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食品分野|ハイパースペクトルカメラ撮影事例

ハイパースペクトルカメラは、食品分野において「種類・品質の選別」や「異物混入の検出」等で注目が高まっています。
当ページでは、ハイパースペクトルカメラPikaを用いて当社にて食品サンプルを撮影した事例について、解説を挟みながらご紹介いたします。

尚、各種画像(RGB画像、SAM画像等)については、ページ最下部に「用語解説」をご用意しております。必要に応じて、ご参照ください。


本ページで紹介している事例に関して、以下から解析ツールと撮影データをダウンロードすることが可能です。

ハイパーデータダウンロードページ

イチゴの赤み具合の強調

ハイパースペクトルカメラで撮影することで肉眼ではわかりにくい「赤み具合」を厳密に差別化することができます。

RGB画像

イチゴの赤み具合の強調(RGB画像)

640nmでのグレースケール画像

イチゴの赤み具合の強調(グレースケール画像)

ハイパースペクトルカメラは「波長」を詳細に撮影できます。
色もまた「波長」によって区別される情報です。450nmの波長を持つ光を目にした時、人間の脳は「青色」と認識します。他方「赤色」は600nm付近の波長です。

今回イチゴの赤みを区別するために、私たちが「赤色」と認識する光である「640nm」の波長を取り出して、グレースケール(明度のみの画像)にて落とし込みました。
すると、肉眼では「同じ赤」に見えたイチゴの色が明確に区別されることが、よくわかります。

「色の区別」はグレースケール画像だけでなく、具体的な数値でも見ることができます。

イチゴのスペクトル画像

イチゴ6種のスペクトルデータ

グラフの傾きに類似した特徴は見られるものの「すべてが重なり合わずに区別されている」ことがわかります。

このようにハイパースペクトルカメラで撮影することで「赤み具合」を数値として見分けることが可能ですので、品質管理や成熟度等の検査でもハイパースペクトルカメラの活用が期待されます。



ハイパーページ

牛肉の赤身と脂肪

イチゴの事例では個別の「赤」を見分けるという事例でしたが、ハイパースペクトルカメラで撮影することによって「牛肉の赤身と脂肪の判別」も可能です。

RGB画像

牛肉の赤身と脂肪(RGB画像)

SAM画像

牛肉の赤身と脂肪(グレースケール画像)

イチゴの事例の通り「色」は光の波長によって区別されます。
つまり「色が違う」ということは、当然「波長も違う」ということです。(このような赤身と脂肪の波長の違いを「スペクトル差」と呼びます。)

波長の違いはスペクトルデータにも明確に現れています。

牛肉の赤身と脂肪のスペクトル画像

牛肉の赤身と脂肪のスペクトルデータ

グラフでは次の色で、それぞれの「波長」が表現されています。

  • 脂肪:黄緑
  • 赤身:サーモンピンク

SAM画像では視覚的に、スペクトルデータでは数値によるグラフとして、それぞれ「赤身と脂肪」を判別できます。
このようにスペクトル差を利用することで牛肉の赤身と脂肪を分類することができるため、ハイパースペクトルカメラは「霜降り具合」の評価に役立つ可能性があります。



コーヒーの中のネジの検知

複数の事例で確認できる通り、ハイパースペクトルカメラは異なる物の「判別」に長けています。
そのため異物混入も見抜くことができます。

RGB画像

コーヒーの中のネジの検知(RGB画像)

一次微分画像

コーヒーの中のネジの検知(一次微分画像)

RGB画像では、黒々としたコーヒーの液体に沈むネジは見つけられません。
しかし一次微分画像では、ネジの存在が浮かびあがっています。

一般に一次微分とは、エッジの検出で用いられる画像処理を指しますが、ハイパースペクトルカメラの加工では異物検出に応用することも可能です。

コーヒーの中のネジの検知のスペクトル画像

コーヒーの中のネジのスペクトルデータ

  • コーヒー:黄緑
  • ネジ:水色

「1200nm以降」はそれぞれのグラフが重なり合っています。
これは、波長に差がないことを表しています。

一方、900nm〜1200nm未満の範囲では、グラフにばらつきがあります。このばらつきによって、コーヒーとネジを判別しています。
ハイパースペクトルカメラは「異物混入の検知」でも役立ちます。



ハイパーページ

砂糖、塩、小麦粉の識別

ハイパースペクトルカメラの撮影は、物質の特定も可能にします。
見た目ではほとんど違いがわからない白色粉末(砂糖、塩、小麦粉)が混じり合った状態でも、3種類の粉末を識別できます。

