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分光分析の反射測定とは

本記事では、「分光分析におけるスペクトル測定のコツ」で紹介しました反射法(Reflectance)について詳しく解説します。

反射法(Reflectance)とは

反射法は、可視域から赤外域まで広い波長領域で使用することができる測定方法です。
光をサンプルの表面に照射し、反射した光のスペクトルを測定します。

反射法には2つの方法があります。

鏡面反射/正反射(Specular Reflectance)

入射した光がサンプルの表面で正反射する場合の測定方法です。
結晶材料やミラーなどのスペクトル特性や反射率を測定することに適していますが、表面に凹凸がほとんどないものに限られます。

よって、個体試料やフィルム状の試料を測定する際に用いられます。

正反射イメージ

拡散反射(Diffuse Reflectance)

入射した光がサンプルの表面で反射・透過・散乱を繰り返して外に出てくる場合の測定方法です。

拡散反射法は、サンプルに入射された光がサンプル内部に透過し、反射や拡散を繰り返した後に再度外へ出た光のスペクトルを測定します。例えば食品・粉体(医薬品や化学薬品)・樹脂など、不透明で表面で光が散乱するサンプルのスペクトル特性の評価や含有物の分析に用いられます。

拡散反射イメージ

表面が不均一で光が散乱するサンプルの場合が多いため、鏡面反射/正反射よりも拡散反射を使用するのが一般的です。
ここからは、拡散反射測定についてより詳しく紹介します。

拡散反射測定の原理

サンプルに光を照射すると、反射・透過・散乱を繰り返し、表面から不規則な方向に出ます。この光を検出器(分光器)で受けて反射スペクトル・吸収スペクトルを測定します。
拡散反射はサンプル内部を繰り返し通過した光も含まれるため透過測定と似た吸収スペクトルを得られますが、光の通過する距離や方向は不規則なため透過測定で使用する「ランベルト・ベールの法則」が適用できません。

拡散反射光の強度を求める際には「クベルカ-ムンクの式」が使われます。

クベルカームンクの式

「クベルカームンクの関数(Kubelka-Munk)」は拡散反射スぺクトルの強度を求める基本の式になります。

クベルカームンクの関数は、以下の仮定の元で吸収係数を求めることができます。

  1. サンプル内部で発する光は拡散光である
  2. 散乱因子はサンプルの表面および層に均一にある
  3. 散乱因子はすべて同一物質でサイズ・形状が均一である(拡散係数が同じ)
  4. 入射と反射方向の二方向の光のみを考慮する

仮定において、試料の厚さを無限大とした時の反射率(R∞)を用いて、散乱係数(S)、吸収係数(K)を以下の式で表すことができます。

\[ \frac{K}{S} = \frac{(1-R_{∞})^{2}}{2R_{∞}} \]

ここで、仮定として散乱係数(S)を一定と置いているので、吸収係数(K)は散乱因子の濃度に比例します。

拡散反射法のメリット・デメリット

拡散反射法のメリット

試料の前処理が必要ない

拡散反射法は、粒体/粉体を非接触で測定することが可能です。
固体で且つ透過しにくいサンプルに透過測定を適用する場合、溶剤でサンプルを溶かし液状にした上で測定することがありますが、拡散反射ではその必要がありません。
また、ATR法(全反射測定法)のようにサンプルと測定器を密着させる必要がないため、光路長や光のエネルギーにもよりますが非侵襲でサンプルを測定する方法としても有効です。

活用できるアプリケーションが幅広い

拡散反射法は、固体や粒体/粉体に適用することができるため、食品・農作物・製薬品・医学・化粧品・塗料など幅広い分野で応用が可能です。

拡散反射法のデメリット

測定方法・条件の確立が難しい

拡散反射から吸収スペクトルを求め定量分析を行う場合、クベルカームンクの式に当てはまるように測定方法・条件を揃えることが重要です。
クベルカームンクの式の説明で示した仮定の条件を揃えることが前提となりますので、サンプルの散乱因子のサイズ・寸法・密度をなるべく均一にし散乱係数(S)のバラつきを少なくする必要があります。

拡散反射法の使用例

色材の色測定

印刷物、服の生地、建物、プラスチック製品などの人工物の着色には色材(染料または顔料)が使用されています。
特に工業製品など量産されるものに関してはすべての色彩が均一でありムラがないことを確認するために「色」を定量的に測定する必要があります。
可視域領域の反射法を使い反射スペクトルから色を測定する方法は既に確立され、様々な分野での色測定に使用されています。
塗布する下地・基材の素材や厚みによっては測定値に影響を及ぼす可能性があるため、これらの条件を揃えた上で色測定を行う必要があります。

分光器_アプリケーション_ペンキ

小麦粉の水分分析

小麦粉などの穀物の製粉および梱包工程では温度の他に水分量の管理が重要となります。
小麦粉は十分な乾燥をされた後に袋に詰められますが、一定量の水分が含まれると粘着性を持ち品質にバラつきが発生してしまうため、工程中の湿度や乾燥度合いの管理が必要です。
近赤外領域の反射法を用いることで、非破壊で且つ迅速に小麦粉の水分量やその変化を測定することができますので、製粉ラインや袋詰め前の工程でチェックする事が可能です。

分光器_アプリケーション_小麦粉工場

実際に水分量を定量測定するためには多変量解析等を使い検量線を作成する必要があります。

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分光分析用  反射測定器セット

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反射プローブを使用することで、簡単に分光器、光源、サンプルホルダーを接続することが可能です。

 製品詳細
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