ハイパースペクトル技術を用いた品質管理
ハイパースペクトルイメージングは、カカオ豆の品質をリアルタイムかつ高精度に評価・管理できる技術です。カットテストのように豆を切る必要がない非破壊検査で、経済的なソリューションです。工場規模での導入にも適しています。
ハイパースペクトルカメラ HySpex Classic製品詳細03-3258-1238
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カカオ豆の品質を見極めるハイパースペクトル技術ハイパースペクトルイメージングは、カカオ豆の品質をリアルタイムかつ高精度に評価・管理できる技術です。カットテストのように豆を切る必要がない非破壊検査で、経済的なソリューションです。工場規模での導入にも適しています。
ハイパースペクトルカメラ HySpex Classic製品詳細プレミアムチョコレートには、厳選されたカカオ豆が必要です。奥深い味わいや香りを与えるには、さまざまな種類のカカオ豆をバランスよくブレンドすることが欠かせません。
しかし、発酵・乾燥・保管といった工程での管理が不適切な場合、豆の品質が大きく損なわれてしまいます。たとえば、発酵不足や過剰発酵、不十分な乾燥、不適切な保存などが原因で、内部にカビが生えたり、虫害を受けたりすることがあります。
その結果、燻したようなにおいや風味、強い苦味や渋みの原因となり、チョコレート全体の品質を損なってしまいます。
図1:ランダムに選んだカカオ豆(未加工の種子)のRGB画像
現在、カカオ豆の品質評価には破壊的でコストが高く、手間のかかる方法が主流となっています。なかでも「カットテスト」は国際的に認められた標準的な手法であり、市場でもっとも広く用いられています。
このカットテストでは、豆を半分に切って中の子葉(胚乳)を見えるようにし、スレート豆(灰色変色豆)や白豆、カビ、発芽、発酵の過不足などを専門家が目視で判定します。ただし、この作業は見た目が非常に似ている豆も多く、正確な判定には専門的な知識と経験が求められます(図2参照)。
また、テストはバッチ全体からごく一部をランダムに抜き取って行われるため、「すべての豆が同じ品質である」という前提に基づいています。しかし実際には、品質にはばらつきがあることが多く、検査されるのは全体のわずか0.03%程度に過ぎません。それにもかかわらず、この結果だけでバッチ全体の等級や取引価格が決められてしまうのが現状です。
a)良品豆 b)発酵不足豆 c)スレート豆(灰色変色豆) d)過剰発酵豆 e)発芽豆 f)カビ豆 g)白豆
カカオ豆のハイパースペクトル画像は、970〜2500nmの波長範囲をカバーするHySpex Classic SWIRカメラを使用して取得されました。空間分解能は250µm、スペクトル分解能は5.45nmです。照明には広帯域ハロゲンランプを用い、カメラの真下に設置された移動ステージでサンプルをスキャンしました。このシステムは、コンベアベルト方式やその他の大規模な産業用途にも拡張可能です。
取得した画像は、Prediktera社のBreezeソフトウェアを用いて解析されました。Breezeの高度な機械学習機能により、多クラス分類モデル(最大エントロピー法)が構築され、カカオ豆は「良品」「未発酵」「スレート豆(灰色変色豆)」「その他低品質豆」に分類されました。分類結果は、カットテストによる専門家の目視検査で検証されています。
解析結果は図3に示されており、独立したテストデータに対する分類モデルの性能は図4に示されています。
・緑:良品 ・青:未発酵豆 ・黄色: スレート豆 ・ピンク:その他低品質豆
・緑:良品 ・青:未発酵豆 ・黄色: スレート豆 ・ピンク:その他低品質豆
特に重要な3つの分類(良品・未発酵豆・スレート豆)においては、カカオ豆を切らずにハイパースペクトルデータと機械学習解析を用いることで、約80%の分類精度を達成できます。これは、現場で多数のサンプルを迅速に評価できる大きな利点であり、カカオ豆のバッチ全体への適用も期待されます。
ハイパースペクトル技術は、自動検査ラインに組み込むことも可能で、リアルタイムでの選別や価格評価に活用できます。構築された分類モデルは、発芽・過発酵・カビ・白豆といった他の欠陥も識別できるため、より幅広い品質評価が実現します。
このソリューションを活用することで、従来のカットテスト(数トンのバッチから少量を抽出)に比べ、全体の品質をより正確に把握できます。すべての豆を対象とした分析により、信頼性の高い評価が可能になります。
HySpexとPredikteraは、カカオ生産者およびチョコレート製造業者の競争力を高めるための全自動ターンキーソリューションを提供しています。
カカオ豆の品質をより的確に把握しませんか?
スペクトル分解能、空間分解能が高いハイパースペクトルカメラ。 可視~近赤外の幅広い波長範囲に対応。撮影条件に応じた豊富なアクセサリーも用意。
製品ページソフトウェアBreezeは、ハイパースペクトルカメラで撮影した対象物のスペクトルデータをリアルタイムに収集、分析します。スペクトルイメージに対する複雑な多変量解析を「プログラミングなし」で実行可能で、直感的な操作でデータ解析からモデル構築まで行うことが可能です。
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