スペクトル解析・組み込みソフトウェア Breeze
高度なスペクトル解析をプログラム不要で簡単に現場に適用
Breezeは、スペクトルカメラで取得したスペクトルイメージに対する複雑な多変量解析を「プログラミングなし」で実行することが可能です。
複雑なプログラミングの知識がなくても、直感的な操作でデータ解析からモデル構築までを行えます。
さらに、Breeze Runtimeを組み合わせることで、Breezeで作成したスペクトル解析レシピを「現場でのリアルタイム解析」に適用することが可能です。
ケイエルブイが取り扱っている多数のスペクトルカメラとの連携実績も豊富で、スペクトルカメラの現場導入を検討される方に最適なソフトウェアです。
製品の特徴
特長1豊富なスペクトル解析機能で分類や定量化を実現
課題
スペクトル解析には様々なアプローチがあり、目的を達成するためにはその中から適切な解析手法を選択する必要があります。
Breezeなら
Breezeは、高度で豊富なスペクトル解析機能を備え、ユーザーの「統計解析」や「機械学習」などの多様な解析ニーズに応えることができます。
Breezeのコアとなる、①前処理機能、②多変量解析機能、③機械学習機能をご紹介します。
①多彩で強力なスペクトル前処理機能
Breezeには、測定データから特徴を抽出しスペクトル解析を行いやすいデータを抽出するための前処理機能が搭載されています。
以下のような豊富な機能により、測定時のノイズやばらつきを低減し、スペクトルデータの精度を最大限に向上させることができます。
前処理機能 |
概要・用途 |
正規化 |
スペクトルのばらつきを統一し、測定条件やサンプルサイズの違いを補正 |
スムージング |
平滑化により、ノイズを低減し、ピークを明確化 |
ベースライン補正 |
背景信号の歪みを補正し、重要なピークを強調 |
ドリフト補正 |
時間や環境変動による測定値の変動を補正し、安定性を向上 |
微分処理 |
一次・二次微分を用いてピークや特徴を強調し、ベースラインの影響を低減 |
スケーリング |
データのバランスを調整し、モデル解析で重要な変数を均等化 |
ノイズ除去 |
周波数領域のノイズを除去し、信号対雑音比を改善 |
吸収補正 |
光路長や濃度に依存する吸収データを補正し、測定条件の異なるデータの一貫性向上 |
データ間引き |
スペクトル解像度を調整し、必要な情報を保持しながら処理負荷を軽減 |
多変量散乱補正 |
スペクトルの散乱や変動を軽減し、背景効果を最小化 |
標準正規変換 |
サンプル間の光学的ばらつきを抑制し、粉末や粒状サンプルの解析精度を向上 |
波長選択 |
解析対象の波長範囲を選択し、不要な波長を除外することでモデルの精度を向上 |
②どんな分析にも対応する多変量解析
多変量解析は、複雑なスペクトルデータから隠れた関係性や重要なパターンを解析するために有効な手法です。
Breezeは、以下のような解析機能により、スペクトルデータから、複数の変数の因果関係や特徴を抽出し、分類、回帰、クラスター解析などをとおして、分類・定量化を実現します。
多変量解析機能 |
概要・用途 |
主成分分析(PCA) |
データの次元削減を行い、データから主要な特長を抽出。複雑なスペクトルデータを簡素化し、パターンやトレンドを視覚的に把握できるように解析 |
部分最小二乗回帰(PLS) |
独多次元データから主成分を抽出し、回帰分析を行うことで高精度な定量化を実現。濃度予測や品質管理に活用可能。 |
PLS判別分析(PLS-DA) |
ラベル付きデータを用いた分類。製品の分類や異物検出など、高い精度でデータを解釈可能 |
階層型PLS-DA |
複雑なデータを階層的に分類し、段階的な分析が可能。より細かいクラス分類に対応可能。 |
K-means クラスタリング |
データの自動グループ化により、隠れたパターンを発見。ラベル付けの難しいデータセットや未知のサンプルに対するグループ特定に有用。 |
SIMCA |
クラスごとのモデル構築により、高精度な分類を実現。品質検査や製品評価での誤分類を最小限に抑えたい時に使用。 |
Breezeのスペクトル解析結果の可視化機能
Breezeは、スペクトル解析結果をよりわかりやすく確認するために多彩な可視化機能も提供します。
例えば、散布図において、画像の選択した箇所が、データプロット(散布図)のどこに位置するのかを簡単に確認することができます。
これによりユーザーは、データポイントの分布やクラスターを視覚的にとらえ、モデルを適切に理解し、改善することが可能です。
