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ハイパースペクトルカメラ HySpex Classic用途例

粉体混合物の評価

粉体混合物の評価

粉体混合物のハイパースペクトル解析

粉体や粉末材料の混合は、食品、医薬品、化粧品、紙、プラスチック、ゴム工業を含む多くの産業で重要な工程です。混合プロセスはサイズ、形状、密度、および接着特性などの粒子特性の影響を受けるため、均質な品質を実現するための最適な混合手順を見つけ出すことは容易ではありません。

粉体製品の「組成」と「均質性」の評価

優れたプロセスと品質管理には、製品の「組成」と「均質性」の両方を評価することが必要になります。
従来からこれらの評価はランダムサンプリングとラボでの分析によって行われていますが、各バッチの均質性の詳細情報を得るためには、高い頻度でサンプルを測定しなければなりません。

ハイパースペクトルカメラ HySpex Classic製品詳細

ハイパースペクトルカメラによる検査効率の改善

ハイパースペクトル画像を使用すれば、ラボでの分析ではなく工程内で直接「より多くのサンプルを」「より短時間で高効率に」バッチ内のサンプル組成の分布をリアルタイムで測定することが可能になり、検査効率の改善に繋がります。
また、粉体内の不純物やその分布を検出することも可能です。

粉体混合物の測定

この測定例ではハイパースペクトルイメージングを使用して粉体の純度を測定をします。
また、混在する可能性のある4種の粉末も併せて測定します。

目的粉体の基本成分の純度を検出

目的は混合物の種類とは無関係に基本成分の純度を検出することです。

粉体サンプル

5種類の粉体サンプル

Base粉末を実験用のベースとして用い、残りの4つは混合物として使用しました((C1-C4)。混合物質を1つずつBaseと混合し、混合物の濃度が0.5~25%の範囲内で各混合物について16個のサンプルを作成しました。粉末は化学的性質が異なるだけでなく、粒子サイズ、粒子形状、密度、粘性などの粒子特性も異なっています。

粉体の反射スペクトルデータの取得

ハイパースペクトルカメラHySpex Classic SWIR-384(930-2,500 nm)から30cmの距離で5つのサンプルを撮影しました。空間分解能は250 μm、スペクトル解像度は5.45 nmです。取得したハイパースペクトル画像データは、Predikteraのハイパースペクトルデータ解析ソフトウェアBreezeを使用して分析しました。定量化モデルは交差検証した PLS(Partial Least Squares)回帰を使用しました。全サンプルを含むグローバルモデルに加え、1つの混合物に基づいて作成されました。

ハイパースペクトルカメラによる粉体測定

図2: HySpex Classic SWIR-384

粉体の平均反射スペクトル

図3:5つの粉体サンプルの平均反射スペクトル

図3はHySpex Classic SWIR-384で取得した5つの粉体サンプルの平均反射スペクトルになります。異なる粉体はSWIRの波長領域においてそれぞれ特有のスペクトル特性を示していますが、粉体の一部には同じような吸収特性を示しているものもあります。BaseはC4と同様のスペクトル特性を示し、サンプルC2とC3の間にも高い類似性があることがわかります。

このような類似した吸収特性から違いを捉えるには、高いスペクトル分解能が必要になりますが、ハイパースペクトルカメラHySpex Classic SWIR-384は高いスペクトル分解能を有しているため、5つのサンプルすべてにおいて定量化モデルを作成するのに十分なデータを取得することができました。

粉体の定量化モデルの作成

モデルの評価は、交差検証の相関係数(Q2)と二乗平均平方根誤差(RMSECV)に基づいて行われました。
一度に1つの粉体混合物を扱うモデル(表1)は、グローバルモデル(表2)よりも優れた性能を示していますが、グローバルモデルの利点は、混合物の性質を知らなくても、Baseの含有量、つまり「純度の予測」ができることです。

表1 : ベース粉体のPLS回帰モデル

Samples included in model Q2 RMSECV Principal Components
C1 - series 0.96 1.49 3
C2 - series 0.91 2.06 2
C3 - series 0.92 1.97 5
C4 - series 0.98 1.18 5
All samples 0.87 2.54 7

(モデリングに含まれるサンプルのサブセットを含む)



表2:異なる粉体のPLS回帰モデル

Powder type modeled Q2 RMSECV
C1 0.95 1.12
C2 0.93 1.27
C3 0.89 1.63
C4 0.78 2.35
Base 0.87 2.54

すべてのサンプルをモデリングに含む(グローバルモデル)。



粉体の含有量の予測

このモデルを用いて撮影したハイパースペクトル画像の各ピクセルに含まれるさまざまな粉体の含有量を予測することができます。
これを利用して粉体がどの程度混合されたかを可視化します(図4)。

ハイパースペクトルデータ解析

図4:混合粉体の含有量の可視化

左画像:Baseを75%、C2を25%を含むサンプルの空間分布。
この画像は、グローバルPLSモデルを使って各ピクセル内のBase含有量を予測して作成されたものです。

右画像:疑似カラーSWIR画像を拡大し、ハイパースペクトルカメラHySpex Classic SWIR‐384の空間分解能を示しています。

ハイパースペクトルデータによる粉体純度の予測

この測定例は、ハイパースペクトルイメージングが混合物質の正確な性質を知らなくても、粉体の純度の予測に使用できることを示しています。

空間分解能とスペクトル分解能が高いハイパースぺクトルカメラを用いることにより、粉体混合物の均質性、混合状態の評価にも使用することができます。

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