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紫外光(紫外線)とは 用途と光源を解説

光(電磁波)は波長によって様々な名称が付いています。
ここでは紫外光(紫外線)を取り上げ、どの様な種類や特徴があるのか、またどのような用途があるのかを解説していきます。

紫外光(紫外線)とは

紫外光(紫外線)の波長

紫外線は可視光線よりも波長が短く、10~380nmの範囲の電磁波を指します。
10nmよりも波長が短いものはX線、逆に380nmよりも波長が長いものは可視光線です。

紫外光の波長

紫外光(紫外線)の種類

紫外線は波長によって大きく2つに分けることができます。

1.近紫外線(200~380nm)

紫外線のうち可視光線に近く波長の長いものが”近紫外線”です。大気を透過して地上にまで届くことから、人体や環境に様々な影響を与えることが知られています。

そして、この近紫外線はさらに3つに分かれます。

名前 波長 特徴
UV-A 315~400nm 可視光線の紫色の部分を含んでいます。
太陽からの光に含まれていて、日焼けや皮膚の老化を促進します。
UV-B 280~315nm 太陽からの光に含まれています。
浴びると短時間でも赤くひりひりする日焼けを起こしますが、ビタミンDの合成にも使われます。
UV-C 200~280nm オゾン層で遮られるために地表には届きません。
強い殺菌作用など、生体に悪影響を及ぼします。

2.遠紫外線(10~200nm)

紫外線のうちX線に近い、波長の短いものが遠紫外線です。
太陽由来のものや宇宙からやって来るものはすべて大気中の酸素分子や水分子(水蒸気)で遮られ、地上には届きません。

紫外光(紫外線)の用途

紫外光の用途は、大きく分けると「殺菌」「蛍光」「分光分析」「成分変化」の4つの分野です。それぞれの用途を4つの分野を紹介していきます。

紫外光のアプリケーション

1.紫外光を用いた殺菌

殺菌は紫外線の持つ強いエネルギーが細胞を破壊する特徴を利用したものです。病院などの医療施設や生物系の研究所では道具の殺菌は紫外線ランプを用いて行っています。
また加熱殺菌ができない食品などに対して、紫外線殺菌が行われている場合があります。

特に波長が260nm付近(厳密には253.7nm)の紫外線は殺菌効果が高いことがわかっています。これは細菌内のDNA(デオキシリボ核酸)がこの波長の紫外線を吸収する特徴を持っていることからで、大量に照射することによりDNAの変質を起こし、細菌を死滅させることができます。
この波長の紫外線を「殺菌線」とも呼ぶこともあります。

また、近年では222nmの紫外線は、繰り返し殺菌照射を行っても皮膚癌を発症しにくいことが発見され活用が期待されています。

2.紫外光による蛍光

紫外線を当てることによって蛍光反応を示す特徴を利用します。
鉱物の同定などにも利用されますが、身近な用途としては紙幣の偽造防止のための蛍光インク印刷や、郵便物の仕分け用バーコード印刷などに使われています。

例えば、郵便物に印字される蛍光塗料は、321nmの紫外線を励起波長としているものが採用されています。
この蛍光塗料でバーコードを印字し、紫外線を当てると615nm付近の赤色に近い波長で光(ピンク色に見える)を出します。この発光波長に感度のあるバーコードリーダーを使った自動仕分けなどに活用されています。

3.紫外光領域での分光分析

分光分析には様々な方法がありますが、例えば、サンプルに光を照射し、サンプルを通過した光量を測定することで、吸収された光量がわかります。
この際、光を波長毎に分けて計測すると、波長毎の吸収率を調べることができ、成分による光の吸収の違いから物体の成分分析や評価を行うことができます。

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分光分析とは

この分光分析は様々な波長で利用されますので、紫外線に限ったものではありませんが、例えば日焼け止めクリームの性能評価などに関しては、紫外線領域の評価が重要になります。
可視光線と紫外線の領域を分析する方法はまとめて「UV-Vis分光法」と呼ばれ、サンプル(試料)の化学的または物理的特性を知るのに使用されています。

4.紫外光による成分変化

最後は紫外光を当てることによって成分が変化する現象を利用した用途です。

①UV硬化・UV接着

身近な例では「UVレジン」などがアクセサリー作成などに使用されますが、正式には「紫外線硬化樹脂」といい、工業用の整形や接着に使用されます。
紫外線硬化樹脂には、液内にはモノマーと光増感剤が入っています。紫外光を当てると光増感剤が紫外光を吸収し、モノマーを励起状態にします。励起されたモノマーは重合反応を起こしてポリマーとなり硬化する仕組みです。

