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光源の波長特性(光源スペクトル)とは

光源の波長特性(光源スペクトル)は、「波長(振動数)毎の明るさ」を示した物です。

一般的には、横軸に「波長[nm]」、縦軸に「分光放射分布」や「相対光強度」など各波長での光の強さをとったグラフで表され、光源の特性を知ることができる重要な指標になります。

では、早速「太陽」や「様々な光源」を例に、光源の波長特性(光源スペクトル)から何がわかるのかを解説します。

太陽光の波長特性(光源スペクトル)

太陽の光をプリズムに通すと、7色の虹の色に分かれて出てくるというのを聞いたことがありませんでしょうか?

この時、色が違って見えるのは、太陽光に含まれる様々な波長の光が、プリズムによって「波長」毎に分けられているからです。
太陽の光を、横軸に「波長」、縦軸に「分光放射分布(各波長の明るさ)」をとったグラフに表すと、次の図の様になります。

太陽光の波長特性(光源スペクトル)@Wikipedia

太陽光の波長特性(光源スペクトル)

太陽の波長特性からは、以下のようなことがわかります。

  • 太陽は0nmに近い所から2500nmを越えるところまで様々な波長の光を放出している
  • 400nm〜700nm付近の可視光領域の光が最も強い
  • 赤外領域(700nm以上)の光は波長が長くなる毎に徐々に弱くなる

このように、波長特性からは、その光源がどの波長の光をどの程度の強度で出力しているのかということがわかります。

よって、「検討している光源が必要な波長をどの程度の強度で出力できるか」、「異なる2つの光源の特徴が具体的にどう違うのか」ということを定量的に知ることができます。

様々な光源の波長特性(光源スペクトル)

次に、実際に市販されている光源の波長特性を確認し、そこからわかる光源の特徴をみていきたいと思います。

光源は、元々、太陽の代わりになる灯りとして開発されてきました。ここでは、光源の歴史も踏まえながら波長特性を紹介します。

アーク灯の波長特性

19世紀から、電極間のアーク放電による発光を利用したアーク灯が普及しました。
特に炭素アーク灯は灯台用の光源として実用化された後、その明るさから街灯として使われています。

炭素アーク灯の波長特性(光源スペクトル)

炭素アーク灯の波長特性(光源スペクトル)

アーク灯の波長特性を見ると、波長が450nmより大きいところでは太陽光と非常によく似たスペクトルをしています。
一方、450nmよりも波長の短い紫外線領域では、太陽よりも光の強度が強くなっており、紫外線を多く出していることが分かります。

キセノンランプの波長特性

その後、キセノンガス中のアーク放電で発光するキセノンランプが、アーク灯の代替光源として使用されるようになります。
自然昼光に近く高輝度で演色性に優れているため、印刷製版、映写機、人工的な太陽光として使用される光源です。

キセノンランプの波長特性(光源スペクトル)

キセノンランプの波長特性(光源スペクトル)

キセノンランプ(キセノンアークランプ)の波長特性からは、可視光域全体の光が出ており、特に青から紫外線にかけての波長域(300nm〜400nm)の光が強いことが分かります。
キセノンランプなどが光っているところを見たことのある人であれば、
「なんとなく青っぽい」と感じたことがあるのではないでしょうか。

現在では、キセノンランプのプラズマ発光をレーザー励起で保持するレーザー励起白色光源も出てきており、「キセノンランプの広波長に及ぶ波長特性」と「高い輝度、安定性」を両立する光源として活躍しています。

レーザー励起白色光源 製品ページ

白熱電球の波長特性

次に家庭内で使用しやすい光源として、電気エネルギーを利用した白熱電球が発明されました。
白熱電球は、タングステンでできたフィラメントに電流を流した際に、電気抵抗で発生する熱の輻射を利用します。
この発明に成功したのが有名なトーマス・アルパ・エジソンです。

白熱電球の波長特性(光源スペクトル)

白熱電球の波長特性(光源スペクトル)

