太陽光は「白色光」と言われています。
実は「白い光」は赤や青、緑、黄色、紫など、無数の色の光が混じり合って「白」を形成しています。
これは光の三原色(RGB)の中心部分が白いことからも分かります。
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お問い合わせ2021.01.28 | 分光器
分光器(Spectrometer)とは、光の電磁波スペクトルを測定する光学機器全般を指します。また測定時には光を波長ごとに分光し、検出器で受けることで強度を計測します。
とはいえ「分光器」をよく知らない方にとっては、この数行すら難解で理解不能に思えるはずです。
実際にこの数行には分光器の全てが詰まっており、文字量に反して、相当の情報が含意されています。
そこで当ページでは、この数行で記されている内容を噛み砕いて解説することで、分光器について簡単に、わかりやすく説明していきます。
そもそも分光器が何を測定しているのか?
それは「光」です。
正確には「光の電磁波スペクトル」を測定する機器ですが、やや難解なためまずは「光」であることを頭に入れておいてください。
分光器は光を測定している機械です。
問題はこの「光」をどうしているのか。
分光器を単純化すると、2つのことをする機械だと言えます。
1. 分光する
2. 測定する
それでは「分光」と「測定」について見ていきましょう!
分光とは、読んで字のごとく「光を分ける」ことを指します。
光を分けるというと、馴染みのないように思えますが、実は「虹」も光が分けられた状態です。
ポイントは、虹が元々「太陽光」であるということ。
太陽光は「白色光」と言われています。
実は「白い光」は赤や青、緑、黄色、紫など、無数の色の光が混じり合って「白」を形成しています。
これは光の三原色(RGB)の中心部分が白いことからも分かります。
このように太陽光の「白」は、様々な色の光が混ざっています。
そのため太陽光を「分光」すると、虹のような無数の色が現れるのです。
同じことがプリズムでも再現できます。
太陽光と同じ白色光を、プリズムを通して分光すると、無数の色に分けられます。
これが分光です。
ちなみに、太陽光や白色光は「さまざまな色を含んでいる光」ですが、これは「さまざまな波長を含んでいる光」であることを意味します。
つまり分光とは「光を波長ごとに分けること」を指します。
波長とは、波長は周期的な波のことで、山と山(あるいは谷と谷)までの距離を指します。
光は電磁波でもありますので、このような「波」が存在します。
波長の単位はnm(ナノメートル)やμm(マイクロメートル)で表されますが、これは「山から山までの長さ(距離)」がこれらの単位で表記されるからです。
実はこの「波長の違い」が、私たちの目には「色の違い」として現れます。
赤い光と青い光は波長が異なります。
こちらは、波長の違いを概念図で示したものです。
プリズムは「白」を「無数の色」へと分光しているように見えますが、これは「複数の波長を含んだ白色光」を「波長」ごとに分光しているとも言えるのです。
光を波長ごとに分けること。
分光器がどのように分光しているかというと「分光素子」が関わっています。
プリズムのように「入射した光を波長ごとに分光する物」を「分光素子」と言います。
分光素子には種類があります。
プリズム
回折格子
光学フィルター
プリズムは波長ごとの「屈折率の違い」を利用して分光します。
回折格子は光の「回折と干渉」を利用して分光します。
光学フィルターは、特定の波長のみを通過するフィルターの役割を果たします。
フィルターによって光が選別され、結果的に「分光」されます。
分光器は光を分けるだけの機器ではなく、波長ごとに分けた光を「測定」する機械です。
とはいえ光を測定するといっても、想像できないかもしれません。
分光器は、光の何を測定しているか。
これは「測定データ」から読み解くことができます。
分光器が測定するのは「波長ごとに分光された光」です。
そのため「波長」が測定されます。測定する光によって「どの波長が含まれているか」が異なります。そのためまずは分光した波長を読み取ります。
さらに「波長」だけでなく「どんな波長がどの程度の強度を持つか」という「波長ごとの強度」も測定されます。
分光器では「波長」ごとの「強度」を測定している。
波長や強度は、分光された光をセンサーで測定することでわかります。
そしてセンサーで測定された情報はグラフとして配列されます。
このように、光を波長ごと分解して配列した情報がスペクトル(Spectrum)です。
グラフの横軸は波長です。単位はnm(ナノメートル)で表記されます。
これがグラフの横軸に当たります。
ちなみに分光器の仕様表に記載されている「スペクトル分解能」などは「波長をどれだけ細かく分けられるか?」という指標です。
他方で、縦軸は波長ごとの「強度」を表しています。
つまりグラフを見ることで「どの波長がどの程度の強度を持つか」を詳細に知ることができます。
ここまでの流れで分光器が「何をしているか」が見えてきたのではないでしょうか。
この流れを理解することで初めて分光器が何か、その定義が判明します。
分光器(Spectrometer)とは、光の電磁波スペクトルを測定する光学機器全般を指します。また測定時には光を波長ごとに分光し、検出器で受けることで強度を計測します。
分光素子によって光を波長ごとに分光し、その強度を測定する。それが分光器です。
分光器は様々な軸で分類されます。
ここでは「波長」と「測定方法」「アプリケーション」によって分類される例をご紹介します。
分光器は測定する波長によっていくつかの種類に分けられます。
分類 | X線/紫外光電子分光 分析装置 |
可視分光器 | 近赤外分光器 | 中赤外分光器 | |
---|---|---|---|---|---|
波長 | 紫外線,X線 200~320nm |
可視光線 360~830nm |
近赤外線 780~2500nm |
中赤外線 2500~25000nm |
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対応 製品 |
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波長と分光器の関係は「分光器選定ガイド - 波長で選ぶ」で解説しています。
関心のある方はご覧ください。
波長による分類だけでなく「測定方法」で分類されることもあります。
ラマン分光法を用いた機器は「ラマン分光計」や「ラマン分光装置」と呼ばれます。またフーリエ変換赤外分光法(FTIR)を用いた機器は「フーリエ変換赤外分光光度計」と言います。
分光器の測定方法と製品例について詳しく知りたい方は「分光法の種類」をご覧ください。
分光器は様々な用途で使われています。
例えば、分光器を用いることで、ガス中の二酸化炭素濃度や、液体中の酸素濃度などを割り出すことができます。
分光器は、前述した"波長"や"用途"などいろいろな確度から選択していく必要があります。
分光器の選び方の詳細を知りたい方は「分光器の選び方」や「分光器の仕様の見方」をご確認ください。
分光器の選び方を、波長や用途(アプリケーション別にまとめました。
また、特に色を測定する可視分光器に関しては、いろいろな特徴を持った製品があるので、用途毎に適した分光器の選び方を以下にまとめました。
→「これで分かる!色を測定する分光器の特長と選び方(ケイエルブイ編)」
ケイエルブイでは、分光にまつわる基礎知識から、製品詳細まで解説するページを作成しています。分光について更に詳しく知りたい方は「ケイエルブイ大学 分光コース」にお越しください。
ここでは弊社(ケイエルブイ株式会社)取扱製品をいくつかご紹介いたします。
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