③機械学習で、スペクトル解析の知識がなくても分類・定量化を実現
機械学習によるスペクトル解析は、知識がなくても、大量の複雑なデータから自動的に有益な情報を抽出し、高精度な分類や予測を可能にする新しい手法です。
Breezeの機械学習アプローチでは、非線形データの処理や多次元データの処理などによる分類、異物検出、成分定量化などを実現します。
手法 |
概要・用途 |
ニューラルネットワーク |
非線形データや複雑なパターンを解析し、スペクトルデータから異物検出や複雑な分類が可能 |
決定木 |
データを分岐に基づいて分類するシンプルな手法で、素材や成分の識別が可能 |
サポートベクターマシン |
次元圧縮をせず、高次元データで分類や回帰を行い分類や特徴選択を実現 |
ランダムフォレスト |
複数の決定木を組み合わせて高精度化 |
ロジスティック回帰 |
確率に基づいた分類を行う線形モデル。スペクトルデータを用いた二値分類が可能 |
特長2充実の画像処理機能
課題
スペクトルカメラを現場で使用する際には、スペクトル解析だけではなく、対象のオブジェクトを検出したり、検出したオプジェクトにスペクトル解析以外の処理をする必要があります。
Breezeなら
Breezeは、スペクトル解析を活用したオブジェクト検出、検出したオブジェクトに対する追加処理など、スペクトル解析だけにとどまらない、現場での分類や異物検出に必要な画像処理機能を備えています。
①背景を削除し、解析対象のみを抽出
スペクトルイメージング解析では、解析対象外の背景を除外することで、解析対象を絞り込み、不要なデータの影響を排除して解析の精度を向上させることができます。
Breezeでは、直感的な操作で、自動て対象物を検出し、その対象に対して分類などのモデルを適用することができます。
解析対象の各ピクセルに対応する散布図の座標を確認し、対象以外の領域に存在するのピクセルを背景として抽出して削除することが可能です。
背景を削除する際に、解析対象と背景の判断の閾値(散布図のどの領域を背景とするかの条件)の選定が難しいですが、Breezeは、画像内の選択されるピクセルを確認しながら閾値を変更できます。
また、小さい埃や汚れなどを除外するために抽出オブジェクトの最小サイズも設定なども可能です。
②抽出したオブジェクトに対する画像情報を抽出
BreezeのObject Properties Details機能は、解析対象のオブジェクトに対しての詳細な情報を出力します。出力対象には、サイズ、面積、周囲長、角度などの測定が含まれ、スペクトル解析結果と合わせて出力することで、素材や物質の特定や評価をサポートします。
特長3ノーコードで簡単操作
課題
現場でスペクトル解析を導入する際、通常はプログラムを構築する必要があり、高額な初期費用や追加機能の開発、メンテナンスに時間とコストがかかることがあります。
Breezeなら
Breezeは、プログラミングの知識がなくても直感的な操作でスペクトル解析を含む一連の処理を簡単に実現できます。
これにより、導入コストや運用負担を大幅に削減と、迅速な実装を実現します。
①用意されたDescriptorsを繋げて一連の処理が可能
Breezeには、Descriptorsという様々な演算機能を持ったBOXが用意されており、これらのBOXを繋げることで、データインポート、複雑なスペクトル解析や、画像処理をプログラム、結果のエクスポートまでの全プロセスをプログラムの知識なしで、実現するすることが可能です。
各BOXには、その処理に必要な設定なパラメター値が用意されており、それらのパラメータを変更することで処理の内容をコントロールすることができます。
搭載されている多彩なDescriptors
カテゴリ |
Descriptor |
概要・用途 |
形状関連 |
サイズ |
オブジェクトの寸法を測定し、分類や品質評価に利用。 |
面積 |
表面積を算出し、定量化に役立てる。 |
形状特性 |
円形度、長方形比など形状に関連する特性を分析可能。 |
スペクトル関連 |
スペクトル特性 |
特定波長のスペクトル情報を抽出し、物理・化学的特性を評価。 |
位置関連 |
位置 |
画像内でのオブジェクトの空間的な位置を提供。 |
周囲の背景情報 |
背景とのコントラストや相互作用を分析し、解析精度を向上。 |
体積関連 |
ボリューム |
オブジェクトの容積を計算し、立体的な特徴を評価。 |
特長4簡単にカメラと連携・様々なスペクトルフォーマットに対応
課題