RGB画像

砂糖、塩、小麦粉の識別(RGB画像)

SAM画像

砂糖、塩、小麦粉の識別(SAM画像)

3種類の粉末の識別を可能にしたのはハイパースペクトルカメラが「近赤外域」の波長も撮影できるためです。
近赤外線とは「赤外線」の中でも可視光、すなわち「私たちの目に見える光」に近い領域の波長を持つ光を指します。

「近赤外分光法」の例に見る通り、近赤外線を分析することで物質を判別できます。(近赤外分光法については「こちら」)
そのためこちらの事例のように、砂糖、塩、小麦粉を判別することもできます。

砂糖、塩、小麦粉のスペクトル画像

砂糖、塩、小麦粉のスペクトルデータ

近赤外域のスペクトルを分析するとそれぞれのグラフにばらつきが出ます。
ハイパースペクトルカメラによって、3種類の粉末を見分けられます。こちらの事例から分かる通り、ハイパースペクトルカメラを用いることで、様々な物質の特定が可能です。



水と食塩水の識別

工業分野の撮影事例で紹介した通り、ハイパースペクトルカメラは水とIPAを識別できます。
水とIPAだけでなく、ハイパースペクトルカメラで撮影することによって水と食塩水を見分けることも可能です。

RGB画像

水と食塩水の識別(RGB画像)

SAM画像

水と食塩水の識別(SAM画像)

「砂糖、塩、小麦粉の識別」の事例と同様に、近赤外域の波長を分析することで、水と食塩水の識別もできます。

砂糖、塩、小麦粉のスペクトル画像

砂糖、塩、小麦粉のスペクトルデータ

  • 水:青
  • 食塩水:緑

それぞれのグラフは、900nm〜1200nm以下の範囲でスペクトルに違いが見られます。
このスペクトル差を利用することで、水と食塩水の識別が可能です。このようにハイパースペクトルカメラは品質管理用途でご使用いただけます。



ジャムに混入した葉っぱの検出

ハイパースペクトルカメラによって食品への異物混入を見抜くことができます。

RGB画像

ジャムに混入した葉っぱの検出(RGB画像)

685nmと750nmでの
band ratio画像

ジャムに混入した葉っぱの検出(band ratio画像)

ご覧の通りRGB画像では、ジャムに混入した葉っぱを検知するのは難しいですが、ハイパースペクトルカメラによって撮影しバンドの比率を見ることで、明確に識別できます。

ジャムと葉っぱのスペクトル画像

ジャムと葉っぱのスペクトルデータ

  • ジャム:赤
  • 葉っぱ:緑

グラフで見ると2点重なる部分はあるものの、それぞれのスペクトルが大きく異なっていることがわかります。



ハイパーページ

ヨーグルトに混ぜた杏仁豆腐の検出

ヨーグルトと杏仁豆腐は、見た目が類似していますが、ハイパースペクトルカメラで撮影することで、それぞれを判別できます。

RGB画像

ヨーグルトに混ぜた杏仁豆腐の検出(RGB画像)

杏仁豆腐のみを抽出

杏仁豆腐のみを抽出

ハイパースペクトルカメラの専用ソフトウェアを用いて画像を処理することで、このように杏仁豆腐のみを抽出できました。

ヨーグルトと杏仁豆腐のスペクトル画像

ヨーグルトと杏仁豆腐のスペクトルデータ



調理前後の野菜の判別1

ハイパースペクトルカメラで、「調理前のキャベツ」と「調理後のキャベツ」を撮影しました。

RGB画像

調理前後の野菜の判別1(RGB画像)

1100nmと1365nmでの
band ratio画像

調理前後の野菜の判別1(band ratio画像)

Band ratio画像をご覧ください。調理前(左)に比べ、調理後(右)は白色が強く出ています。
このように、ハイパースペクトルカメラによって「火の通り具合」を可視化できます。

キャベツの調理前後のスペクトル画像

キャベツの調理前後のスペクトルデータ

  • 調理前:黄緑
  • 調理後:緑

2本のグラフは類似した曲線を描いていますが、高さ(反射強度)に違いがあるため、調理前・後のキャベツを識別できます。



調理前後の野菜の判別2(ビニール越し)

「調理前のキャベツ」と「調理後のキャベツ」はビニール越しでも判別できます。

RGB画像

ビニール越しでの調理前後の野菜の判別2(RGB画像)

