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広帯域光源の発光原理と特長(SC光源,ASE光源,SLD光源の比較)

昨今、レーザーのように高出力で指向性が高い上、広い波長範囲で照射が可能な広帯域光源が多く市場展開されております。本記事では、広帯域光源として使用されるスーパーコンティニューム(SC)光源、ASE光源、SLD光源の発光原理や特長について解説します。

1.3種の光源(SC光源,ASE光源,SLD光源)の比較

SC光源,ASE光源,SLD光源について、基本仕様を中心に比較してみました。

SC光源 ASE光源 SLD光源
波長帯域
分光特性 ×
光強度
安定性
価格 ×

SC光源は白色光で広帯域ですが、種光源の波長がピークになっている為、全ての波長が安定的に使用出来るとは限りません。光源本体も比較的高価で、特定波長を照射可能にするアクセサリー等を揃えると、さらに高額になります。
ASE光源は比較的広帯域な波長が発生しますが、各波長の出力ピークが異なる為、SC光源と同じく照射波長範囲全てを安定的に使用出来るとは限りません。
SLD光源は中心波長に対する出力のバラつきはない為、分光特性は安定しています。ただし、出力はSC光源やASE光源程高くはありません。

2.スーパーコンティニューム光源(SC光源)の発光原理と特長

スーパーコンティニューム光源(以下SC光源)はスーパーコンティニューム発生を利用した白色のレーザー光源です。
高強度の光を非線形光学媒質に注入すると媒質中の非線形光学効果(自己位相変調、四光波混合、ラマン散乱など)によりスペクトルが非常に広がる現象を原理としています。

SC光源の発光原理
SC光源の発光原理

波長範囲は約400-2400nm(非線形媒質の材料に依り異なります)と広帯域に渡り、数百mWクラスの高出力、光位相が揃ったコヒーレント光であることが特長です。
ハイパースペクトルカメラと併用して分光分析の範囲を拡張、光部品の波長依存性測定、OCTなどへの利用が可能です。

3.ASE光源の発光原理と特長

ASE(Amplified Spontaneous Emission)光源とは、ファイバー内にドープさせた希土類元素(レアアース)を利用して誘導放出光と呼ばれる高出力光を発生、照射する光源です。光ファイバー内で発生する仕組みを利用している為、光源からの光を低損失で光ファイバーに入射出来るメリットがあります。
高輝度で広帯域、かつ安定性に優れる低コヒーレンスな光源の為、FBGを利用した各種光センサ、OCT、光ジャイロ、ガスセンサ、光通信部材の評価測定などの光源として使用されております。

ASE光源の発光原理
ASE光源の発光原理

4.SLD光源の発光原理と特長

SLD(Super Luminescent Diode)光源とは、発光ダイオード(LED)と半導体レーザ(LD)の2つの特性を持った広帯域光源です。
SLDは、LEDやLDと同様に、P型半導体( + :positive 正孔が多い半導体)とN型半導体( - :negative 電子が多い半導体)が接合された「PN接合」で構成されたチップに順方向の電圧を掛ける事で光が発生します。

チップの中を電子と正孔が移動し電流が流れます。移動の途中で電子と正孔がぶつかると結合(この現象を再結合という)し、その際に生じた余分なエネルギーが光のエネルギーになり発光する仕組みです。
SLD光はP型とN型の中間に位置する活性層を、上記で発生した光が進むにつれ誘導放出で増幅される事で作り出されます。
既述の通り、LEDと発光原理は同じなので放出光は光位相が不揃いで波長も幅があるため、最終的にSLD光も低コヒーレンスでブロードなスペクトルになります。
SLD光源は広帯域および多波長の光を高効率・低損失でシングルモード・ファイバーから出力出来る為、波長掃引幅が要求されるOCTや安定性が必要な通信部材の評価、出力が求められるFBGセンシング等をメインアプリケーションとして活用されております。

SLD光源の発光原理
SLD光源の発光原理

5.他広帯域光源と比較した際のSLED光源のメリットとアプリケーション

広帯域光源の中でSLD光源は波長帯域と出力に欠けるという欠点があります。
弊社ではこれらをカバーする、複数SLDチップを搭載したLUXMUX社の BeST-SLEDⓇを取り扱っております。コアとなるバタフライパッケージ内に複数チップを搭載している為、通常SLD光源装置では実現出来ない、広い波長帯域をカバーしております。

Spectral Engines社NIRONEの実行手順

加えてLUXMUXは特許技術の”Spectral Stiching”技術により、省スペース且つ高効率(少消費電力)で複数波長を出力または合波することが出来る為、出力を低下させる事なくファイバーからSLD光を照射する事が可能です。

Spectral Engines社NIRONEの実行手順

LUXMUX社オリジナルソフトウェアと連動して運用する事で各SLDチップを独立制御することができるため、お客様のお好みの波長・駆動(点灯周波数など)・出力を再現することが可能です。
またLUXMUX社のBeST-SLEDⓇはコストパフォーマンスにも優れています。ASE光源や通常SLD光源の場合、必要な波長帯域毎に光源装置を用意する必要がある為、トータルコストで考えると高価になりますが、BeST-SLEDⓇは1台で広波長帯域をカバーしている為、結果的にはコストを抑える事が可能です。
広い波長帯域、高出力及び可変機能、低コヒーレンス光と多くのアプリケーションに求められる仕様を満たしているBeST-SLEDⓇは多岐に渡り活躍出来ます。通信関連部材や光部品の波長依存性測定、OCT、FBGセンシング、ガスセンサと評価治具用途光源としても装置への搭載光源としても優秀です。
特に光通信部材の評価に関しては、複数波長を検証する場合、複数光源装置で行う必要がありますが、これでは個々の光源装置の安定性や出力のバラつきも結果に反映されてしまう為、評価結果の整合性を取る事が困難です。
一方、既述の通りBeST-SLEDⓇは1台で複数波長帯域を評価する事が可能ですので、評価結果の整合性を取る事が容易です。仮にBeST-SLEDⓇ光源本体に変動があった場合でも検証時に使用している装置は1台の為、校正や結果についてバラつきを考慮する事が容易となります。

広帯域光源個々に特長があり、得意としている分野がある事は間違いありませんので、アプリケーションや求められる仕様に合わせて光源を選定する必要があります。
しかしながらBeST-SLEDⓇは既述の通り、通常のSLD光源装置と比較すると複数の特化した仕様を持ち合わせている為、使用頂ける範囲は多岐に渡ると考えられます。
弊社ではBeST-SLEDⓇのデモ機ご準備がございますので、ご興味がございましたらお貸出にてご評価頂く事が可能です。是非御問合せ下さいませ。

SLD光源とは

SLD光源BeST-SLEDⓇ

SLD光源BeST-SLED

BeST-SLED(SLD光源ユニット)は、32ピンのバタフライパッケージのSLD光源を搭載した光源ユニットです。
ヒートシンクや自動ファン制御による温度制御機能を有しているほか、USB/Ethernet通信にて各SLDの独立制御が可能です。

製品詳細

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