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キセノンランプの特徴・種類・アプリケーションを解説

光源として、様々なところで利用され普及してきたセノンランプですが、近年ではランプからLEDや特殊光源への置き換えも徐々に進んでいます。
本記事では、キセノンランプの構造、特徴、種類などを紹介した上で、置き換え光源などについても紹介していきます。

キセノンランプの構造

キセノンランプはアーク放電を利用したアーク灯の一種です。

キセノンランプの構造を見てみると、アーク放電を行う電極(陽極と陰極)が数 mm 程度離して配置されていることがわかります。
それを石英ガラス管に収め、キセノンガスを封入します。ここに端子から電流を流すと、陽極と陰極の間でアーク放電が発生し、キセノン原子内の電子が励起、または電離されます。
「励起した電子が基底状態に戻る際に線スペクトル」を、そして「電離した電子が再結合する際に連続スペクトル」を出すため、幅広い波長の光が放出されます。

キセノンランプの構造
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キセノンランプの特徴

キセノンランプの点灯にあたってはアークを形成するために30~40kV の高電圧をかけてブレイクダウンを行う必要がありますが、立ち上がり時間が他のランプに比べると短いのが特徴です。

また、点灯時に石英管の中は2~4MPaと高圧になりますので、石英管にはそれに耐えられるだけの強度が必要となります。
さらにキセノンランプは白熱電球などフィラメントを加熱するタイプの光源ではないため、フィラメント過熱型のランプと比較して寿命が長いのが特徴です。
ちなみに、白熱電球のバルブ内にキセノンを封入した電球もありますが、それはキセノンランプとは呼びません。

キセノンランプの波長特性

キセノンランプの出す光は太陽光に近い波長特性を持っています。
だいたい300~800nm の範囲、つまり紫外線から赤外線の範囲にかけては、太陽光を再現していると言っても良いほどです。そのため演色性に優れて安定した光源として活用されます。

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キセノンランプの種類

キセノンランプには大きく3つに分けることができます。

  1. キセノンショートアークランプ
  2. キセノンロングアークランプ
  3. キセノンフラッシュランプ

それぞれの特徴を紹介します。

1. キセノンショートアークランプ

キセノンショートアークランプは、アーク放電を行う電極間の距離が数mm 以下と短いのが特徴です。
そのため発光領域がキセノンランプの中では小さく、輝度の高い光源です。
光源の波長特性は、歌詞から近赤外領域にかけて、太陽光の波長特性とにており、ソーラーシミュレーター光源としても使用されます。
直流での使用が一般的で、キセノンランプの中でも最も多くのアプリケーションで使用されます。

2. キセノンロングアークランプ

キセノンロングアークランプは、アーク放電を行う電極間の距離が5cm~10cm 以上と長くなっています。
交流での使用が一般的で、非常に高温となるため空冷または水冷方式での冷却が必要です。
非常に大きな光束が得られるため、建造物や競技場で使用される投光照明として利用されます。

3. キセノンフラッシュランプ

キセノンフラッシュランプはキセノンロングアークランプの亜種です。
コンデンサを電源とすることで、非常に短いパルス光を発する光源に特化しています。
そのため高温になることがないためキセノンロングアークランプに必要な冷却が不要になっています。

キセノンランプの使用用途

キセノンランプはどの様なシーンで使われているのでしょうか。
先に述べた3種類のキセノンランプそれぞれについて紹介していきます。

1. キセノンショートアークランプ

まずはキセノンショートアークランプです。
このタイプのランプは主に次のような用途で利用されています。

①照明

  • 舞台照明用光源
  • 自動車のヘッドライト
  • 手術灯
  • 内視鏡用光源

「照明」としての利用方法としては、サーチライトやヘッドライトのような単純に高い輝度が求められる光源としての利用もありますが、高い演色性を活かした舞台照明や手術灯などへの利用があります。
特にうまくフィルターをかぶせて使えば、太陽光と同じスペクトルを得ることができますので、厳密な色再現性が求められるシーンでは無類の強さを発揮します。
また近年は小型化が進み、内視鏡用の光源としても使われるようになっています。

②投影用光源

  • 映画投影用光源
  • 大型スライド投影機
  • 大型プラネタリウム用光源

「投影用光源」としては映画館で使用される映写機などで使われています。
こちらも高い演色性と高輝度が活躍する場面ですので、キセノンランプが使われます。最近は LED を使ったビデオプロジェクターで上映する館が増えて来ましたが、まだまだフィルムを使った映画館では使われています。
また以前は大型プラネタリウムの光源としても利用されていました。

