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ハイパースペクトルカメラ HySpex Baldur用途例

アスベストの検出

アスベストの検出

解体廃棄物の分類

アスベストを含有する解体廃棄物

古い建物の解体作業や改修を行う時、解体する建物や解体後の廃棄物にアスベストが含有されているかを確認しなければなりません。アスベスト繊維を吸い込むと、アスベスト症や肺癌など、人体に深刻な障害を引き起こす可能性があるため、アスベストを含有する解体廃棄物を処理するには、アスベストの曝露リスクを低減し、非接触で高速かつ信頼性の高いシステムで検知することが求められます。

ハイパースペクトルカメラ HySpex Baldur製品詳細

ケーススタディー

このケーススタディーでは、SWIR領域の波長範囲を測定できるハイパースペクトルカメラにより取得したサンプルの分光情報を利用し、建物や構造物の解体廃棄物の中に含まれるアスベストの検出と、その他の物質とを識別する方法についてご紹介いたします。

ハイパースぺクトルカメラによる解体廃棄物の測定

建築・解体廃棄物のサンプル

解体・改修廃棄物を含むサンプルセット
(Set1~Set5)

アスベスト
未知の解体・改修廃棄物(混合物)
コンクリート
セラミック
テラコッタ

解体・改修廃棄物を含む5種類のサンプルセットを用意しました。これらのサンプルは、分析とモデル化を容易にするために予め識別され、グループ化されています。

今回は、配管や屋根材などからのアスベスト、未知の瓦礫混合物、コンクリート、陶器(皿など)、鍋、タイルなどからのテラコッタの5つのサンプルセットについて調査しました。未知の瓦礫混合物のサンプルは、既知のサンプルとは異なる物質でできていると想定しています。


サンプルの一部は目視やRGB画像(カラー画像)で識別できるものもありますが、アスベストやコンクリート、セラミックのような材質をRGB画像(カラー画像)だけで一貫して識別するのは困難で、RGB画像に基づくマシンビジョン、識別の自動化には限界があることが分かります。

測定方法

ハイパースペクトルカメラHySpex Baldur S-384 Nを用いて測定を行いました。HySpex Baldur S-384 Nは産業向けに開発されたハイパースペクトルカメラで、スペクトル分解能5.45 nm、930~2,500 nmのSWIR領域の測定が可能です。W.D=1m、FOV(視野角)40°で70cmのシーンを撮影し、1.8mmの空間分解能を達成しました。

照明には広い波長領域をカバーしているハロゲンランプを用い、ハイパースペクトルカメラの真下にある工業用ベルトコンベアを使用してサンプルをスキャンしました。

このシステムは選別機やロボットなどの選別ソリューションと完全な互換性があります。オンラインでのリアルタイム分類や、三脚を使用した現場での廃棄物の検査に使用することができます。

解体廃棄物の検査

HySpex Baldur S-384 Nを用いた測定

ハイパースペクトルデータ解析

撮影したハイパースペクトル画像データは、Prediktera社のハイパースペクトルデータ解析ソフトウエアBreezeを使って分析しました。

分類モデルの作成

PLS-DA 分類モデルは、未知の瓦礫混合物を独立したクラスとして使用せず、4 つの異なるクラスで構築されました。サンプルセット1 はモデルの学習に使用し、サンプルセット 2 ~ 5 は性能評価に使用しました。

建材のハイパースペクトルデータ

サンプルセット1の5種類のサンプルに特徴的な平均反射スペクトル (SWIR)

上記グラフより、5つの異なるクラスのSWIR反射スペクトルは類似していますが、分類モデルを作成するのに十分なスペクトルの特徴を持っていることが分かります。

分類

ハイパースペクトルデータ解析による分類画像

分類画像:学習セット(1)と、4つのテストセット(2~5)

アスベスト
未知の解体・改修廃棄物(混合物)
コンクリート
セラミック
テラコッタ

アスベスト、コンクリート、セラミック、テラコッタのサンプル片は、小さいサンプル片においてもそれぞれのクラスに正しく分類できました。
未知の解体・改修廃棄物(瓦礫混合物)のサンプル片は様々な種類があったため、独自のクラスは与えられず、大半はクラスなしとして検出されましたが、他のクラスの一部と認識されたものが幾つかありました。これは誤検出あるいはサンプル作成時の誤認識であった可能性があります。もし必要な場合はこのグループの様々なスペクトル特性を詳細に分析し、モデルに含めることができます。

産業用ハイパースペクトルカメラ HySpex Baldurを用いたアスベストの検出

ハイパースペクトルカメラHySpex Baludur S-384 N(930~2500nm)で取得した分光情報を利用することにより、アスベストとその他の物質を識別。

ハイパースペクトルイメージングの活用

このケーススタディーは、ハイパースペクトル画像を使って非接触でアスベストを安全に検出できること、そして、アスベストを他の解体廃棄物から識別できることを示しています。
さらに分別が必要な場合においては、コンクリート、セラミック、テラコッタも分別することが可能です。

低収差で高いスペクトル分解能と空間分解能を持ち、産業用に対応したハイパースペクトルカメラで取得した分光情報を用いることにより、解体廃棄物の中のアスベストの検出や、アスベストとその他の物質を識別することが可能になります。

この技術は現場におけるアスベストの人体への暴露リスクの低減や、解体廃棄物の処理施設、リサイクル工場における自動選別システムの構築へと繋がります。

関連製品情報

ハイパースペクトルカメラ HySpex Baldur

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ハイパースペクトルイメージング用ソフトウエア Breeze

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ソフトウェアBreezeは、ハイパースペクトルカメラで撮影した対象物のスペクトルデータをリアルタイムに収集、分析します。NEO社のハイパースペクトルカメラHySpexシリーズでご使用頂けます。

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