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ハイパースペクトルカメラ HySpex Classic用途例

文化財の分析調査

文化財の分析調査

文化財の保護の現状と課題

文化財など歴史的な建造物は、屋外で数十年さらされることにより、風化や湿気の侵入により表面のデザインが損失してしまう場合があります。

文化財を保護する上で、文化財の材質、構造、劣化状態を調べることは重要で、調査にはハイパースペクトルカメラが最適です。

ハイパースペクトルカメラは「無数の波長を撮影できるカメラ」です。数百にも及ぶ光の波長情報(分光スペクトル)からは、見た目ではわからない材料の違いをデータとして提供します。 そのため、非破壊・非接触で傷つけることなく検査ができること、現地に運び込み測定が可能という利点があります。

ハイパースペクトルカメラ HySpex Classic製品詳細

ハイパースペクトルカメラ HySpex ClassicとMjolnir seriesのによる記念碑の検査

VNIR領域(400-1000nm)の波長を測定するHySpex ClassicとSWIR領域(970-2,500nm)の波長を測定するHySpex Mjolnir(ミュルニル)をつかって測定を行いました。今回は、電動移動ステージを使って、回転させながら、HySpex Classicは3.3nm、HySpex Mjolnir(ミュルニル)は5.5nm毎にサンプリングをおこなっています。 撮影時は5つの建設用のスポットライトで5m離れた位置から照らしています。

文化遺産測定方法

文化遺産測定方法

建材でいうと石膏は1,751nm、2,200nm、2,270nmの波長で診断しやすい特性をしています。漆喰の炭酸塩成分に加えて石膏、骨材、接着剤が混ざっているため、元の漆喰だけのものとスペクトラムが異なります。炭酸塩の吸収特性はより広いスペクトル範囲2,200nm~2,400nmで計算されます。


文化遺産ハイパースペクトル画像

文化遺産ハイパースペクトル画像

スタッコ(化粧漆喰)のスペクトルで確認すると、碑文版の上部の元からある装飾と碑文版の側面にある蔓の装飾を比較して組成が違うことが分かります。また、下部の墓の基部になる部分について、彫刻されていた部分は大きく劣化や浸食していることが分かります。

石膏の吸収特性をみると、碑文版の側面にある蔓の装飾を除いて、色変化がないことが分かります。頂部にある天使、砂時計、頭蓋骨のモニュメントはスタッコ(化粧漆喰)の混合物の違いにより色が異なります。

ハイパースペクトルイメージングの活用

このケーススタディーでは、ハイパースペクトル画像を使って、非破壊・非接触で文化財の材質の識別ができることを示しています。

歴史的な文化財の保護をするうえで、非破壊で材質を検査できることが可能なことが重要です。また、材料の違いが分かることで、作成当初のオリジナルな状態か、既に補修を行った状態かを判別でき、劣化を抑える手段を考案できるといった新たな知見へとつながります。

 

References:

1. Köllner, N., Mielke, C., Körting, F., Laue, S., Hildebrand, C., Kästner, F., Altenberger, U., Abbildende Spektroskopie im Nahbereich – innovative Methoden im Bereich der Denkmalpflege am Beispiel des „barocken Erbbegräbnisses“ in der St.-Marienkirche, Frankfurt (Oder), Brandenburg. In: Brandenburgisches Landesamt für Denkmalpflege und Archäologisches Landesmuseum, Thomas Drachenberg (Hg.), Bildgebende Verfahren – Trends und Fallbeispiele zur zerstörungsfreien Untersuchung und Erhaltung von Kulturerbe, Beiträge des 14. Konservierungswissenschaftlichen Kolloquiums in Berlin/Brandenburg am 12. November 2021 im Otto-Braun-Saalder Staatsbibliothek zu Berlin – Preußischer Kulturbesitz, Arbeitsheft des Brandenburgischen Landesamtes für Denkmalpflege und Archäologischen Landesmuseums, Nr. 61, 2021, in Druck.

2. Klemm, B., 1989: Dokumentation, Konservierung und Restaurierung einer barocken Epitaphanlage an der östlichen Stirnwand des Südturms in der St. Marienkirche in Frankfurt (Oder). Unveröffentlichter Untersuchungsbericht, Brandenburgisches Landesamt für Denkmalpflege und Archäologische Landesmuseum

3. Böwe, L., 2019: Barockes Erbbegräbnis in der St. Marienkirche Frankfurt (Oder) – Restauratorische Erstbegutachtung. Unveröffentlichter Untersuchungsbericht, Brandenburgisches Landesamt für Denkmalpflege und Archäologisches Landesmuseum.


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