1100nmと1365nmでの
band ratio画像

ビニール越しでの調理前後の野菜の判別2(band ratio画像)

ビニール越しでも、ビニールがないケースと同様に、火の通り具合を可視化できました。

ビニール有り無しでのスペクトル画像

ビニール有り無しでのスペクトルデータ

  • ビニール無:青
  • ビニール有:オレンジ

ビニールの有無でもグラフに大きな差は現れません。
ただしビニール越しでの撮影のため、光の強さ(反射強度)には影響が出ます。そのためグラフ縦軸の高さが違うという傾向が見られます。



食材の判別

ハイパースペクトルカメラの撮影で、豚肉とエビを判別することもできます。

RGB画像

豚肉とエビの判別(RGB画像)

SAM画像

豚肉とエビの判別(SAM画像)

豚肉とエビに限らず、ハイパースペクトルカメラは様々な食品を見分けることができます。
そのため、食品の判別用途でもお使いいただけます。

豚肉とエビのスペクトル画像

豚肉とエビのスペクトルデータ



ハイパーページ

ハイパースペクトルカメラの紹介

今回撮影で用いた「ハイパースペクトルカメラPika」をご紹介いたします。

ハイパースペクトルカメラ Pika

ハイパースペクトルカメラ Pika

ハイパースペクトルカメラPikaは、330nmから1700nmの波長範囲をカバーしています。

小型・軽量・低価格という利点に加え、スペックも秀でていることから、食品分野を始め、農業分野、医療分野等幅広い分野でご活用いただいております。(食品分野の他の事例は「こちら」。)

製品情報

用語解説

ここからは用語解説です。
当ページで用いられている「画像」と関わる用語について、解説いたします。

RGB画像

RGB画像とは、光の三原色である赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)を組み合わせて色を表現した画像を指します。
産業用・民生用問わず出回っている一般的なカメラで撮影される画像は「RGB画像」です。つまり「私たちが目にしている世界」に最も近い色彩で表現されます。

光には様々な情報がありますが、RGB画像では「可視光」を撮影しています。言い換えるなら「人間が目にできる範囲の波長で表現された画像」ということです。
ハイパースペクトルカメラの場合、「可視光」の他にも人間が目にすることができない赤外線・紫外線の撮影も可能です。


次はハイパースペクトルカメラの撮影情報と関わりの深い画像の用語解説です。


band ratio画像

見た目では単なる白黒画像に見えるかもしれませんが、「band ratio画像」はハイパースペクトルカメラで撮影した内容を「ソフトウェアで処理した画像」です。
「band ratio」は「バンド比」を表しています。つまり「band ratio画像」は、撮影された波長を比率によって表現した画像を指します。


SAM画像

SAMは「スペクトルアングルマッパー : Spectral Angle Mapper」の頭文字を取った略称です。スペクトルアングルマッパーとは、ごく簡単に言うならば「スペクトルの分布」です。
ソフトウェアで特定の分光データを指定することで、該当する分光データが画像中にどのように分布しているか、特定の色で表現した画像です。

SAM画像は「スペクトルアングルマッピング」というソフトウェアの処理によって作成される画像です。
ソフトウェアによる処理過程を見ると、より理解が深まるでしょう。詳細は「こちら」のページに記載されておりますので関心がある方はご覧ください。
また「SAM画像」につきましては、弊社の他ページや資料等では「疑似カラー画像」「カラーマッピング画像」とも呼び表しています。呼び方は異なっておりますが、内容は全く同じものです。


スペクトルデータ

当ベージでは、撮影対象の分光データを「横軸:波長」「縦軸:反射強度」として数値に落とし込みグラフとした内容をスペクトルデータと呼び表しています。グラフデータを見ることで「どの波長(横軸)がどの程度強いか(縦軸)」を見ることができます。
横軸は波長の分布を示しています。他方、縦軸は反射強度ですので、値が高ければそれだけ光が強いということを示しています。


他の事例はこちら

こちらは「ハイパースペクトルカメラ専門サイト」の「事例集」です。(下のバナーをクリックすると移動します。)
工業分野を始め、食品、医療等幅広い分野の事例を多数掲載しております。

撮影事例

弊社(ケイエルブイ株式会社)は、ハイパースペクトルカメラ販売企業の先駆者として、ハイパースペクトルカメラの専門サイトやメディアサイトを立ち上げ、積極的な情報発信に努めております。

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