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UV-LED光源(Primelite社 ALE1)のフィードバック機構の利点

UV照射器が使用される樹脂、接着剤硬化の生産現場では高い回転率で硬化を実施しつつ安定的、かつ効率的に運用することを求められます。

ALE1 のフィードバック機能は水銀ランプおよび従来のUV-LED光源とは異なる光源の構造を最大限に生かし、光の出力不足による樹脂、接着剤の硬化不足を防ぐことができる画期的な機能です。

本記事では、水銀ランプおよび従来のUV-LED光源の装置構造では実現できなかった、ALE1 のフィードバック機能のシステム構造、メリットについて解説していきます。

1. 接着剤、樹脂硬化で必要とされるスペクトル

接着剤、樹脂硬化では、対象物に照射する光のスペクトルバランスが重要となります。
樹脂、樹脂硬化では接着剤毎に硬化する波長が定められています。ただし、仮に 365nm が必要波長とされていたとしても、385nmや405nm 等の他の波長が硬化のスピード、硬度等に起因する場合があります。

また樹脂によっては波長によって硬化の深度が異なり、365nm は表面、400nm 以降の長波長側は深い部分を効果させるといったことが発生します。よって、このような場合は、複数の波長をバランスよく照射しないと、部分的な硬化不足につながる可能性があります。

2. 水銀ランプ・UV-LED光源の劣化による出力低下

前述したように、接着剤、樹脂硬化では一定であるべき波長毎の光出力ですが、水銀ランプやUV-LED光源の出力は、以下のような理由で使用時間とともに劣化してしまいます。

水銀ランプ

ランプの熱サイクルの影響や金属ハロゲン化物による腐食などによって起こるバルブ、ミラー、レンズの劣化により、徐々に出力が低下していきます。

UV-LED光源

LED素子や蛍光体など素材の時間劣化により、徐々に出力が低下していきます。
また、LEDは熱によって、出力の低下が加速するため、冷却装置を有しておらずLEDを連続して使用する場合には、出力の低下にさらに注意が必要です。

一般的な光源のスペックでは、光出力が50%〜70%に低下する使用時間を寿命として定義することが多いですが、UV接着やUV硬化など光出力の低下が品質に直結する場合は、生産ライン毎により厳しい基準を設ける場合もあります。

ランプ劣化グラフ

3. 水銀ランプ・UV-LED光源のフィードバック機能

そこで、一部のUV照射器には、発光強度をセンサーでモニタリングし、「出力の低下」を検出した場合に、電源にフィードバックを送り、電流値の増加により出力(光量)を調整する機構が備えられています。

光源のフィードバック機能概念図

このフィードバック機能により、通常は徐々に落ちていく光出力を電流の増加で相殺することができるので、電流値が最大に達するまでは、常に安定した出力を得ることができます。

フィードバック機能による電流値

フィードバック機能に関して、水銀ランプやUV-LED光源で内容が異なるので、その点について詳しく紹介していきます。

フィードバック機能 スペクトル考慮
水銀ランプ ×
従来UV-LED光源 ×(※1) ×(※1)
Primelite ALE1

※1:外部で実現する必要がある。

①水銀ランプのフィードバック機能

水銀ランプのフィードバック機能は、ランプ全体の出力調整になるため、スペクトルの各波長毎の強度までは測定していません。
つまり、全体出力で出力低下のアラームの閾値を決めたとしても特定の波長だけが劣化しているような場合には、波長のバランスが崩れて、接着剤や樹脂の硬化不足につながる可能性があります。

light-source-feedback-function-marcury.jpg
ポイント
  • 内部に光センサー内蔵
  • 光出力全体をモニタリングしているため特定波長の監視は不可
  • 特定波長の低下による硬化不足が発生する

②従来のUV-LEDのフィードバック機能

従来のUV-LED光源は構造上フィードバック機能を搭載していません。
これは、電源ボックスから伸びたLED ヘッドの先端にLED が実装されており、パワーメーターの内蔵ができないためです。

このタイプの場合は、1 ヘッド:1 波長となるため、水銀ランプのようにブロードなは波長を照射するためには複数ヘッドを用意し照射スポットに向けて光を重ねあわせる必要があります。
また、仮に各波長にフィードバックをかけるとするとスポットの先に分光器を配し、スペクトルをモニタリングし光源側にフィードバックを働きかける必要があります。

light-source-feedback-function-led.jpg
ポイント
  • 1 ヘッドで複数波長の照射不可
  • ヘッド先端にLED が実装されているため光量のモニタリング不可
  • 外付けセンサーを用意し、測定、モニタリングする必要がある
  • 外付けセンサーのデータを光源にフィードバックする必要が発生し構成が複雑になる。

3. Primelite 社 ALE1 のフィードバック機能

ALE1 は最大5波長までのLED を内蔵可能な、UV-LED光源です。
装置内部のLED にカートリッジ方式をとっており、これによりケーブル先端にLED素子がついている従来のUV-LED光源と比較して、「高度なフィードバック機能を搭載できる」、「LED 波長の入れ替え、増減が容易」、「LEDの冷却が容易」という点がメリットとしてあげられます。

今回注目するALE1のフィードバック機能は、装置内に搭載した各波長のカートリッジに光センサーを設置し、出力が低下している場合には電流値を増加させることで、自動で設定した出力を保持します。
各波長のカートリッジ毎に制御を行うため、水銀ランプや従来のUV-LED光源で懸念される特定の波長の出力低下の防止(スペクトルを考慮)も実現できます。

light-source-feedback-function-ale1.jpg

ポイント
  • LED カートリッジ方式を採用
  • 波長ごとに光出力を測定
  • 出力が低下すると電流値を上げ、出力を補正
  • 特定波長の低下による硬化不足を防ぐ

4. まとめ

UVを用いた樹脂、接着剤硬化に関して、光源の光出力を一定に保つことは、ばらつき低下、歩留まり向上の観点で重要です。またその際に、樹脂、接着剤硬化に重要な波長の光出力がどうなっているかという点にも注意が必要です。

この点に関して、ランプやLEDは劣化が発生するため、光源の光出力を一定に保つためには、「フィードバック機能」が欠かせません。
そして、光源を検討する際には、フィードバック機能の内容も確認していただきたい点です。

PrimeliteのALE1は、波長毎の出力を個別で確認してフィードバックをかけることができるため、LEDの劣化による生産プロセスでのばらつき低減、歩留まり向上を実現することができます。
UV硬化工程の樹脂、接着際硬化において、ばらつきを低減、歩留まり向上をされたい場合には、ぜひKLVまでお問い合わせください。

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