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ハイパースペクトルカメラ HySpex Classic用途例

資源探査

資源探査

ハイパースペクトル顕微鏡によるレアアースの自動検出

レアアースの需要の増加

ネット・ゼロ・エネルギーに向けた技術の進展に伴い、ネオジム(Nd)などのレアアース(希土類元素)の世界的な需要拡大が予想されています。2050年までの長期的な気温上昇を2℃以内に抑えるというシナリオ(2DS)を達成するために、再生可能エネルギーの発電設備陸上風力や洋上風力等の再生可能エネルギーの発電設置の増加が予測され、これに伴い、風力タービンに使用されるレアアースの需要も約250%の成長が予測されています(1)
そのため、レアアースを効率的に検出し、分類を行うことが今後の資源探査や採掘には欠かせません。

ハイパースペクトルイメージングは、反射測定によって露頭、岩石サンプル中のレアアースを検出し、未探査の鉱床を評価することが可能です(2),(3),(4)

ハイパースペクトルカメラ HySpex Classic製品詳細

露頭の特性評価

露頭の特性評価において、岩石薄片の分析は重要です。従来は偏光顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、電子マイクロプローブ(EMP)、分光器(ポイント測定)などを用いて行われてきました(図1)。

岩石薄片の分析

図1:. クロスニコル(XPL)下で偏光観察した岩石薄片の画像

(Mnz:モナザイト、Qtz:石英、Aln:アラナイト、Ap:アパタイト、Py:黄鉄鉱)。モナザイト(モナズ石)が強い複屈折で示されています(干渉色)。画像提供:Dr. Uwe Altenberger5

ハイパースペクトル顕微鏡による岩石薄片の測定

ハイパースペクトル透過画像顕微鏡法(HyperTIM)は、レアアースの自動検出のための新しい手法です。以下の例は、Steenkampskraal(南アフリカ共和国)の岩石薄片にこの手法を用いて、Ndを多く含有するのネオジムモナズ石((Ce,Nd,La)PO4)を分析したものです。

ハイパースペクトルカメラHyspex Classsic VNIR-1600、特別に設計されたサンプルホルダー、走査セット、顕微鏡レンズを使用し、HySpex VNIR-1600による透過測定と分類アルゴリズムにより、岩石薄片中にNdを含有するモナザイトの同定とハイパースペクトルマッピングが行われました。

ハイパースペクトル透過測定

モナザイトはネオジム(Nd)の吸収特性によってハイライトで示されています(5)

  • R:LS: 563.46nm
  • G:AM: 最大吸収波長 578.46nm
  • B:RS: 618.46nm

を以下の図2bに示します。

モナザイトのハイパーぺクトル透過測定

図2-a:薄片のハイパースペクトル透過画像
(疑似カラー画像)

スペクトル特性比較

モナザイトのスペクトル特性

図2-b:モナザイトのスペクトル特性比較

モナザイト上の3x3ピクセル領域を測定したスペクトルの特性(赤)とUSGSのスペクトルライブラリからのモナザイト(青)のスペクトル特性の比較(6)。3つのNdのスペクトルの特徴がハイライトで示されており、LS(左肩部分)、AM(最大吸収波長)、RS(右肩部分)が確認できます(5)

ネオジムモナズ石の分類

Ndを多く含有しているネオジムモナズ石は図2-cで赤色で示しています。その他のピクセルは、RGB(R: 640.27 nm, G: 549.36 nm, B: 458.44 nm)で表示されています(5)

ネオジムモナズ石の分類

図2-c:分類画像。

HyperTIMのハイパースペクトルデータ解析と開発は、ドイツ地球科学研究センター(GFZ Potsdam)のレアアースマッピングプロジェクト(REEMAP)で行われました。

この事例は、資源探査のツールとしてのハイパースペクトルイメージングの可能性を示しており、採掘、鉱物の分類から製造・加工に至るまで、ハイパースペクトルイメージングの活用が広がります。

資源探査

このプロジェクトのハイパースペクトルデータは、NEO社製ハイパースペクトルカメラ HySpex Classicシリーズを用いて取得しました。高い空間分解能とスペクトル分解能、高SN比を誇るHySpex Classicシリーズは、リモートセンシング、資源探査の最適なハイパースペクトルカメラです。

References:

1. World Bank Group, EGPS, The growing role of minerals and metals for a low carbon future, June 2017

2. Turner, D., Rivard, B., and Groat, L.: Rare earth element ore grade estimation of mineralized drill core from hyperspectral imaging spectroscopy, in: 2014 IEEE Geoscience and Remote Sensing Symposium, 4612–4615, 2014a.

3. Koerting, F., Herrmann, S., Boesche, N. K., Mielke, C., Koellner, N., and Altenberger, U.: Technical Report: Mineral reflectance spectra and chemistry of 29 rare-earth minerals and rare-earth oxide powders including niobium- and tantalum-oxid powder, V. 2.0 GFZ Data Services, https://doi.org/10.5880/GFZ.1.4.2019.004, 2019a.

4. Boesche, N. K., Rogass, C., Mielke, C., Herrmann, S., Körting, F., Papenfuß, A., Lubitz, C., Brell, M., Tonn, S., and Altenberger, U.: Hyperspectral Rare Earth Element Mapping of Three Outcrops at the Fen Complex, Norway: Calcitic, Dolomitic, and Ankeritic Carbonatites, chap. 16, in: Rare Earths Industry – Technological, Economic, and Environmental Impli- cations, Elsevier Inc., 235–265, https://doi.org/10.1016/B978-0- 12-802328-0.00016-4, 2016.

5. Daempfling, H., Mielke, C., Koellner, N., Rogass, C., Altenberger, U., Harlov, D. and Knoper, M.: Automatic element and mineral detection in thin sections using hyperspectral transmittance imaging spectroscopy (HypertTIM), in prep.

6. Kokaly, R. F., Clark, R. N., Swayze, G. A., Livo, K. E., Hoefen, T. M., Pearson, N. C., Wise, R. A., Benzel, W. M., Lowers, H. A., Driscoll, R. L., & Klein, A. J. (2017). USGS Spectral Library Version 7. https://pubs.er.usgs.gov/publication/ds1035



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