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近赤外分光アプリケーション

近赤外分光器を用いた水分測定

水分量を測定する方法には、“乾燥前後の重さ比較する乾燥減量法”、“電解酸化させたうえで消費した電気量から水分を求めるカールフィッシャー滴定法”、“測定物に電気を流して抵抗値で測定する電気抵抗法”、など様々なものがあります。その中でも、測定対象に吸収される光の量で水分量を測定できる近赤外分光法は、測定物を傷つけずに測定が可能であるという点で、食品や加工品の生産ライン上でのモニタリング用途で注目されています。

本コンテンツでは、近赤外分光法による水分量測定に関して、その原理の説明と実際の測定結果を紹介します。

分光器ページ

1.近赤外分光法による水分測定の原理

分光法の中の一つに、資料に光を照射し、透過した光のスペクトルを測定することで資料の成分を分析する吸収分光法という方法があります。
これは、物体が特定の波長の光を吸収する特性がある事を利用した方法です。

水による光の吸収

今回の測定対象である、「水(H2O)」の場合は、赤外である700nmより長い波長の光を吸収する特性があります。そして、特にO-Hの伸縮振動と変角振動による吸収帯である1940nm、H-O-Hの伸縮振動による吸収帯である2900nmやその半分の波長である1450nmに大きな吸収を持ちます。
したがって、水分を含む物体に赤外光をあてて、透過した光を確認すると、1450nmや1940nmをはじめとした赤外光の光強度が弱くなります。
この時の赤外光の吸収量は、一般的に水分量と相関関係があるため、赤外光の吸収量を正確に測定することで、水分の有無や水分量を測定することが可能となります。
(※水分量を定量的に測定するためには、多くのデータ取りや、そのデータの解析が必要です。)

水の吸収スペクトル(イメージ図)
水の吸収スペクトル

2.近赤外分光法を用いた水分測定の例

(1)試行環境

近赤外分光法を用いて水分の観測をするために、Spectral Engines社のNIRONEを使用しました。
Spectral Engines社のNIRONEは、以下のような特徴があり、今回の試行に最適です。

・Spectral Engines社のNIRONEの特徴
  • 分光法にファブリペロー方式※を用いているため、コストパフォーマンスが高い
    (波長範囲が限定的ですが、水分では特定の波長を使用するため問題ない)
  • センサーと光源が一体化しているため光源を別で用意する必要がない
  • 小型軽量で使いやすい
Spectral Engines社NIRONE

※ファブリペロー方式とは

ファブリペロー方式は、センサーの手前に印加電圧で透過波長が変更できるフィルターを挿入し、そのフィルターを利用して各波長の光強度を測定する方式です。
フィルターは、2枚の平行平板の間での多重干渉によって透過波長が決まる原理を利用したもので、2枚の板の間隔を変えることで、透過波長を変えることができます。

ファブリペロー方式の原理

・使用したモデル

NIRONEは、1つのモデルでカバーできる波長範囲が限られているため、1100~2450nmの近赤外線領域を5つのラインナップで補っています。

タイプ S1.4 S1.7 S2.0 S2.2 S2.5
波長範囲 1100–1350nm 1350–1650nm 1550–1950nm 1750–2150nm 2000–2450nm

今回の試行では、1940nmに吸収を持つ水分を測定するため1750~2150nmを測定できるS2.2を選択しました。
 ※NIRONEの製品ラインナップ詳細はこちら

・測定方法

NIRONEのセッティングは、図のようにNIRONEとPCをUSBで接続するだけです。
光源が内蔵されているため、別で光源を用意する必要はありません。
白色版でリファレンスを取った後に、サンプルを測定しました。
 ※詳細はこちら

Spectral Engines社NIRONEの実行手順

(2)試行結果

今回、以下のサンプルに対して、水分を加えた場合に1940nm付近の分光結果がどうなるかを確認しました。

例1:ダンボール

・測定内容

初めに、乾燥したダンボールと水分を含んだダンボールの分光分布の違いの測定結果を紹介します。
①ダンボールの分光分布を測定
②スポイトでダンボールに水滴を垂らして分光分布を測定
③そのまま、水分が乾燥していく途中の状況で分光分布を測定

ダンボール_近赤外分光測定

・測定結果

水分の有り無しのダンボールの分光測定結果は以下です。

ダンボール_近赤外分光測定結果

分光器(S2.2)の測定範囲である1750nm~2150nm全体において、水分により光の吸収が発生し、その吸収量は水分の乾燥とともに元の分光分布に戻るという結果になりました。
今回の試行において、近赤外分光器で、ダンボールが水分を含んでいるかどうか、どの程度の水分を含んでいるかを分光情報から取得することが可能であることが確認できました。

例2:錠剤

・測定内容

「例1:ダンボール」の試行では、水分を含ませた際に目視でもダンボールの色が変わり水分を含んでいることがわかりました。
そこで、次に目視では水分の有無がわかりにくい錠剤をサンプルにして試行をすることにしました。
①乾燥した錠剤の分光分布を測定
②スポイトで錠剤に水滴を垂らして分光分布を測定

錠剤_近赤外分光測定

・測定結果

水分の有り無しの錠剤の分光測定結果は以下です。

錠剤_近赤外分光測定結果

ダンボールと同様に、1750nm~2150nm全体において水分により光の吸収が確認できました。
これにより、錠剤においても水分を含んでいるかどうかを近赤外分光器で測定することが可能であることがわかります。

例3:お茶の葉

・測定内容

最後に、測定対象が均一ではないお茶の葉を測定しました。
均一ではない対象を測る場合には、測定結果のばらつきを抑制するために特定領域の平均をとる手法が一般的です。
今回は、フロントチューブオプティクス※を使用し、およそΦ20㎜のエリアの平均値を測定しました。
①乾燥したお茶の葉の分光分布を測定
②スポイトでお茶の葉に水滴を垂らして分光分布を測定

茶葉_近赤外分光測定

・測定結果

水分の有り無しの茶葉の分光測定結果は以下です。

茶葉_近赤外分光測定結果

ダンボールや錠剤と同様に、1750nm~2150nm全体において水分により光の吸収が確認できました。
これにより、お茶の葉のように均一ではない対象においても、フロントチューブオプティクスなどを使い特定領域で平均化することで近赤外分光器で安定して水分を測定できることがわかりました。

フロントチューブオプティクス

Spectral Engines社が提供するNIRONEのオプションです。 フロントチューブオプティクスを使用すると、Φ20㎜のエリアの平均値を測定する事が可能となるため、粒上のサンプルや表面が平らではないサンプルを測定において、安定したデータを取得することが可能になります。

Spectral Enginesフロントチューブオプティクス

3.製品紹介

NIRONE Sensor

NIRONE Sensor

今回の試行で使用した超小型近赤外分光センサーです。
重さ15g、大きさ25×25×17mmという軽量・コンパクトなボディでありながら、高い性能を有しています。
水分測定に最適です。

詳細
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