重厚反応(polymerization)
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UV硬化の仕組み

②UV露光

主に、産業界において物理的・化学的処理に対する保護膜として形成される「レジスト」の硬化にも紫外光が活用されています。特に感光性を持ちパターンの印刷に使われるものを「フォトレジスト」と言います。

フォトレジストは微細なパターンを形成することができるため、プリント基板、半導体ウェハーの製造ディスプレイ用の三原色フィルターのパターン印刷などに使われます。

UV露光のステップ

①ガラスにフォトレジストを薄く塗布。
②紫外光を当てたくないところをマスクし、その状態で全面に紫外光を照射。
(ここで、ポジタイプのフォトレジストの場合は紫外光があたった部分のみレジストの組成が変化し、薬液に反応するようになります。逆にネガタイプのフォトレジストの場合は、紫外光が当たった部分だけが硬化し、薬液に反応しなくなります。)
③薬液につけると、ポジタイプでは光のあたっている部分・ネガタイプでは光の当たっていない部分のフォトレジストが薬液に反応しパターンの印刷が完了

UV露光イメージ

③光機能性分子

光機能性分子は、紫外光を照射すると分子が反応して構造変化が起こりますが、その後別の波長の光を当てると元に戻るというような材料で、光による構造変化を繰り返すことができます。

例えば、紫外線が当たると色が変わる紫外線チェッカーは光機能性分子の一つです。
アゾベンゼンなどが知られていますが、入江正浩博士の開発したジアリールエテンは結晶状態でも光応答性を示すことから注目されました。
これらの分子を上手く使えば、光スイッチやマイクロアクチュエータとしても利用することができ、ナノマシンを作ることができるようになるのではないかと期待されています。

紫外光(紫外線)を発する光源

紫外光を活用するには紫外光を発する光源が必要です。ここからは、紫外光を発する光源を紹介していきます。

キセノンランプ

キセノンランプは、アーク放電を利用したアーク灯の一種で。太陽光を再現する演色性に優れている光源で、ランプの種類にもよりますが、180nm〜や300nm〜など紫外域の光も出力できます。

D2ランプ(重水素ランプ)

重水素ランプは、185~400nmを連続スペクトルで発光する放電ランプです。
分光光度計や高速クロマトグラフィー(HPLC)、原子吸光光度計(バックグラウンド補正)等の分析機器、半導体の膜厚測定装置等に使われます。

水銀ランプ

水銀ランプはガラス管内の水銀蒸気中のアーク放電により発光します。200nm〜の紫外領から可視にかけて線スペクトルを持った光を出力する光源で、照明や殺菌などに使用されます。
水銀ランプは環境に与える影響が大きいことから規制の対象になっており、徐々にUV-LEDへの置き換えが進められています。

UV-LED

UV LEDは出力波長が紫外域の発光ダイオードです。発光波長は発光層の材料に使用される窒化アルミニウム(AlN)と窒化ガリウム(GaN)の混晶組成比で制御することが可能です。

前述したように水銀ランプの規制により、代替光源として、消費電力が少なく、寿命も長いUV-LEDが注目されています。
LEDのため波長範囲が狭いですが、複数LEDを搭載して幅広い波長帯域をカバーするモデルも存在します。

UV-LED照射器 ALE/1

UV-LED照射器 ALE/1

UV樹脂硬化用途やi線(365nm)やg線(436nm)のUV露光機の光源の代替として活躍する超高出力のUV-LED光源です。
最大5種類のLEDを内蔵できるため、365nm〜の様々なピークを持つ複数のLEDを合わせて幅広い波長の光の出力も可能です。

詳細を見る

レーザー励起白色光源

キセノンランプの代替光源として注目されているのが、キセノンランプをレーザーで励起する”レーザー励起白色光源”です。

キセノンランプと同様に190nm〜の紫外線を出力できます。
また、キセノンランプは放電を利用するため安定性の低さが弱点ですが、レーザー励起白色光源は安定したレーザ光での励起により光を出力するため、発光点が小さく輝度が高い上に、空間的にも時間的にもより安定しています。

レーザー励起白色光源XWS-65

レーザー励起白色光源

レーザー励起白色光源”XWS-65”は、一般的に高出力が難しい深紫外の190nmから、可視光、さらに近赤外線の2500nmまでの広い波長域を持っており、更にこれらの波長を高輝度で、安定して出力することができます。

製品詳細

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