ハイパースペクトルカメラ　HySpex Baldur用途例
食品分野 | 魚の品質検査の自動化

魚の品質検査における課題

食品分野の魚産業における品質検査は目視で行われることが多く、検査にかかる費用と時間が課題となっています。

白身魚においては、冷凍されていない、または適切に調理されていない場合に線虫が除去できていないと、寄生虫感染の問題、健康上のリスクだけでなく、消費者が手にした時に嫌悪感を抱いてしまう可能性もあるため、「線虫の除去」は重要な品質検査項目です。

手動検査による線虫の除去

以下の写真はタラ（白身魚）の手動による線虫除去の様子です。切り身のタラを検査台に置き、検査台の下からの透過光によって視覚的に検査し、線虫を検査員が手動で除去していますが、全ての切り身魚において実施しているため、検査には多くの時間とコストがかかります。これは大西洋/太平洋のタラの生産コストの半分を占める可能性があるほどの膨大なコストとなっています。

生産コストの多くを占めているにもかかわらず、手動での検出率は、現場での作業環境においては50％と低く、皮付きの切り身の状態では僅か25％の検出率です。
また、4～6 mmよりも深く入りこんでいる線虫は手動検査では検出されません。

目視検査の
様子

線虫を手動で
除去

タラ組織内部に入り込んだ線虫

写真：NofimaTromsø

ハイパースペクトルカメラによるソリューション

HySpex Baldurの導入事例

シーフード業界の世界的な生産企業であるノルウェーのLerøy Seafood Groupは、ハイパースペクトルカメラHySpex Baldurを品質検査システムに導入し、手動による品質検査の課題に取り組みました。

HySpex Baldurが搭載された品質検査システムは、「毎秒1枚の切り身魚を評価する」という要件を満たすために400[mm/s]の速度でベルトコンベヤーが動作します。

ハイパースペクトルカメラHySpex Baldur V-1024を品質検査システムに搭載

品質検査の自動化

HySpex Baldurを搭載した品質検査システムでは、手動検査で報告されているものと同等、またはそれ以上の検出率で、タラの切り身の線虫を自動的に検出できます。
これにより検査員の作業負荷を大幅に削減することが可能です。

*ハイパースペクトルイメージングによる線虫の除去（タラの切り身）

*参照;
Automatic nematode detection in cod fillets (Gadus morhua L.) by hyperspectral imaging, A.H. Sivertsen, K. Heia, K. Hindberg, F. Godtliebsen. J. Food Eng. 111 (2012) 675–681