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ハイパースペクトルカメラ HySpex Classic用途例

鉱物の分類

鉱物の分類

ハイパースペクトルイメージングによる鉱物の分類

露天採掘において、1日の採掘区分は通常は小規模で、地質および鉱物の分布は採掘区分によって変化します。このような変化は必ずしも視覚的に識別できるものではありませんが、採掘された鉱物の品質や、採掘後の処理工程にも関わるため、採掘前に鉱物の分布を可視化し、分類の誤りを最小限に抑えることが重要です。

イメージング分光法は、鉱物の分類や分布、特性評価に役立ちます。ここでは、ハイパースペクトルカメラHySpex Classicシリーズが用いられた事例として、Apliki鉱山(キプロス共和国 ニコシア地区の銅-金-黄鉄鉱山)におけるハイパースペクトル撮影と、鉱物の分類についてご紹介いたします。(*)

ハイパースペクトルカメラ HySpex Classic製品詳細

ハイパースペクトルカメラ HySpex Classicによる鉱物のスペクトルデータの取得

ハイパースペクトルカメラによる鉱物識別

鉱物のスペクトルライブラリと分類

採取した36サンプルの地球化学データ(ICP発光分光分析、CS分析)をクラスター化し、7つの異なるクラスター(C1~C7)に分類しました。
これらC1~C7のグループは、サンプルのスペクトル特性の評価と鉱物学の従来手法であるX線回折分析(XRD分析)によって確かめることができました。

以下の中央に示されているのは採取した現場固有のスペクトルライブラリで、クラスターごとのスペクトルを示しています。このスペクトルライブラリは、研究室でハイパースペクトルカメラHySpex ClassicシリーズのVNIRおよびSWIRを用いて取得した、36個のサンプル表面のスペクトルデータによって構築されました。

採取した36サンプル

スペクトルライブラリ

ReSense+による自動識別

  • 左画像:採取した36のサンプル
  • 中央:スペクトルライブラリ
    • 採取した36のサンプルはハイパースペクトルデータと従来手法によって研究室で分析、特性評価が行われました。そして、それらの一般的な地球化学的データに従って7つのクラスターにグループ化されました。スペクトルライブラリはクラスター化されたC1〜C7の反射率を使用して構築されました。
  • 右画像:ソフトウェア「ReSens+」による自動識別
    • C1~C7の7つのクラスターを利用し、ソフトウェア「ReSens+」によってサンプルが自動識別されていることが示されています。
      (「ReSens+」:スペクトル分析を専門とするドイツのrad.DATA Spectral Analytic(UG) 社のソフトウェア)


ハイパースペクトルデータを用いた鉱物の帯状分布の予測

採掘表面の分析では、使用する入力パラメータ―を石膏が優勢なクラスターを除外し、6つのクラスターに絞り込んで解析が行われました。その結果、以下に示されるようにストックワーク状の帯域が明らかになりました。また、播種性、風化硫化鉱物の区域も確認されました。
各クラスターは、鉱化した枕状溶岩の区域、粘土鉱物の区域、緑泥石のストックワーク状の帯域等を表しています。

A: 採掘面の帯状分布の予測(Antivachis, 2015 ).
B: BFFアルゴリズム (Mielke et al, in prep.)によるApliki鉱山の採掘面のハイパースペクトルマッピング(Koerting 2020, in prep.) 

Cluster 1: 斜長石、モンモリロナイトが優勢なApliki枕状溶岩

Cluster 2: 石英、硫化物、硫酸塩が優勢な播種硫化鉱物、風化硫化鉱

Cluster 3: 珪化の進行したエリア,碧玉,石英(+緑泥石鉱物のグループ)

Cluster 4: 硫酸塩を主成分とする塊状鉱化鉱脈

Cluster 5: 粘土、スメクタイト、緑泥石グループの鉱物が優勢な風化した枕状溶岩、スメクタイト変質

Cluster 6: 緑泥石グループの鉱物が優勢な緑泥石鉱物ストックワーク状の帯域

: 未分類



鉱物マッピング

ハイパースペクトルマッピングは、SfM(Structure-from-Motion)、あるいは精密なLiDARモデリングによって作成された3Dモデル上に可視化することができます。これは採掘現場において鉱物の分布を確認するのに役立ちます。

