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分光分析用光源の選び方

分光分析で、精度の高い解析を行うために光源の選定は非常に重要です。
例えば、分光器が高精度であっても、光源の安定性が低く出力に揺らぎがあった場合、分光器がその出力の揺らぎをノイズとして拾ってしまい、分光器の性能を生かすことができません。

分光測定全体を考えて光源を選ぶ必要があるという事を踏まえて、光源を選ぶ際のポイントを5点紹介します。

①波長帯域

測定対象に応じて分光器の波長範囲とセットで考慮が必要です。
分光器は一般的には幅広い波長領域をカバーするものが多いため、光源にもなるべく波長帯域が広く、出力が一定であるものが好まれます。
ただし、対象物が明確で、使用する波長帯域が限定的な場合は、その波長帯域の分光器を用意し、光源の波長もそれに見合ったもので十分です。

以下は、ISTEQ社のレーザー励起白色光源の波長特性です。 この光源の場合は、UV領域(190nm)から可視(800nm)までの領域に対してフラットな出力を有しており、この領域で分光分析用の光源として使用するのに適していることがわかります。加えて、本光源は800nm以降の近赤外領域もハロゲンランプ以上の出力を実現しており、より広帯域波長を使用した分光分析測定にも最適です。

レーザー励起白色光源スペクトル
ポイント

光源の波長と輝度(出力)の特性を確認して、「使用する波長帯域の出力がカバーされていていること」「使用する波長帯域で出力がフラットか」などを確認。

②出力

対象の反射率と分光器のディテクターの感度を考慮したうえで、必要な出力をカバーできる光源が必要です。 一般的に出力が高いほうが、“分光器のスループットを高くできる”、“分光器のゲインを下げることでS/N比が高くできる”などのメリットがあるため、好ましいです。 ただし、測定対象の反射率が高く、分光器(ディテクター)がサチュレーションを起こす場合には、それほど高い出力は必要ありません。

ポイント

出力は高いほうが、分光測定の高速化や低ノイズ化に有利。
ただし、高い出力が必要ない場合もある。(事前にデモ機で試してみるのが望ましい。)

③発光面の形、発光点のサイズ(NA)

発光面の形は分光測定の測定領域に合わせて選択します。
点での分光測定の場合は、スポット照明、ハイパースペクトルカメラのようにラインや面での分光測定の場合は、ライン照明やエリア照明を選択する必要があります。一般的には、照射面積が大きくなると、輝度(単位面積当たりの光量)が落ちるため照射エリアがラインやエリアの場合は、出力と合わせて検討する必要があります。
スポット、ライン、エリアの切り替えは、ファイバーを変えることでもある程度は実現できます。

スポット型

スポット型

ピンポイントで照射する。
              一般的な、分光器ではこのタイプを使用。

ライン型

ライン型

横長の光を照射し縦に走査し全体に当てる

エリア型

エリア型

ある程度の面積を持ち広く照射する

また、測定領域が非常に小さい場合には、光源のNAの値に注意する必要があります。
例えば、測定領域が小さい場合にもかかわらず、発光点や導光するファイバーのNAが大きい場合は、外側の光が使われないため、全体の出力は高いにもかかわらず輝度(単位面積当たりの光量)が低いという状態になる危険性があります。測定領域が狭い場合は、NAの小さいものを選択してください。

ポイント

スポット、ライン、エリアなどはある程度ファイバーでの切り替えが可能ですが、光を広げる場合は出力も考慮して検討が必要。また、測定領域が小さい場合には、NAの値に注意。

④安定性

冒頭でも述べましたが、光源の揺らぎが分光器で光を検出した際のノイズとなるため、分光用途での光源には高い安定性が求められます

安定性は、特定の測定時間の中で出力が何%変化するかであらわされ、値が小さいほうが優れています。(単位時間当たりの出力変化を[%/h]で表したり、ばらつきの標準偏差を%で表したり、メーカーによって表現が異なるため比較する際には注意が必要です。)
短期的な安定性の悪化は、“温度変化によるドリフト”などの影響により発生するため、分光向けの光源には、温度制御の機能や出力値をモニタリングして電流をコントロールするフィードループ機能など安定性を向上させる機能が搭載されているかも確認が必要です。

ポイント

安定性は重要な要素なので、安定性の値の比較や、安定化のための機能が搭載されているかなどのチェックが必要。

⑤コスト

光源のコストパフォーマンスは1個の販売価格だけではなく、寿命も考慮してコストを考える必要があります。
一般的に、ランプは単価が安く、レーザー励起白色光源やLED光源などの新しい光源は単価が高いですが、新しい光源は寿命が長く、交換にかかる費用や、交換時に装置が一定期間動かなくなることによる稼働のロスが削減できます。
将来的に装置に搭載する場合には、価格だけではなく、寿命も併せて確認ください。また、寿命に関しては商品によって定義が異なるため、可能であれば寿命の定義も併せて確認することが望ましいです。

ポイント

装置等に搭載して定常的に使用する場合には、コストを1個の販売価格だけではなく寿命等も考慮して総合的に計算する必要がある。

分光用光源の比較

最後に代表的な分光用光源とその特徴を紹介します。
レーザー励起光源やマルチチップLEDは新たな分光分析用光源として注目されています。

                            
種類補足 波長帯域 出力安定性1個の
コスト
寿命
キセノンランプ バルブ内にタングステンの
電極とキセノンガスを
封入した放電光源
300~1100nm
ハロゲンランプ バルブ内にタングステンの
フィラメントと不活性ガス、
ハロゲン化合物を封入した
フィラメント光源
350~2500nm
D2ランプ バルブ内に重水素を
封入した放電光源
185~400nm
レーザー励起光源 キセノンを封入したバルブに
レーザーを連続してあてることで
発光点を維持するレーザー励起光源
190~2500nm
マルチチップLED 複数のLEDの光を重ね合わせる
ことで、ある程度の幅の
波長帯域をカバーする光源。
波長帯域を絞れる場合に有効
285~730nm
の一部
※構成による

ケイエルブイの製品のご紹介

レーザー励起白色光源XWS-65

レーザー励起白色光源 XWS-65

一般的に高出力が難しい深紫外域から、可視光、さらに近赤外線までの広い波長域(190~2500nm)を持っており、更にこれらの波長を高輝度で、安定して出力することができる光源です。

  製品詳細
安定化光 マルチチャンネルLEDモジュール

安定化光 マルチチャンネルLEDモジュール

温度制御機能により、高安定な光を実現するマルチチャネルLED光源です。
中心波長が405、450、500、520、615、630nm、白色(6500K、4000K)のLEDを最大4個まで組み合わせることが可能です。

 製品詳細
重水素(D2)ランプ

重水素(D2)ランプ

185~400nmを連続スペクトルで発光する放電ランプです。分光光度計や高速クロマトグラフィー(HPLC)、原子吸光光度計(バックグラウンド補正)等の分析機器、半導体の膜厚測定装置等に使われています。

 製品詳細

分光コース

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