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UV接着とは、UV(紫外線)を当てることで硬化する特殊な樹脂“紫外線硬化樹脂”を使い、接着を行うことを指します。
UV接着はスマートフォンやデジタルカメラ、液晶ディスプレイの組み立てなど幅広い分野で活用されています。従来の硬化方法と比較して乾燥工程が不要で高速に接着が可能であること、UV-LEDの台頭により環境にやさしい方法となっている事から活用の幅が広がっています。
このページでは、世の中で使用されている各種接着剤の特徴、その中でのUV接着の優位性、実際に接着材を選定するにあたり必要なポイントについて詳しく解説していきます。
接着には様々な方法があり、接着剤の主成分や硬化法など様々な観点で分類することが可能です。以下の表に示すように、硬化の原理だけでも様々な方法があることがわかります。
今回は、産業向けに活用の幅が広がっている「UV接着」に着目して、これまで使われてきた「熱硬化接着」との違いを踏まえながら、特徴をお伝えしたいと思います。
UV接着の接着材は大きく2種類に分類されます。
1つ目はラジカル重合によって硬化するアクリル樹脂、もう1つはカチオン重合によって硬化するエポキシ樹脂です。
現状は樹脂のバリエーションやコスト面からアクリル樹脂が多く使用されています。ただし、カチオン重合タイプは酸素による硬化阻害を受けず、硬化時の収縮が起きにくい事からレンズ等、位置精度が求められるアプリケーションに有効であり、用途に応じて使い分けることが重要となります。
UV接着剤は、紫外線に反応して「光重合反応」という化学反応が起こり、分子量の小さな物質(モノマー)が結合し分子量の大きな(ポリマー)になります。 この時、材料の融点が上昇するため、液体が個体となり接着(硬化)するという原理です。
UV硬化の仕組み
熱硬化樹脂は熱によって硬化反応を示す物質のことで、主にフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などがありますが、接着剤としてはエポキシ樹脂が使用されています。
これらの樹脂は樹脂単独や硬化剤と共に使用され、加熱されある温度に達すると樹脂がゲル化し、ゲル化の割合が増えることで固体(ガラス状態)に変化します。 そして、さらに加熱を行うとふたたびゴム状態を経てガラス状態に達します。このように2段階の加熱を行う事で耐熱性の高い硬化を行うことが出来きます。
UV接着と熱硬化接着の違いをいくつかの観点でまとめてみました。
熱硬化樹脂は熱を使用する接着剤を用いているため1度硬化してしまえば熱に対して強く、非常に硬くなるためせん断力に対して強くなります。
デメリットとしては硬化に時間が掛かることとアウトガスがあげられます。 硬化の時間に関しては、短いものでも10分、長いと1時間近く時間がかかります。そのため、長時間の加熱によるサンプルへのダメージに気を配る必要があります。 また、アウトガスに関しては、急速に加熱を行う際に接着剤成分がガスとして発生します。硬化させた製品や製造装置に蒸着し影響を及ぼすことや気泡のように接着物との間に残るため、注意が必要です。
UV接着のメリットとして最も大きな点は硬化速度です。 紫外線硬化樹脂ではわずか数秒で硬化、接着を完了することができるため、高い生産効率が実現できます。
また、熱硬化樹脂は硬化に必要な熱硬化炉や乾燥炉などの設備が必要となりますが、UV硬化樹脂の場合はUV照射器のみになりますので設備もコンパクトになります。紫外線硬化樹脂もアウトガスは発生しますがその量は熱硬化樹脂よりも少ないです。
近年はUVLEDの開発が進み、高出力かつ長寿命の製品が販売されているため、従来の水銀ランプが不要となり環境面にも優しい手法となっています。
UV接着剤の選定にあたり気を付けるべきポイントについてご紹介します。
詳しく見ていくと多岐にわたり考えていく必要があるのですが、大きく分けると以下の4点になります。
基本的に硬い対象物には硬い接着剤、柔らかい対象物には柔らかい接着剤を使用します。 また、硬化させた後の対象物に衝撃が加わる懸念があるのであれば、硬化後に柔軟性の高い接着剤を使用することで接着材のひび割れを防ぐことが出来ます。
硬化に必要な光量の条件(積算光量)は接着剤によって異なります。 生産現場での使用を想定するのであればなるべく短い時間で硬化する接着剤を選定する、もしくは、強度の強い紫外線照射器を使用するなどの工夫が必要です。
粘度は接着剤の硬化前の柔らかさを表します。
例えば表面がざらざらしたような対象物であれば厚塗りが出来る粘度の高い接着剤を選択する必要があります。低粘度の接着剤は水っぽいのでしみ込んでしまうような対象物には向きません。 一方、ポッティングの場合には低粘度が優れています。
粘度を選択する際の参考に、身近なサンプルの粘度を紹介します。
耐熱性や耐薬品性、耐湿性など硬化させた後の使用環境に合った接着剤を選定する必要があります。 また、嫌気性、2液式など保管のしやすさもUV接着剤によって異なるため目的に応じて使いやすいものを選択することが出来ます。
ここまでの”UV接着の特徴”や”熱硬化接着との比較”を踏まえて、UV接着が注目されている理由を3つ紹介します。
UV接着は熱硬化接着と比較して硬化までの時間が非常に短くなります、また乾燥の工程も不要なため自動車などの大量生産の場において、非常に高い生産性を持ちます。
熱硬化接着の場合、アウトガスのような有害物質の発生が、製造面、環境面において課題となりますが、UV接着ではその点をほとんど懸念する必要がありません。
従来はUV光の発生に水銀ランプが使用されていましたが、UV-LEDの高出力化によりUV-LEDの活用が進んでいます。UV-LEDは、水銀に関わる環境問題の対策になることから助成金が交付されるなど市場への導入が加速しています。
ケイエルブイ株式会社ではスポットライト式としては最も強い光量をもち、多波長を同時に出社可能なUV-LED照射器を扱っています。 高出力によるタクトタイムの短縮や多波長照射によるステップ硬化など、熱硬化などの他の硬化方式からUV接着への移行をお考えの方、水銀ランプからUV-LEDへの移行をお考えの方に最適な製品です。
UV接着用途で活躍する超高出力のUV-LED光源です。 最大5種類のLEDを内蔵できるため、365nm〜の様々なピークを持つ複数のLEDを合わせて幅広い波長の光の出力も可能です。
UV接着は生産性効率に優れ、環境への対策もされたクリーンな接着方式であることから、様々な現場で普及が進んでいます。
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