③試験用光源

  • 環境試験機
  • ソーラーシミュレーター
  • 分光分析用光源

最後に「試験用光源」としての利用です。
太陽光に近いスペクトルを持っていますので、太陽光パネルの発電効率を調べるための光源、紫外光による褪色や劣化などの耐久テスト用の光源としても使われます。
また、幅広い波長の光を出力できるため、分光分析用の光源としても非常に有用です。

2. キセノンロングアークランプ

キセノンロングアークランプは、広範囲を照らす必要のある大型光源として使われることが多く、空港での航空機誘導等などが主な用途です。
その他、レーザー励起光源としても利用されます。

3. キセノンフラッシュランプ

キセノンフラッシュランプは、写真撮影用のフラッシュなどで使われています。
写真館などできっちりとした記念撮影を行う場合のフラッシュでや一眼レフカメラのフラッシュなどもこのランプが使用されます。ただ最近はスマートフォンで写真を撮る人が増えていますので、使われるシーンは減ってきています。

他にも少し変わった利用法として、皮膚の血流を改善し、創傷治療や火傷による傷の再生促進を行う装置としての利用があります。
これは「キセノン光線治療器」と呼ばれ、美容分野でもアンチエイジング(しわ取り)などで利用されています。

キセノンランプの今後と代替光源

最後にキセノンランプの今後について考えてみたいと思います。

キセノンランプは家庭用よりも、業務用で使われることが多い光源です。
そして、大きな光量(高輝度)が必要なシーンでの利用が中心のため、光量の大きさ、波長範囲やコスト面の理由からまだキセノンランプが活躍している場面が見られます。

しかし、LEDの輝度も高くなってきており、自動車のヘッドライトなどの照明用や投影用の光源などではLEDに置き換えが進んできています。
そして、キセノンランプに変わる光源として優れた光源が次々に開発されており、試験用光源でも徐々に置き換えが進んでいるので、そのような光源をいくつかご紹介します。

キセノンランプの代替光源(優れた光源)

キセノンランプの波長範囲を生かしつつ、弱点の安定性を克服
レーザー励起白色光源

キセノンランプは放電を利用するため安定性に欠ける点が弱点です。特に分光分析を行うにあたっては光の安定が大変重要ですので、高い精度での解析が必要な場合には、この点が課題となります。

この課題に対して、キセノンランプをレーザーで励起するタイプの光源が存在します。
この光源は、不安定な電極間の放電による光ではなく、安定したレーザ光での励起による光を出力するため、発光点が小さく輝度が高い上に、空間的にも時間的にもより安定しており、分光分析に最適です。

レーザー励起白色光源XWS-65

レーザー励起白色光源

レーザー励起白色光源”XWS-65”は、一般的に高出力が難しい深紫外の190nmから、可視光、さらに近赤外線の2500nmまでの広い波長域を持っており、更にこれらの波長を高輝度で、安定して出力することができます。

製品詳細

本当の意味でのソーラーシミュレーター、太陽光の時間変化をも再現
波長可変光源

キセノンランプは太陽光と波長特性が似ている為、ソーラーシミュレータとして使用されてきましたが、太陽の代表的な波長特性しかシミュレートできません。

一方、実際の太陽は、場所、時間などで様々な波長特性を持っています。この変化をも再現できるようにしたのが、波長可変光源です。波長可変光源は、複数のLEDの出力を制御することで、様々な波長特性を再現できるようにした光源で、1日の太陽の波長変化を再現することが可能です。

物体は当てられる光によって見え方が変わるため、ディスプレイや表示板の視認性などは、様々な環境下で評価されることが望ましく、そのような場面でも波長可変光源が活躍します。

波長可変照明 Telelumen Octa™

波長可変光源

ケイエルブイは、Telelumen、LED Motiveなど複数社の波長可変光源を扱っています。
用途や予算に応じて最適な1台をご紹介します。

製品一覧

波長帯域の問題を複数LEDで克服。可視〜近赤外をバランスよく出力することが可能
分光分析向けLED照明 

LEDは単体では広い波長帯域で連続的なスペクトルを出力することができないため、複数波長のLEDを組み合わせることでハロゲンと同じような400〜900nmの広波長帯域を実現します。
LEDが持つ、長寿命、低発熱というメリットを生かしながら、スペクトルの均一性やコストなどのデメリットを克服しました。

LEDは配置の自由度が高いため、バー型、リング型、プロジェクター型照明と用途に応じて最適なものをお選びいただけます。

ハイパースペクトルカメラ用LED照明

ハイパースペクトルイメージング用LED照明 HSI Range

可視~近赤外の波長範囲に対応したハイパースペクトルイメージングおよびマルチスペクトルイメージングなどの分光分析アプリケーションに適したLED照明です。

製品詳細

光源コース

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