また、最小波長マッピング(Python HypPy Toolbox, Bakker and Oosthoek)を用いて、例えばAl-OHの含有量の高いエリアをさらにマッピングすることも可能です。このような分析をすることで、例えば粘土含有率の高いエリアを特定し、現場での採掘プロセスを調整することにも役立てられます。

  • 上図:Binary Feature Fitting with 36 spectra spectral library
    • SfMで作成した3Dモデル上にハイパースペクトルによる分類を重ね合わせて表示しています。
  • 下図:Wavelength position of AlOH feature between 2,160-2,220nm(from Kirsch et al.,2018)
    • 中心波長分布図:2018年Kirschらによって定義されたAI-OHの特性波長域(2,160-2,220 nm)の分布をSfMで作成した3Dモデル上に示しています。


ハイパースペクトルイメージングの活用

この事例は地質学および採鉱アプリケーションのためのツールとしてのハイパースペクトルイメージングの可能性を示しています。
ハイパースペクトルイメージングによる鉱物の分類や材料の正確な特定等、鉱物探査・採掘から製造・加工に至るまで活用が広がります。


このプロジェクトではNEO社製のハイパースペクトルカメラHySpex‐Classicシリーズの VNIRと SWIRを使用してサンプルのハイパースペクトルデータが取得されました。

品番 HySpex-Classic
VNIR-1800
HySpex-Classic
SWIR-384
製品画像 ハイパースペクトルカメラHySpex Classic VNIR ハイパースペクトルカメラHySpex Classic SWIR-384
測定波長範囲 400~1,000 nm 930~2,500 nm
空間画素数 1800 384
スペクトルチャンネル数 186 288
スペクトルサンプリング
波長分解能[nm]
3.26 5.45

高い空間分解能とスペクトル分解能、高SN比の性能をもつHySpex Classicシリーズは、VNIRおよびSWIRの製品を取り揃えております。今回の事例のようにVNIRとSWIRの2つのカメラを用いることで、400nmから2500nmまでの広範囲の波長帯域のハイパースペクトルデータを取得することが可能となります。
また、ステージや三脚、レンズ等のアクセサリーも用意しており、フィールドでの測定や研究室での分析等、様々測定環境に対応します。

(*)サンプルと現地のデータは、2018年3月、GSD(キプロス共和国の地質調査部門)の協力により、GFZ(GeoForschungs Zentrum Potsdum:ドイツ ポツダム地球科学研究センター)とポツダム大学によって収集されたものです。

掲載した結果と画像は、Koerting(2020)の博士研究の一部になります。

GFZによって準備された材料分類アルゴリズムによりデータを分析し、rad.Data 社のスペクトル分析ソフトウェアReSens+を用いて分類が行われました。

 

References:

 

1. Friederike Koerting, “Hybrid imaging spectroscopy approaches for open pit mining – Applications for virtual mine face geology”, PhD thesis, handed in 2020, in preparation, University of Potsdam

2. Kirsch, M., Lorenz, S., Zimmermann, R., Tusa, L., Möckel, R., Hödl, P., Booysen, R., Khodadadzadeh, M. and Gloaguen, R.: Integration of terrestrial and drone-borne hyperspectral and photogrammetric sensing methods for exploration mapping and mining monitoring, Remote Sens., doi:10.3390/rs10091366, 2018.

3. Bakker, W. and Oosthoek, J.: HypPy Hyperspectral Python Toolbox, [online] Available from: https://blog.utwente.nl/bakker/hyppy/ (Accessed 22 April 2020), 2020.

4. Antivachis, N. D.: The geology of the northern part of the apliki Cyprus-type ore deposit, Bulletin of the Geological Society of Greece, 49, 4–28, doi:10.12681/bgsg.11047, 2015.

5. Mielke, C., Köllner, N., Körting, F. and Klos, F.: Multi- und hyperspektrale Verfahren zur weltweiten Überwachung von Weltkulturerbestätten, Arbeitshefte des Brandenburgischen Landesamtes für Denkmalpflege, in prep.



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