スペクトルカメラを現場に導入する際、カメラの設定変更や画像取得を行うには、通常、SDKを活用したプログラム連携の専門知識が必要です。
Breezeなら
Breezeは、主要なハイパースペクトルカメラベンダーと協力することで、連携を簡単に行える機能を提供しています。
これにより、複雑な設定や追加のインストール作業を必要とせず、直感的にカメラの設定変更や画像取得を実現できます。
スペクトルカメラを選択するだけで連携
Breezeは様々なスペクトルカメラからリアルタイムで画像やデータを直接取り込むことができます。
Breezeは各社のSDKを取り込んであるので、カメラを選択するだけで、ツール上で、フォーカス・積分時間などカメラの設定をツールから簡単に実行することができます。
ケイエルブイ取扱スペクトルカメラとの連携が豊富
- HySpex: 高精度な計測を得意とするハイエンドなスペクトルカメラシリーズ、Breezeとの連携事例も豊富
- Resonon: コンパクトかつ高性能なスペクトルカメラ。
- HAIP: 高精度なハイパースペクトルカメラで、農業、食品、医薬品などの用途に最適。
- Imec: CMOSベースでナノフォトニクス技術を活用したスペクトルカメラ。
スペクトルカメラ以外にも、USBやEthernetを利用して分光計や近赤外センサーなどの外部デバイスを接続することも可能です。
様々なスペクトルデータのデータフォーマットをサポート
スペクトルデータには、ENVIなどの汎用的なスペクトルデータフォーマットから、HySpexやMatlabなど特定の装置やツールに特化した独自フォーマットまで、幅広い形式が存在しています。
Breezeは、これらのフォーマットに柔軟に対応しているので、ユーザーが変換を意識することなくスムーズにデータをインポートして解析を開始することが可能です。
Breezeの対応フォーマット
File Format |
Extensions |
Breeze XML File |
xml |
ENVI Files |
bil, bip, bsq, raw, img, bin, dat |
HySpex |
hyspex |
Matlab Files |
mat |
HDF Files |
h5, hdf |
Image Files |
jpg, jpeg, wbmp, png, bmp, pbm, pgm, ppm, pcx, tif, tiff, gif, jp2 |
SAC File |
sac |
HIPS File |
hips |
Telops File |
sc |
PAM Files |
pam, pgm, ppm, pnm |
特長5現場でリアルタイム解析
課題
スペクトル解析モデルの現場適用には、プログラムへの統合や設定の複雑さによる導入時間の増加や運用コストの増大を招くリスクがあります。
Breezeなら
Breezeで作成したモデルは、現場適用に特化したBreeze Runtimeを活用することが可能なため、現場への迅速な適用が可能です。
BrreezeRuntimeでBreezeで作成したモデルを現場に適用
Breeze Runtimeは、ハイパースペクトル画像解析モデルをシステムに導入するためのツールです。
リアルタイムでスキャン中の素材のオブジェクト識別、分類、定量化を実現します。
現場でのBreeze Runtimeの活用事例
ノルウェーのシーフード生産企業であるLerøy社は、”品質保証”や”等級分け”が手作業で行われており、多大な時間やコストがかかっていました。
HySpexのVNIRハイパースペクトルカメラとBreeze Runtime を用いて、魚の種類、品質などをスペクトル解析を行うことで、顧客に高品質な製品を低コストで実現しています。
製品情報
仕様
システム要件
要件 |
詳細 |
オペレーティングシステム |
Windows 10 またはそれ以降のバージョン |
プロセッサ |
マルチコアプロセッサ(推奨: 高性能CPU) |
メモリ |
最低16GB(推奨: 32GB以上) |
ストレージ |
十分な空き容量(推奨: SSD搭載PC) |
GPU |
CUDA対応GPU(推奨: NVIDIA製) |
ディスプレイ |
フルHD以上の解像度を推奨 |
アプリケーション
デモ事例
農業
動画精密農業
動画穀物の品質管理
動画チーズの製造プロセスにおける品質管理
PDF資料ダウンロード
ハイパースペクトルデータ解析用ソフトウェア breeze
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