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光の「波長」とは、「光の波の1回分の長さ」、すなわち「山と山の間隔」です。そして、この波長が変化することで、光は色などの性質が変わります。
本記事では、「光の波長とは何か」、「波長の違いにより性質がどう変わるか」を詳しく解説していきます。
私たちがものを見ることができるのは「光」があるおかげです。
このことを最初に指摘したのは11世紀のイスラム科学者、イブン・スィーナー(アヴィセンナ)でした。 その後も多くの科学者が「光」について研究しました。 そして、「光の速さはどれくらいなのか」「色が見えるのはなぜなのか」など、光にまつわる研究から、 粒子説(光とは粒である) 波動説(光とは波である) という2つの説が出て来て、長い間対立してきました。
今回は「波長」の話なので、「光は波である」という説に基づいて、光の「波長」による様々な性質を紐解いていきます。
まずは,「波」と「波長」の関係について説明します。
下図に示すように、「波」には、「山」と「谷」が交互に存在します。 この時の「山の高さ」や「谷の深さ」を「振幅」、「山と山の間隔」または「谷と谷の間隔」を「波長」と呼びます。
振幅は「山の高さ」や「谷の深さ」で、光の強さを表しています。振幅が大きいほど光が強いことを示します。
波長は「山と山の間隔」または「谷と谷の間隔」で、これによって光の色などの性質が変わります。
先ほどの図において、上の波は山と山の間隔が広く、下の波は狭くなっています。 上の波は「波長が長い」、下の波は「波長が短い」として区別します。
光の性質の違いの一例として、光をプリズムに通した際に、図の様に虹色の7色に分解されるということがあります。これは光が持つ「波長が短くなるほど屈折率が大きくなる」という性質の変化によるものです。
波には波長と関連する概念で「振動数(周波数)」があります。これは1秒間に何回山や谷がくるのか、言い換えると1秒間に波がいくつ入っているかを示す値です。 1秒間に波が進む距離は秒速約30万kmで一定なので、 波の速さ=波長×振動数 から、「波長」と「振動数」が逆数の関係になることがわかります。 つまり、振動数がわかっていれば波長が、波長がわかっていれば振動数がわかります。
では、波長やそれによる性質によって光がどのように分類されるかを見ていきたいと思います。
私たちが、日常で体感する光の波長による性質の違いは「色」です。 人間が見ることのできる波長の範囲は、だいたい380nmから780nmで、この範囲を「可視光」と言います。 波長の短い光は紫色に、逆に長い光は赤色に見えることがわかっています。
では、この範囲より外の目に見えない光にはどのような性質があるのでしょうか?
19世紀の電磁気学の研究から、人間の目で見える光(可視光)は「電磁波」と呼ばれる波のごく限られた波長帯であることがわかりました。私たちが見ることのできない波長の範囲においても様々な性質を持った光が存在します。
可視光から波長の短いところに目を向けると、最初に出てくるのは「紫の外側」という意味で「紫外線」と名付けられている光です。
そして、更に波長が短いところには、「X線」「γ線」があります。 それぞれの境目は次のように決められています。 ・紫外線とX線の境:10nm(10-8m) ・X線とγ線の境:1pm(10-12m)
「X線」という名前は、発見された当時は「未知の放射線」とされたため、数学で「未知」を表す「X」から名付けられました。 また「γ線」は原子が崩壊する際に放出される放射線を、発見された順番に「α線」「β線」「γ線」と名付けていたことに由来します。
逆に赤色よりも波長の長い電磁波の方も見て行きます。 最初は「赤の外側」という意味で「赤外線」です。780nmから1mm(10-3m)までを指します。
そして、赤外線よりも長い波長の電磁波はすべて「電波」と呼ばれます。 電波は通信で使われることが多い波長帯です。テレビやラジオ、携帯電話の通信もすべて電波で行われています。
携帯電話の通信周波数帯で「700MHz帯」「2GHz帯」などの表示を目にすることがあると思います。この「700MHz」という周波数(振動数)は、波長にすると約43cmぐらいです。
計算式 波の速さ=波長×振動数 3×108m/s=波長×(700×106)Hz 波長= 3×108÷(700×106)=3/7 ≑ 0.43m
それぞれの波長の光(電磁波)がどの様に使われているのか、人体にどの様な影響があるのかを波長の長い光から順に紹介します。
ここから、人体への影響は波長が短くなるにつれて影響が大きくなることがわかります。
一方、アプリケーションは、波長の長い電波は通信で使われることが多いのに対し、波長の短い紫外線、X線、γ線は殺菌などに使われるといいう特徴があります。
波長の長い電磁波が通信に使用されるのは、波長の長い光が、雨や霧などの障害物に強く、ビルなどでも反射されにくく、回折によって障害物の後に回り込む事も可能という特徴があるためです。 長波長の中でも、国際ラジオ放送は短波が、航空無線などは中波が、さらには潜水艦への通信には長波が使われたりします。
逆に波長の短い電磁波は、回折せず直進性が高いといいう特徴があります。 また、波長が短くなるほどエネルギーが強くなるという特徴もあり、電波よりも可視光線の方がレーザー通信など、通信の際の情報量も増やすことが可能です。
そして紫外線よりはX線が、X線よりはγ線の方がエネルギーはさらに強くなります。 そのため紫外線よりも短い波長は人体への悪影響が出ますので、細菌などを死滅させる殺菌にも使われます。 また、細胞組織を破壊できるほどのエネルギーを人の役に立つ治療として活用する例として、γ線による癌治療などもあります。
光を出力する光源は、種類毎に様々な波長特性を持っており、それによって用途も変わってきます。
光源の波長特性の詳しい内容に関してはこちら→「光源の波長特性とは」
分光によって、「光を波長毎に分ける」ことが可能です。
ここまで述べてきたように光は波長毎に性質が異なるため、波長毎に分けられた光からいろいろなことを知ることができます。
分光には色々な種類があり、記事中に例のあった「プリズム」の他に「回折格子」や「光学フィルター」を使用した方法があります。また、用途も「水分測定」、「食品分析」、「オイル・ガス分析」など様々なことが可能です。
分光の詳しい内容に関してはこちら→「分光器とは」
最後に、可視光の光を分光する際に、最適な分光器をご紹介します。測定したデータを同社のシミュレーション光源で再現することもできる優れた製品です。
Photonfyはスマートフォンで操作可能な光の色情報を測る分光器です。 保証されている精度の高さ、レポート作成機能(植物、概日リズム、芸術向けなど)の充実さが魅力です。 測定したデータは同社のシミュレーション光源で再現できる事も魅力の1つです。
製品詳細
人の目で感じ取ることができる波長は、「Red:赤」「Green:緑」「Blue:青」の3色です。 色鮮やかに見える世界も、すべての色はこの3色の組み合わせで見えていると言われています。
これは、人間の目にある3種類の視細胞によるものです。 3つの細胞がそれぞれ赤、緑、青の3色の波長の可視光線に対応しているので、人間は3つの波長帯しか認識できないのです。
図は人間の視細胞の感度を表しています。赤と緑は比較的近く、青が少し離れているため500nmの波長付近は感度が低い事がわかります。
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