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UV照射器の照射範囲に合わせた光源レンズとワーキングディスタンスの選び方

UV照射器で対象物にUV光を照射する際には、照射対象全体を覆うように光をあてる必要があります。
UV照射器の種類には、大きくスポット型、ライン型、エリア型がありますが、特にスポット型は、レンズの選択やワーキングディスタンス(レンズと照射器の距離)によって照射範囲を変えることができます。

本コンテンツでは、スポット型、ライン型、エリア型の特徴を述べたうえで、スポット型に焦点をあてて、希望の照射範囲全体に照射するためのワーキングディスタンスの計算方法を説明します。

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1.スポット型、ライン型、エリア型の特徴

UV照射器には、スポット型、ライン型、エリア型の3つのタイプがあります。

スポット型

(1)スポット型

ピンポイントで照射する

ライン型

(2)ライン型

横長の光を照射し縦に走査し全体に当てる

エリア型

(3)エリア型

ある程度の面積を持ち広く照射する

これらの照射器のタイプ毎に、特定のエリア(15cm☓15cmの領域)に対して照射を行う際の方法を述べたうえで、各タイプのメリットを紹介します。

(1)スポット型

スポット型による特定領域への照射

スポット型UV照射器では、レンズを使用して照射領域を広げることで、目標とする領域全体を覆うように照射します。

・□15cmのエリアに照射する場合
通常のレンズを使用した場合、光は円形に広がります。よって、□15cmを覆うためには、四角形の対角線(21cm = 15cm☓√2)を直径とする円が照射範囲になるように、レンズとワークディスタンス(レンズから対象物までの距離)を選択します。
※レンズとワークディスタンスの選択方法の詳細は本コンテンツの後半で、説明します。

スポット型UV照射器のメリットは以下です。

  • レンズとワークディスタンスを変更することで、照射領域を自由に変更することができる。
    (先端がライン型になっているファイバーを使用した場合、ライン型と同じような照射を行う事も可能)
  • ファイバーを使って光を照射エリアに届けるため、照射エリア周辺のスペースが狭くても対応が可能。
  • レンズを使用するので、集光して狭エリアに強い光を照射することも可能

狭い装置の中や、照射範囲を変える可能性がある場合に向いています。

(2)ライン型

ライン型による特定領域への照射

ライン型UV照射器では、対象領域の一方の幅のライン状の照射器を用意して、照射器またはサンプルを動かすことで、領域全体へ照射します。

・□15cmのエリアに照射する場合
15cmの照射器を用意して、照射器またはサンプルを15cm動かす必要があります。

ライン型のメリットは以下です。

  • エリア型よりも、照射器をコンパクトにできる
  • 比較的安価

一方で、照射器またはサンプルを動かす機構を用意する必要がある点がデメリットになります。
サンプルが次々と流れてくるような生産ライン向きの方法になります。

(3)エリア型

エリア型による特定領域への照射

エリア型UV照射器では、対象領域のサイズの照射器を用意します。

・□15cmのエリアに照射する場合
15cm☓15cmの照射器を用意して一括で照射します。

エリア型のメリットは以下です。

  • 一括照射が可能なので処理時間が短くできる。※出力に依存
  • 均一性を高く保ちやすい

非常にわかりやすいですが、サイズの自由度が低いため、対象のエリアがはっきりと決まっている必要があります。


2.スポット型のレンズとワーキングディスタンスの決め方

スポット型は、照射範囲の自由度が高いですが、そのため、照射範囲に応じてレンズやワーキングディスタンスを適切に選択する必要があります。 ここからは、スポット型に注目して、レンズとワーキングディスタンスの計算方法を紹介していきます。

・計算方法

スポット型の場合、レンズによって、光の広がり角度Θが決まります。
ファイバーから出た光が、Θの角度で広がっていくので、ワーキングディスタンス(レンズから対象までの距離)をhとすると、三角関数で、照射範囲の半径:rとの間に以下の数式が成り立ちます。
tan θ = r h
これを、"ワーキングディスタンス:h="の式に直すと
h = r tan θ
となり、「照射範囲の半径」と「レンズの広がり角」からワーキングディスタンスを求めることができます。
また、この時求めたワーキングディスタンスが、長い場合、レンズをΘの大きいものに変更すると、ワーキングディスタンスを縮めることができます。
ただし、Θの大きいレンズを選択すると、照射エリアの外周部分の光の入射角が大きくなるので、注意が必要です。

照射器のワーキングディスタンス算出方法

・計算例

以下に例として、照射対象エリアを□15cm(照射エリアは半径11cmの円)とし、広がり角15度(Θ=7.5度)と広がり角40度(Θ=20度)のレンズを用いた時のワーキングディスタンスを計算したいと思います。

レンズの広がり角15度(Θ=7.5度)
h = r tan θ = 11 tan(7.5度) = 83.5cm

レンズの広がり角40度(Θ=20度)
h = r tan θ = 11 tan(20度) = 30.2cm

照射器のワーキングディスタンス算出方法

・レンズ&ワーキングディスタンスvs照射範囲 関係表

最後に、前述の計算式を元に広がり角15度、広がり角40度の2つのレンズのワーキングディスタンス毎の照射エリアを計算しました。

スポット型による特定領域への照射

上記のように、スポット型のUV照射器では、自由に照射エリアを変更できます。

3.レンズ使用時の面内均一性の考慮

前述のようにワーキングディスタンスは、レンズのFOVから求めることができますが、面内均一性を考える場合は、光源とレンズを合わせた出力特性も考慮に入れて考える必要があります。
ここでは、実際にレンズから出る光と照射エリアにおける面内均一性に関して、実例を用いて紹介したいと思います。

・レンズからの光の出力特性

「2.スポット型のレンズとワーキングディスタンスの決め方」では、レンズのFOVとワーキングディスタンスの関係を理想的な状況下(FOV以上では光がゼロ、FOV以下では光が100%)で計算してきました。

ただし、実際には、FOVの角度周辺の光は右図のように徐々に光の強さが弱まっていきます。(右図は、実際にスポット型のUV照射器(Primelite)にカスタムレンズを取り付けた際の出力特性です。)
この表から、使用したカスタムレンズから出る光は、0度の光を100%としたときに、5度の光が約94%、7度の光が80%、10度の光が40%程度であることがわかります。

Primelite出力特性_レンズ出口

よって、実際にはこのような光源とレンズを合わせた出力特性を考慮しつつ、ワーキングディスタンスを計算します。
今回は、80%程度の光が得られる片側7度(FOV:14度)を使用して、2.5cm□のエリアに照射する場合を考えます。 この時のワーキングディスタンスを前述の方法で計算すると、1.25/tan(7度)= 10.2cmとなります。

・照射エリアの面内均一性

実際に、ワーキングディスタンスを10cmの箇所で測定した光強度の測定結果以下に示します。
この時、ターゲットとした2.5cm□(片側1.25cm)の領域において、90%という非常に高い均一性が確保できていることがわかります。

Primelite出力特性_照射エリア

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