離する方法を紹介します。

粉末状の爆薬サンプル

この研究では、さまざまな種類の粉末状のサンプルがテストされました。粉末状の純粋な爆薬と、いくつかの成分を含む混合爆薬の両方を測定対象としています。これらのサンプルを黒いプラスチックカップに入れ、草や土が敷かれたトレイの上に設置しました。
使用されたサンプルの種類は、画像に示されたサンプルと同じ順序で下の表に記載されています。

粉末状の爆薬測定サンプル

Grey reference
HMX pure HMX based explosive
RDX pure TNT and RDX mix in vax
PETN pure Unknown found in field 1
TNT pure TNT melted found in field
Tetryl pure Unknown found in field 2
Gunpowder
Gunpowder

ハイパースペクトルカメラ HySpex Classicを用いた研究室での測定方法

サンプルは研究室で測定されました。
NEO社のハイパースペクトルカメラ「HySpex Classic SWIR 320m-e」、走査ステージ、ハロゲンランプを用いて[2]、土、草、サンプルを含むトレイ全体をスキャンしました。

「HySpex Classic SWIR 320m-e」は、測定波長範囲970~2500 nm、256スペクトルバンド、6.3 nmの分解能を持つ近赤外のハイパースペクトルカメラです。今回の測定構成では、0.92 mmの空間分解能でFOV = 30 cmをカバーするクローズアップレンズを使用しました。

  • ハイパースペクトルカメラ:HySpex Classic SWIR 320m-e
    • 測定波長範囲:970~2500 nm
    • スペクトルバンド数:256
    • スペクトル分解能:6.3 nm
  • クローズアップレンズ
  • 走査ステージ
  • ハロゲンランプ
ハイパースペクトルカメラを用いた粉末状の爆薬サンプルの測定

HySpex Classic SWIR 320m-eを用いた測定システム

爆薬粒子の高精度検出におけるハイパースペクトルカメラ HySpexシリーズの優位性

  • 低キーストン効果
  • 低スマイル効果

本研究で対象とする汚染物質は、微量であっても健康リスクを引き起こす可能性があるため、撮像シーン内の微小な物体を正確に識別できることが極めて重要です。
ハイパースペクトルカメラHySpexシリーズの特長である低キーストン効果により、1ピクセルの物体の検出であっても正確に分類することができます。
さらに、低いスマイル効果[3]であることにより、視野全体にわたって詳細なスペクトル特性を一貫して正確に識別することが可能です。これにより、爆薬の種類ごとに異なるスペクトルパターンを正確に捉え、より精密な識別と分類が可能となります。

(キーストン、スマイル効果についてはこちらをご覧ください。)

粉末状の爆薬サンプルのスペクトル特性

異常検出(Anomaly Detection):背景からのスペクトル逸脱によるターゲット識別

本研究では、データ処理に異常検出(Anomaly Detection)という統計的分析手法を採用しました。この手法は、事前に定義された背景の主要なスペクトル特性から逸脱しているスペクトル特性を探索するものです。

ハイパースペクトルデータによる粉末状爆薬の異常検出

処理結果として得られるのは、画像内の各ピクセルが背景の一部である確率を示す、グレースケールの画像です。この画像において、明るい色の部分はその確率が低い、つまり背景とは異なる特性を持つ可能性が高いことを示唆します。

ハイパースペクトルイメージングの活用

この実験結果は、ハイパースペクトルイメージングが軍事射撃場における爆薬汚染のマッピングを効率的に行うための強力なツールとなる可能性を示しています。

非破壊・非接触での測定が可能なハイパースペクトルカメラをドローンや車両に搭載することで、広大な対象領域を迅速にスキャンし、汚染分布を可視化することが期待されます。

ハイパースペクトルカメラのフィールド測定

高い空間分解能とスペクトル分解能の性能を有するHySpexシリーズは、爆薬物の検出や異常検出のような人体への健康リスクや危険を伴うようなアプリケーションにおいて、正確に識別できることは大きなメリットをもたらします。


ご紹介した研究レポートは、ノルウェー国防研究機構(the Norwegian Defence Research Establishment [1])の研究報告書から、著者の許可を得て引用されたものとなります。
HySpex Use case application notes:Detection of explosives)

[1] Lie, L.A., Skauli, T., Karsrud, T. E. and Parmer, M. P.: “Deteksjon av eksplosivrester i felt ved hjelp av hyperspektral avbildning.” FFI-rapport 2009/01426, Norwegian Defence Research Establishment (FFI). November 20, 2009.

[2] Several newer SWIR camera models with improved specifications are also available from HySpex.

[3] Spatial and spectral misregistration. Visit hyspex.com for technical information on high-end hyperspectral cameras.

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