白熱電球は太陽と同じように、フィラメントの温度に応じた黒体放射で光を放ちます。
ただし、太陽より温度が低いために赤から赤外線の光が強くなっていることが波長特性からもわかります。

ハロゲンランプの波長特性

その後、白熱電球の内部にハロゲンを封入したハロゲンランプが発明されます。
ハロゲンを封入することで、白熱電球よりもフィラメントの温度を高くでき、さらに寿命が長いのが特徴です。

ハロゲンランプの波長特性(光源スペクトル)

ハロゲンランプの波長特性(光源スペクトル)

白熱電球に比べて温度が高いので、白熱電球より白見のある光になりますが、白熱電球と同じように赤外線領域での光が多いことが波長特性からわかります。

LED照明の波長特性

現在は、白熱電球から消費電力や寿命の面で優れている白色LED照明に移行しています。
白色LEDの原理にはいくつかありますが、コストの面から、青色LEDによる黄色蛍光体の励起を利用した方式が一般的です。

白色光源の原理と製品

LEDの波長特性(光源スペクトル)

LEDの波長特性(光源スペクトル)

白色LEDの波長特性から、励起光である青色LEDのスペクトルと励起される黄色蛍光体のそれぞれの波長のピークをもっていて、それらを合わせることで擬似的に白色が作り出されていることがわかります。

光源の波長特性を見る際に気をつけるべき点

様々な光源はそれぞれに特徴を持っています。
使用用途も様々あり、必要な波長が異なるので、用途に適した波長特性を持った光源を選択することが大切です。

例えば、UV硬化で使用されるレジンは特定の波長で固まるため、レジンが固まる特定の波長の光の強さを波長特性で確認する必要があります。

ただ単に「光源の出力が高い」という観点のみではなく、必要な波長での光の強さをしっかりと見るようにしてください。

光源の波長特性の気になるポイントを解説

なぜランプの波長特性はトゲトゲしているのか

各光源の波長特性で提示していたキセノンランプのスペクトル分布と黒体放射による連続スペクトルを重ねた図を用意しました。
キセノンランプの波長特性をみていると、黒体放射の連続スペクトルに対して、ところどころトゲが立っているのがわかるかと思います。

キセノンランプの波長特性と黒体放射によるの連続スペクトル

キセノンランプの波長特性と黒体放射によるの連続スペクトル

これは、連続スペクトルに対して光が吸収されて凹んでいる部分と、連続スペクトルに対して余分に光が発せられている部分があることを示しています。
これはキセノンランプの場合は、キセノン原子によって決まる波長で発生します。
その他のランプでもトゲトゲがあるものは、使われている元素にに応じて黒体放射の光が吸収されたり(吸収線といいます)、余分に光を出したり(輝線といいます)していることを示しています。

波長特性を自在に制御できる次世代光源とは

基本的に波長スペクトルは光源毎に決まっていますが、波長スペクトルを変更できる光源もあります。

波長可変光源が波長スペクトルを変更できる秘密は、複数の異なる波長のLEDを搭載しており、それぞれのLEDの出力をソフトウェアで調整することができるからです。

波長可変光源の波長特性(光源スペクトル)

波長可変光源の波長特性(光源スペクトル)

波長可変光源は、スペクトルを変更できる事で以下のような事を実現することができます。

  • 太陽光に近いスペクトルを実現できる。
    (また太陽と同じようにスペクトルを時間によって変更できる。)
  • 植物工場などで、植物の育成に有利なスペクトル(赤外線から赤と紫外線の組み合わせ)を実現できる。
  • 検査において、実際の使用環境と同等の環境下で確認することができる。

波長可変光源を利用して、人間のための照明、植物のための照明を発見し、それを複数の照明を組み合わせて再現するという研究が進んでいます。
波長可変光源に興味のある方は、ケイエルブイまでお問い合わせください。


波長可変照明 Telelumen Octa™

ケイエルブイの波長可変光源

ケイエルブイは、Telelumen、LED Motiveなど複数社の波長可変光源を扱っております。
用途や予算に応じて最適な1台をご紹介します。

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