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放電発光とは 原理から応用製品までを徹底解説

放電発光は、電極から出る電子線がガスや蛍光面に当たることで発光します。

本記事では、放電発光について詳しく紹介していきます。

放電発光とは

電気による発光には、電界発光と放電発光の2通りがあります。

電界発光は、電子と正孔が再結合することで電子の励起状態が基底状態に戻り、発光します。

一方、放電発光は真空に近い環境で電極に電圧を与えて、飛び出した電子(電子線と呼びます)がガスや蛍光面にぶつかり、エネルギーを与えて励起状態を作ることで発光します。
放電発光では、使用するガスや蛍光剤に使用する化学物質の種類によって発光色が異なります。

放電発光の色はどう決まるのか

電飾看板のネオンサインに使われるネオン管も放電発光を利用した装置のひとつです。ネオンサインのさまざまな色は、封入されているガスの種類で決まります。
例えば、放電色が赤色の場合はネオンガス、赤~青色はアルゴンガス、黄色はアルゴンガスといった具合です。
ただし実際には価格や明るさの観点から、大規模な照明ではネオンガスを封入したガラス管を、表示させたい色に彩色したものが使われます。
また、雷は大気の放電現象で、紫色に発光するのは、窒素の放電色が紫色だからです。

ガスの種類で色が変わる理由は、放電色が「分子の電子がどの軌道まで励起されるか」で決まるからです。
エネルギーが大きければより高い軌道まで電子が励起し、エネルギーが高い=波長の短い光を放出します。与えるエネルギーを調整すれば、同じガスでも違う波長=違う色で発光させることができるはずです。その発想で開発されたネオン管もあり、水銀とネオンガスを封入した蛍光管に電流の波形を調整する機能を取り付け、青白色~赤色まで変化させる製品も商品化されています。

放電発光を使用した光源

蛍光灯

蛍光灯は、放電発光と蛍光発光を組み合わせて利用しています。
蛍光灯に封入されている水銀ガスは電圧をかけると紫外線領域で発光します。これは放電発光によるものです。
発生した紫外線が管面の内側に塗布された蛍光剤に当たり、励起させて発光するのは蛍光発光です。

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キセノンランプ

放電発光はキセノンランプにも利用されています。

フィラメントに電流を流して電気抵抗を光に変える白熱ランプや、キセノンガスを封入して放電発光によって発光させるキセノンランプがプロジェクタ用光源や車のヘッドライト用光源として使われていましたが、現在は急速にLEDへの置き換えが進んでいます。
現在は、紫外線を使った殺菌など特殊な用途以外では滅多に目にすることはなくなりました。
なお消費電力を抑えるため、電極に半導体を使う放電発光の照明もあります。

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放電発光を使用した製品

CRT(ブラウン管)

昔のテレビは、CTR(ブラウン管)を利用していました。

CRTは巨大な蛍光灯のようなもので、蛍光灯がガラス管の内側に蛍光剤を塗っているように、CRTは映像の表示画面の裏側に蛍光剤を塗っています。表示画面に向かって電子線を打ち込んで、ぶつかった部分を放電発光させ、その連続によって映像を見せます。

電子線は電極からまっすぐ飛ぶので、そのままでは正面に光の点が見えるだけです。

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電子線の制御は、電極の前にコイルを巻いて電磁石を作り、磁力でおこないます。CRTは長く映像表示の雄として、テレビをはじめ多くの機器に利用されていましたが、熱が発生するため消費電力が大きくなる、高精細画像の表示には向かない、構造上小型軽量化が難しい、静止画を長時間表示すると焼き付け(一点に電子線が当たり続けるために蛍光剤が機能しなくなる現象)を起こすといった理由で、液晶ディスプレイにとって代わられることになりました。

プラズマディスプレイ

CRTの代わりとして、液晶ディスプレイと同じ時期に登場したのがプラズマディスプレイでした。

プラズマディスプレイは、表示画素が一種の蛍光灯で作られています。
まず、電圧をかけるとガスが紫外線を放ちます。蛍光面には光の三原色に蛍光する化学物質が塗られており、紫外線が当たると蛍光します。3つの極小の蛍光灯が1セットで1つの画素を作っているような構造です。

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プラズマディスプレイは当初、液晶ディスプレイよりも大型化が容易、表示速度が速いという2点で優れていましたが、液晶ディスプレイ技術が急速に向上したことや、画素のサイズが液晶ほどには小さくできなかったため、携帯のように高精細が求められた時流に乗ることができず、現在ではほとんど市場で見ることがなくなりました。
プラズマディスプレイのプラズマは、放電に際して封入されたガスが励起して電気を帯びた状態を「プラズマ」と呼ぶことに由来します。

放電発光を利用した分析

放電発光の光には、発光するガスや蛍光体の情報が含まれています。発光を周波数ごとに分析(スペクトル分析と呼びます)することで、試料の状態や構成する元素を知ることができます。
試料の分子を励起させる方法にはグロー放電やスパーク放電などがありそれぞれの特性に合わせて対象とする試料や分析方法が使い分けられています。

グロー放電発光分析装置

半導体や太陽電池など薄膜構造を持つ対象の表面を、放電発光を使って分析します。

試料を真空容器に入れ、電気が通りやすいようにごく薄くアルゴンガスを封入します。試料に電圧を変えると表面で放電発光が起きるので、その波長を分析し、薄膜を構成する元素を特定します。発光状態から、均一に薄膜を作っているか、元素の濃度にムラがあるかどうかもわかります。
試料が単一の元素ではなく、複数の元素が使われている場合でも、波長ごとに解析することで、正確な分布や量を調べることができます。

スパーク放電発光分光分析装置

グロー放電発光分析が薄膜試料を対象にするのに対して、スパーク放電発光分析装置は金属の塊が対象になります。
基本の仕組みは同じですが、試料に高電圧をかけて瞬間的に非常に強い放電であるスパーク放電を起こすことで蒸発させ、金属分子のガスが発する光を分析します。

含まれている元素が20種類以上もあるような複雑な合金でも、元素が含有する割合を分析できます。

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